結成しちゃいました
「パーティー?」
「うん。ずっと一緒に居たいんだ。もちろんタダでとは言わない」
ギンは透明なケースを取り出して、テーブルの上に置く。
透明なケースの中には、乾いた血の様な色をした錠剤が入っていた。
「何それ?」
「強くなれるクスリ。これを飲めばサード以上の力を発揮できる」
「サード?」
「私の眷属だったアンナが、私の能力を真似て作った吸血鬼擬きのこと」
「擬き? 吸血鬼とは違うの?」
「吸血鬼は私と私が眷属にした子達のこと。まあ、サード達も血を吸うし、吸血鬼って言えないことも無いんだけど、強さが全然違う。ちなみに、皆が吸血鬼って呼んでる存在はサードのことが多いよ」
ギンには悪いけど、こんなクスリを飲んだだけで強くなれるとは思わない。
「信じられないのは無理ないけど、事実だよ。現に、ここにこのクスリを飲んでる人が居るし」
ギンはマスターの方を見る。
「確かにそのクスリを飲むと強くなれるけど、私はオススメしないかな」
「ちょっとユーナ! 私の味方してよ!」
「デメリットも教えなきゃダメでしょ」
「デメリット?」
「体への負担がとんでもなくて、それなりの回復力がないとダメなんだけど、危なくなる前に抜いちゃえば問題ないから」
「抜く?」
「吸血するの。昨日、リリアも見たでしょ?」
昨日のあれはそういうことだったのか。
「何だったらリリアも眷属になる? リリアだったら大歓迎だよ」
「私が力を求めているのは、村のエルフ達を見返す為だから。エルフのままじゃなきゃいけないんだ」
ギンは少し残念そうな顔をする。
「でも、パーティーの件はいいよ。組もう」
「いいの?」
「うん。ギンなら私の事情も知ってるし、いい条件だと思う」
ギンとパーティーを組めば、今まで受けられなかった討伐系の依頼を受けることができるようになるし。
何より私がギンと一緒に居たい……気がする。よく分からない。
ギンは私がシルフィーの転生体だって言ってたけど、それのせいなのかな。
「コウもいい?」
『リリアがいいならいいよ』
マスターがポンって手を叩いて立ち上がる。
「じゃあ、話もまとまったし、リリアちゃんの実力を確認する必要があるわね。ギンを相手にちょっと戦ってみて」
「どうしてですか?」
「パーティーを組むんだったら相方の実力を把握してたほうがいいでしょ」
「ユーナの言う通りだね。それじゃ私の家の庭使おうか。リリアも立って」
私がソファーから立つとノータイムで景色が切り替わった。
「リリア達を私の家にごあんなーい」
昨日見た城が目の前にあった。
どうやらギンが私達を転移させたようだった。
転移魔法は一人で転移するより複数人で転移するほうが難しい。
そして、複数人の場合は術者と触れ合わないと普通は転移出来ないんだけど、ギンは私達に触れずに転移魔法を成功させたようだった。
さっきのソファーを戻したりしたのもそうだし、耳飾りの幻覚魔法もそう。
ギンって実は凄い魔法使いだったりするのかな。
「少しは私の実力分かったかな?」
ギンはコテンッて首を傾げる。
「じゃあ、リリアの好きなタイミングでいいよ。殺す気でかかっておいで」