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初の討伐依頼受けちゃいました その3

 目を開けると、サナさんが土で出来た柱に縛り付けられてた。


「なっ、えっ、いつの間に魔法唱えたんですか」


 サナさんも突然縛り付けられて動揺していた。


「さっき“アース・ニードル”を詠唱破棄で発動したのは、私が無詠唱を出来ないとあなたに思わせる為。まあ、詠唱有りでもあなたを100%捕らえる自信はあるけど。無詠唱って発動タイミングが分かりづらいから不意打ち向きだよね」


 私は状況が全く呑み込めない。

 頭が理解するのを拒んでいた。けど、私の理解を待たずに状況はどんどん進んでいく。


「いつから、私を疑ってたんですか?」


「私達が来て、税も食べ物も困ることはなくなるって言っていたあたり」


 サナさんはギンがそんなに早く疑ってたことに驚いていた。

 私もだ。


「どうして? だって、畑を荒らしてた原因はゴブリンだったんだから。シーナも見たでしょ? あの結構荒らされてた畑」


「だからだよ。あの畑をやり直すのはとても時間がかかる。私達が荒らしてた原因を排除したところで、今の困ってる状況が改善されるのはずっと先の話。でも、サナの言葉はすぐに改善されるっていうニュアンスだった。どうしてだろうね」


「……どうして?」


「私達が来たことによってすぐにお金が入ってくるから。大方、奴隷商にでも売るつもりだったってことでしょ」


 衝撃的だった。

 サナさんに否定してもらいたくて、サナさんを見るけど、サナさんは黙ったままだった。


「よし。じゃあ帰ろうか」


 ギンは何事もなかったかのようにそう言った。

 サナさんは柱に縛られたままだ。


「えっ放置するの?」


「勿論。私達の受けた依頼はゴブリン討伐。それはもう終わったから」


『ギンが探偵ごっこしてる間に、私が1人で! 討伐証明を切り取ったからね!』


 コウはちょっと不機嫌そう。

 サナさんのことでいっぱいいっぱいで、討伐証明のこと忘れてた。


「お願いします! 助けてください!」


「何ふざけたこと言ってるの? 言っておくけど、リリアに手を出そうとしたこと許してないんだからね」


「虫のいい話だってことは分かってます! 私はどうなってもいいです! でも、妹を……マナのことを助けてもらえませんか?」


「妹?」


「マナを人質に取られたんです。言うことを聞かなければマナを売るって。それで……」


「で? 私達には関係ないよね」


「シーナ!」


 ギンの言い方はあんまりだ。


「助けるの? リリアは襲われそうになったんだよ」


「そうだけど、未遂で終わったし……。困ってるなら助けたい」


 ギンは大きなため息を吐く。


「助けたいって言うけど勝算は? さっきの戦いで、もう魔力ないでしょ」


「シーナが昨日言ってたクスリ飲んでも駄目?」


 飲めば、サード以上眷属以下になれるっていうクスリ。


「そこまでして、助けたいの?」

「助けたい! このまま何もせずに帰ったら後悔すると思うから」


 サナさんを拘束していた柱がボロボロ崩れた。


「リリアに感謝しなよ。自分を売ろうとしてた人間を助けようとする甘ちゃんなんて、リリアくらいだから」


「酷い。シーナだって許してくれたんだから、シーナも甘ちゃんだよ」


「私? 私は違うよ。許してないけど、メリットがあるから助けるのを手伝うことにしただけ」


「メリット?」


「クスリを飲むってことは、抜かなきゃいけないからね。楽しみだなー」


 口調は軽い感じだったけど、目が捕食者のそれだった。

 ゾクゾクってなった。


「初めてだし、優しくしてね?」

「任せて!」


 即答。

 ここまで信じられない任せても珍しい。

 早まったかな……。


「どうする? やっぱりやめとく?」


 サナさんの方をチラッと見たら、目が合った。

 凄く不安そうだった。


「やるよ」


 頼られたら、それには応えてあげたい。


 血を吸われるくらいなんだ。死んじゃう訳でもないんだ。

 ……死なないよね?

遅くなってすみません。


次の投稿は未定ですが、早目に上げたいと思います。

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