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一夜の夢 その7

レオは驚く二人を前に更に言葉を続けた。

「別に今すぐじゃなくていいのさ。いつか然るべき時に使う切り札は大事にしまっておけばいい」リンの目は光を失っていても、この時確かにレオの頭上に王冠が見えた。

いつか本当にレオが国を造るのならば、その時自分も傍らにいたい。

リンは身体の奥から熱い情熱が噴き出してくるのを感じて身震いした。

テレサはリンデンハイムの秘密と聞いて、益々好奇心がわいてきたらしく大きな菫色の目をキラキラさせている。

「それを聞いてワクワクしてきたわ!じゃあ早速上の階を見てきましょう。時間は限られてるんだから早くしないとね」

レオはうなずいて、リンの手をとった。

そろりそろりと階段を上がると、周りの景色が先ほどよりもはっきりと見えてきた。


沢山のカゴが並べてあり、中には果物やら豆やらが山盛りに入っている。

レオはリンゴを取ってズボンで拭くと、リンに渡した。

「リン、紅くて旨そうなリンゴだぜ。喰えよ。ほれ!テレサも腹ごしらえしとけ」

テレサはレオが放り投げたリンゴをキャッチした。

「こんなの呑気に食べてていいの?」

レオは真面目な顔でテレサに言った。

「腹が減ってちゃ戦は出来ぬって言うじゃん。俺は今までの経験から食える時にはしっかり食っておくようにしてる。次に食物にありつけるのはいつになるかわからないからな」

テレサはレオに言われるままリンゴにかじりついた。

腹ごしらえが済むと、カゴの間に隠れながら前に進んで行った。

小麦粉やら砂糖やらの袋もまるで山のように重ねられていた。

「どうやらここは食物を積んでる船みたいだな。特に怪しいこともないだろ。次の船に移ろうぜ」


一行は甲板に上がり、次の船に行くために架けられた橋を素早く駆け抜けて、すぐに近くの物影に身を潜めた。この船は先ほどの船とは違い、武装した兵士が見張りに立っている。

「どうするレオ?これじゃあこの船は諦めるしかないかしら」

「でも…だからこそこの船は調べる必要があるんじゃないですか?」

レオはリンの言葉にうなずいた。

「ああ、俺もそう思う。ほら周りを見渡してみろよ。こんなに見張りが立っているのはこの船だけだ。怪しいぜ!」

武装した兵士は入り口に4人、船の前後にも数人控えている。「どうする?何か作戦はあるの?」

テレサの問いに、レオはニヤリと笑った。

「あんなの簡単さ!まぁ見てろって」

レオは髪の毛を掻き分けて、玄武を取り出した。

「さあ玄武またお前の出番だぞ。今回は…そうだな作戦その3で行こう」

玄武はもぞもぞと頭、手足を全て引っ込めると身体が金色に輝き出した。

「さあ行け、玄武!」

玄武はフワフワと宙に浮かぶと、そっと低空飛行で兵士に見つかるギリギリの位置に着地した。

「よし、いいぞ玄武!」玄武は更に輝きを増し、兵士達が思わず目をそらしたその瞬間、レオは躊躇せずリンの手を引っ張り入り口に向かって駆け出して行った。テレサも慌ててそれに続く。

目眩ましにあった兵士達は玄武めがけて弓を引いたが、固い甲羅は矢傷も負わずドボンと海に滑り落ちた。

その頃、レオ達は階段を降りてまた薄暗い内部に潜りこんでいた。

目が暗闇に慣れてきたので辺りをキョロキョロ見渡すと、先ほどの船とは全く違う光景に戸惑いを覚えた。

目の前には細かい彫刻が施された門のようなものがあり、その両端には魔除けの水晶玉が台座に乗せられて置いてある。

「なあにこれ?」

テレサは門の前に立った。

近づいてみると、柱の細工は何か古代文字のようにもみえる。

「リン何か感じるか?」

「うん…感じる。怒り哀しみ…マイナスのエネルギーが充満してるよ」

リンはこの船全体が強力な磁場となり、なにか強大なパワーを封じ込めていることに気がついた。

「この門、開けられないかな?レオちょっと押してみてよ」

テレサにそう言われたものの、レオはなんだか気が進まなかった。

「う〜んなんだか嫌な予感がするんだよな」

「何よ怖いの?」

「そ、そんなわけないじゃん!よし見てろよ!」


「あ…待ってよレオ!」

レオはリンが止めるのもきかず、門を力一杯蹴りとばした。

その時…

「ウオオオーン!オオオーン」

と、何か巨大な生き物の唸り声のようなものが響いてきた。

船全体がその音に共鳴してビリビリと震えている。

「うわ!なんなんだ?一体」

空には暗雲が垂れ込め、突然雹が落ちてきてバラバラと凄い音がリン達の恐怖をさらに強いものにした。

外では兵士達が異変に気付き、船の中に入ってきた。

「まずいな、兵士達の足音が近づいて来てる。下に降りよう」

レオはリンの手を引いて階段を降りて行った。

さっきの船と同じように大勢の奴隷達が船を漕ぐために集められていた。


ボロ布に包まれた浅黒い肌、筋肉で盛り上がった逞しい腕をもつ男達の目が一斉にレオ達に向けられた。

「ヤバイ…万事休すだぜ」


レオ達はすくみ上がってその場に立ち尽くした。

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