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嵐の予感

その時、男達の間から太い腕がニュッと伸びてきてレオ達はその足元に押し込められた。

汗臭さに息を詰まらせながら上を見上げると、上半身裸のセオドアがニカッとウインクしていた。



「オッチャン!こんなとこで何してるんだよ?」



セオドアはシッ!と人差し指を唇に当てると大きな声で歌い出した。



「偉大なるリンデンハイムよ我らの故郷この海原、命生まれる恵みの母よ」



その声に合わせ周りの奴隷達も歌い出した。


雪崩れこんできた兵士達は「ここに子供達が来なかったか?」と聞いてきた。



「ああ、来たけど俺達見て恐がってどっか行っちまいましたぜ!」


兵士はチッと舌打ちするとまた慌ただしく出て行った。



「オイ!もう出てきていいぞ」



奴隷達はヒョイヒョイとレオ達をつまみ上げセオドアの前に突きだした。



「フヘェ〜!オッチャン達ありがとう助かったぜ」



白髪頭の奴隷がハハハと豪快に笑った。



「なぁに、ルシン様には借りがあるからな。お安いご用さ!」



レオはセオドアの顔の広さに呆れながら、さっき見た神殿のことを聞いてみた。



「あれはこのリンデンハイムの守り神だ。なんでもあの化物に頼めば海を自由自在に操れるらしいぜ。そのお陰でリンデンハイムは立国出来たって話だ。あの坊っちゃんがそいつを手なづけたって聞いたな」



「グレンが?」



セオドアは暫く何か考えていたが、レオの肩を叩くと「よし探偵ごっこはこれで終わりだ。充分収穫はあったからな」とこのゲームの終了を言い渡した。



「うん、そうだな。ここからは捕獲作戦に変更だ!」



3人は一斉に「エエッ!?」と驚きの声をあげた。



「レオったら…正気なの?」



「そうですよ!リンデンハイムの守り神なんて…グレンさんが黙ってませんよ?」



セオドアはというと、反対するかと思いきや頭をボリボリ掻いて「うん…無謀だけど、もし出来たらスゲェよな」とまんざらでもなさそうだ。



レオは奴隷達の真ん中に陣どり、声を潜めた。



「だって考えてもみろよ。あの聖獣をてなづければリンデンハイムを戦わずして手に入れられる。違うか?俺の見たところあの聖獣はあそこに無理やり封じ込められてる。可哀想だよ!グレンの剣を見ればわかるだろ?…あの剣は青龍剣…と、いうことはあそこにいるのは青龍だ。あんなところに封じ込めるなんて酷すぎるぜ!だ・か・ら助けてやるのさ!俺は聖獣使い、リンはその上をいく精霊使いだ。それにくらべてあっちは、まだ聖獣使いとして目覚めていないグレンだけだ。勝ち目はこっちにある!」



奴隷達はザワザワし始めた。

皆レオの弁舌に魅了されてしまったのは明らかだった。



リンは思ってもみない展開にただ呆然とするばかりであった。


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