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見ちゃいました

「あーもう! 全然見つからないんだけど!」


 閑静な路地裏に私の叫び声が響く。


『落ち着きなよ、リリア』

「そもそもこの広い王都で一匹のネコを探しだすなんて無理があるんだよ」


『ネコ探しなんて簡単な依頼、パパーって解決してやる!』


 コウが依頼を受けたときの私の真似をする。

 ちょっと似てるのが少し腹立つ。


 私は今、ネコ探しの依頼中だ。


 額に大きな傷があるクロネコっていう見分けやすい特徴。そして、東区に住んでいる人からの依頼だから東区を重点的に調べればすぐに終わる依頼だと思っていた。


 でも、東区の路地裏とかネコが居そうな場所を探しても見つからないから、王都を一周してみたけど、それでも見つからなかった。


「コウも手伝ってよ」


 コウは精霊だ。

 空から探してもらったほうが早く見つかるかもしれない。


『えー嫌だよ。リリアが受けた依頼でしょ』

「ケチ」


 私はもう一度、東区へ向かった。


「やっぱり見つからない!」


 東区に戻ってきた私は、さっきよりも時間をかけてゆっくり探したけど、結局見つからなかった。


 昼頃に始めたのに、今ではもうすっかり日が沈み、街灯がポツポツと点くような時間になっちゃった。


 メインストリートは街灯で明るいけど、一本路地を外れると街灯が少なくて暗いから、今日のところはここまでにして帰ることにした。


「こんなことをする為に、村を出てきた訳じゃないのに」

『銀十士になりたいんだっけ?』

「銀十士になって、私を馬鹿にした村の連中を見返してやるんだ」


 銀十士とは、ギルド連盟の会長が定めた、王国内で最強格十人の称号。


 私が王都に数多くあるギルドの中で宵闇の宴を選んだ理由は、ギルドマスターが銀十士の一人だからだ。


「ユーナのギルドに入れば、すぐ銀十士になれると思ったんだけどな……むしろ遠ざかった気がする。討伐依頼が、全然まわってこないし」


 宵闇の宴は、他のギルドとは依頼の受注方法が少し違うらしい。


 他のギルドは、ランクごとに依頼書が貼られた依頼ボードから自分で受注したい依頼を選ぶ。でも宵闇の宴は違う。所属者一人一人に担当受付嬢がついていて、その受付嬢が所属者に依頼を紹介する。つまり、所属者は受付嬢が紹介してくれた依頼の中から依頼を選ぶしかないのだ。


 家まであとちょっとの所で、ふと気付いた。

 今まではなかった道が一本増えてることに。


「ねえ、こんなところに道なんてあったっけ?」

『いや、無かったと思うよ。おかしいね』

「ちょっと入ってみようか。ここにいるかもしれないし」


 道に入った次の瞬間、目を疑う非現実的な光景が広がっていた。


 街を照らすのは満月だけなのに、何故か明るい街。

 奥には、王都にある城よりも立派なお城。見覚えの全くない建物群。


 ……のはずだ。


 なのに。……なのに、懐かしい気持ちで胸が一杯になる。


『リリア! あれ!』


 コウが指差す方を見ると、額に大きな傷があるクロネコが居た。


「あっ! 居た! 待て!!」


 大声を出してしまったからか、ネコは路地へ逃げ込んだ。

 私は、ネコを見失わないように走って追いかける。



「つ、かまえたー!」


 随分手こずらされたけど、追いかけっこは私の勝ちで終わる。


 入ってきた時は、遠くにあった立派なお城が近くにあった。


 近づいたことによって更に懐かしい気持ちが込み上げてきた。


「きちんと戻れるかな?」


 追いかけるのに夢中で、正直、どうやってここまで来たか覚えてない。


 私の腕の中にいるネコは呑気に「にゃー」と鳴いてる。


「あんたのせいで、迷ったんだからね。分かってんの?」


 私はネコの頭をグリグリ撫でまわす。もふもふで癖になりそうだ。


「……や ……メ……」


 小さくて、聞き取れなかったけど、曲がり角の方から人の声がした。怖そうな人じゃなかったら帰り道を聞こう。


 女の人2人だった。


 ギュッと抱きしめ合っていて、銀髪の人が青髪の人の首筋に顔を埋めていた。


 ジュルジュルという、何かを飲む効果音。

 首筋から流れている赤い液体。


 ……吸血鬼だ。

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