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初の討伐依頼受けちゃいました その5

「これはこれは冒険者様。お早いお戻りで」


「ゴブリンの討伐完了しましたので、その報告に」


「こんな短時間で……若いのにとても優秀な冒険者なんですね」


「ありがとうございます」


「ところでお連れ様と、サナはどうしました?」


 村長宅へは私1人で戻ってきた。厳密にはコウも一緒に居るから1人じゃないんだけど、普通の人には見えてないから1人のようなものだ。


 私とコウだけで戻ってきたのには理由がある。


 囮作戦だ。

 私が囮になって捕まってる人達の所に連れてってもらう作戦。


「サナさんは倒れてしまったので、家で休んでもらってます。シーナはその付き添いです」


「サナが迷惑をかけてしまったようで申し訳ない」


「いえいえ。サナさんのおかげで早くゴブリンを見つけることが出来たので」


「そうですか……それなら良かったです。サナが迷惑をかけたお詫びと言ってはなんですが、お茶でもいかがですか? いいお茶があるんです」


 来た。狙い通りだ。


 サナさんが私達の捕獲に失敗したとなったら家に誘ってくると思ってた。

 ギンじゃなくて私が囮なのも、さっき家に入るのを凄い勢いで拒絶したギンが急に入る気になるとおかしいと判断したからだ。


「それじゃあ、折角なので頂きます」


『リリア、ここからはケダモノの巣窟だから気を抜かないでね』


 コウの忠告に小さく頷いて答える。


 サナさんから聞いた話によるとこの家がどうやら奴隷商のたまり場になってるらしい。

 村長として話してた男が奴隷商達のボスらしい。 


 クスリを飲んで、吸血鬼に近づいた今ならギンが家に入りたがらなかった理由が分かった。

 とても臭いんだ。

 男の人の臭い。しかも、1種類だけじゃない。

 発生源は家中に散らばっている。


 私でさえキツイんだから、本物の吸血鬼であるギンは耐えられたものではないだろう。


 私は居間のようなところに通される。

「好きな所に座ってください」と言われ、私は入り口に近い所にある座布団に座った。

 偽村長は部屋から出ると、5分程して戻ってきた。


「どうぞ」と差し出されたお茶を1口。


 私はバタッと倒れ込む。


「全く……馬鹿な娘だ。睡眠薬入りの飲み物を何も疑わずに飲んだぞ」


 何かヤバそうな匂いがしたから飲んだフリをして倒れてみたけど、やっぱり睡眠薬が入ってたみたい。


 馬鹿はどっちだ。

 本当に眠ってるのか確認もせずに得意気になって。


 正直成功するか不安だったけど、この分なら囮作戦は成功しそうだ。


 奥の部屋からぞろぞろ男たちが集まってきた。


 偽村長合わせて5人……。

 もし囮作戦が失敗してもさっきの人数の半分だし、乗り切れる人数だ。


「やりましたね。ボス」


「ああ。これでなんとかなるだろう」


「本部の奴らは何考えてるんでしょうね。いきなり納める額増やして」


「さあな。俺たち末端は本部からの指示をただただこなすだけさ」


 私に近づく複数の気配。

 うわっ。男臭い。


「今回のはなかなか上玉ですね」


「しかも冒険者は高く売れるからな。ちと胸が貧相だが、中にはそういうのが好きな物好きも居るから問題ない」


 男たちはゲラゲラ下品に笑う。


 私は“魔纏”をいつでも発動できるように準備する。

 1人が私の拳の届く範囲に来た。

 “魔纏”を発動して、相手の胸を貫く。


 作戦変更だ。

 私の胸を馬鹿にしたこと後悔させてやる。

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