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セオドアの秘密

一行はなんとか水が無くなる前にオアシスラグマダーンに着く事が出来た。

砂漠の中にぽっかりと浮かぶ島のようにそこだけは緑が繁り、生き物達に自然の恩恵を与えていた。

「なんとか無事にここまでこれたな!一時はどうなることかと心配したが…」

セオドアの前でラクダに揺られていたテレサは

「まだまだ砂漠は続いてるのよ。ここでゆっくり疲れをとりましょうよ」

とセオドアに提案した。

「ああ、そうしようぜ!ロイの親父さんよ、ここでゆっくりして行こうぜ。オアシスはここだけだからさ、風呂にでも入って旅の疲れをとりましょうや!」

普段はケチなロイもさすがに疲れているとみえて、その提案にはすぐに賛成した。

「よし!ここで2、3日滞在するとしよう。まずは宿屋を探してラクダも休ませんとな」

セオドアは目敏く大浴場がある宿屋を見つけてロイに勧めた。

値段交渉もうまくやり、格安で泊まる事が出来るよう取りはからった。

「セオドア、お前は若いのになかなか旅慣れた様子だな。おかげで色々助かるよ。このラグマダーンにも以前来た事があるのか?ずいぶん詳しい様子だが…」

セオドアはギクッとした表情をすぐに押し隠し

「あ…ああ、だいぶ昔に来たことがあるんだ。しかし、ここは変わってないな。昔のまんまだ」

セオドアは懐かしそうに目を細め、周りの景色を眺めた。

セオドアの視線の先には、一際大きな屋敷があった。

「あれは?」

テレサの問いにセオドアは渋い顔つきで答えた。

「あれはラグマダーンの領主アズバン公の屋敷さ。ここの物は水一滴だってすべてアズバン家のものなんだ」

「ふぅん。じゃあここで働いてる人達はみんなアズバン家の使用人ってわけね。凄いわ〜ここにハンサムな息子さんとかいないのかしら?私を買ってくれないかな〜。一生幸せに暮らせそうな気がするわ」

セオドアはテレサに冷たい表情で

「金持ちになればそれで幸せになれるとでも思ってるのか?全く単純なヤツだなお前は!」


と言い捨てるとスタスタとどこかに行ってしまった。

「なによ〜、ムキになっちゃってさ!」

リンはため息をつくと、テレサをたしなめた。

「テレサ、君はなんでもはっきりものを言い過ぎるよ」

テレサはプウッと頬を膨らませご機嫌斜めになってしまった。

「どうしてはっきり言っちゃダメなのよ!その方がちゃんと相手に伝わるじゃないの。リンみたいに黙ってちゃあ全然相手に伝わらないわよ!はっきりしない男は私キライなの。覚えておいて!」

せっかくオアシスに着いたというのに気まずい雰囲気になりたくなかったので、リンはテレサにそれ以上は何も言わないことにした。

テレサは意地っ張りだが実はとても甘えん坊なところがあるので、リンがかまってやらなければテレサの方から折れてくるに違いなかった。

「ねぇ…ねぇリンってばなんで黙ってるの。怒ってる?」


「………」


「リン…ごめんね。だって私はずうっと貧乏暮らしなのよ。ちゃんとご飯が食べられるようになったのはロイに買われてからよ。だから、つい憧れちゃうのよ…裕福な暮らしに。私ね、決めたの!絶対にお金持ちになってやるって」

リンはテレサの過去について、これまで触れたことはなかった。

奴隷になるからには皆何らかの事情を抱えているのは解っている。デリケートな部分には極力触れないようにしていた。

「テレサ…僕にはよく分からないけど、自分が正しいと思うなら頑張れよ。僕はテレサが幸せならそれでいいんだ。だからきっと幸せになってくれ…」

テレサはリンの腕の無い肩にそっと寄り添った。


その頃セオドアはアズバン家の裏山にある秘密の通路の入り口である人物を待っていた。

「ルシン様…ルシン様ですね!?どんなにお捜しした事か…」涙を流す白髪の老人の肩を優しく撫でながらセオドアは厳しい表情で囁いた。

「すまなかった…ランドン。父上は健在か?」

「実は…去年の暮れに亡くなられました。ずっと…ずっとルシン様を気にかけておいででしたよ」

セオドアは愕然とした。

「では…ではライラは?ライラはどうしている?」


「ライラ様はザハト王に嫁ぐ事に決まりました。御婚礼は半年後です」


セオドアは通路の入り口を隠している大きな岩をドンと拳で突いた。

「ザハト王といえばもう御歳60を越えているはず…まだ15歳のライラに釣り合う相手ではない!アルマの仕業だな…そうだろう、ランドン?」

ランドンは厳しい顔でうなずいた。

「このラグマダーンは王様が亡くなられてからは側室アルマ様の一派に牛耳られています。実は…ラグマダーンは今、大変な状況なのです。ここ数年何度か水が枯れてしまい隣国サマダンから水を買わなくてはならない事態に陥っています。そこでなんとかサマダンと姻戚関係を作っておこうと考えたアルマ様はサマダンの王、ザハト様のもとにライラ様を嫁がせようとなさったのです」

セオドアはがっくりと肩を落とした。

「ライラのところに案内してくれ。話はそれからだ…」


セオドアは松明に火を灯し、秘密の通路の中に入って行った。

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