1-3 リラベルに入ります!
起承転結の結です。
「と、言うわけで。私、リラベルに入るから、よろしくね!」
「「「ええー」」」
そういうと、家族は、大声をあげた。
「待て、お前、能力者になって落ち込んでるんじゃなかったのか?」
「そうよ、病院だって飛び出していって」
「俺らは、心配してたんだぞ⁉︎」
「いや、だから、落ち込んでたけど救ってもらって、能力者いいなぁ、私もそうなりたいなぁって」
私が言うと、みんなが小さく集まって話し始めた。
「……おかしい、こんなに馬鹿な子だったっけ?」
「能力に目覚めた後遺症かもしれん」
「頭打って馬鹿になったんだろ」
小声になってなくて、全部聞こえてるんだけど! しばらくすると、お母さんがこっちを向いた。
「わかった。能力者になったことについては、吹っ切れたのね?」
「うんっ!」
私は、大きく頷く。
「それじゃあ、そこは良かったわ。それで、話なんだけどね?」
「うん」
「なんで、リラベルなのよ!」
いきなり、お母さんが怒り口調に変わる。えっ、なんで?
「そうだぞ。あの最悪ギルドと呼ばれてるリラベルだぞ?」
「いい噂、聞かねぇし」
お父さんもカナデも、顔を歪ませている。さ、最悪ギルド? リラベルって、そんなギルドなの? そうには思えなかったけど。
「だから言ったじゃん。私を救ってくれたからーー」
「それが、たまったまリラベルだっただけでしょ? 他のギルドだって貴方を助けた」
「いや、けど、私を助けてくれたのは、リラベルだし……」
「リラベルだった“だけ”って話をしてるんだよ。偶然は、運命ではないんだぞ」
みんなが、頭ごなしに説得しようとするので、私は少し怒りが浮かぶ。
「運命とは思ってないけど、憧れているのはリラベルってことに変わりないし」
それに、リラベルについて色々言い過ぎじゃない?
「ていうか、なんでそんなにリラベルを毛嫌いしてるの?」
私の言葉を聞くなり、みんなは呆れ顔を浮かべた。
「知らないなら、教えてあげるよ。……ギルド人数最下位」
「しかも、ギルド能力値最下位」
「そして、ギルド人気ランキング最下位」
「……つまり?」
「「「弱くて人がいない、最下位ギルドだって言ってんだよ!」」」
三人が、怒りながらもシンクロする。何故だろう、家族の血を感じる。
「けど、そんなのただの他人の評価。どんなギルドか詳しくはわからないでしょ?」
「ミミ、一度ギルドに入ったら、抜けるのは難しいのよ?」
「気持ちだけじゃあ、続かないんだ」
「ギルドは、これからの家みたいなもんなんだぞ? やめとけ、そんな怖そうなとこ」
……怖そうな?
「そうだよ、それに不気味だし。何があるかわからないし」
……不気味?
「お前を助けたのだって、偶然。もしかしたら、他のギルドの手伝いの手柄を横取りした、ただの演技かもしれない。馬鹿みたいに信じるな」
……演技?
「黙って聞いていれば」
冷静にしようと頑張っていたが、もう耐えられない。私は、思いっきり手で机を叩いた。
「噂に振り回されて、そっちの方が馬鹿みたい! 私は、リラベル以外には入らない! もう決めたの!」
みんなは、少し 後ろ気味になりながら話す。
「いや、けど」
「私たちは、ミミのこと思って」
「将来を考えてだな」
「だから、それは全部噂でしょ!」
私たちは、何度も何度も言い合いを繰り返した。そしてーー。
「だから、貴方は浮かれてるだけで」
「ギャップってやつなんだよ」
「あるいは、吊り橋効果とかでな」
「…………」
私は、話を聞こうとしなくなった。その姿を見て、みんなは、また小さく集まって、話し合いを始めた。
「あーあ、へそ曲げたぞあいつ」
「あーなると面倒くさいのよね」
「どうする? しばらく放っておけばなんとか」
だから、聞こえてるんだって! けれど、私は認めてくれるまでは話さない。そのまま半ば筒抜けのまま、みんなは話し合いを続ける。
そして、しばらく経つと、お母さんがこっちに歩いてきた。
「ミミ、貴方は、どう言ってもリラベルがいいのね?」
「うん」
もしかして、認めてくれた?
「私たちは、ギルドに詳しくないから、噂でしか言えない。けど、リラベルはいい噂を聞かない」
「う、うん」
また、その話に戻るの? もう、耳がタコになっちゃうよ。
「……ミミは、後悔しない?」
私は、即決する。
「うん。絶対しない」
すると、お母さんは、お父さんとカナデと顔を合わせ、小さく頷いた。
「わかった。なら、止めないわ。好きにしなさい」
「本当っ!」
私は、跳ねながら喜んだ。長い言い合いの末、私の根気勝ちで勝負がついた。リラベル、あのギルドに入れるんだっ! 少し不安はあるけれど、あんなに楽しそうだったもん、きっと大丈夫だよね。
お母さんは、そんな私を見て、いかにも「全くこの子は……」と言ったような顔をしていた。
「さて、それじゃあ。もう完全に復活してるってことね」
「復活?」
「いつも通りかってことだよ!」
「あ、ああ。いつも通りだよ」
「ならよかった」
お母さんが笑う。みんな、そんなに出て言ったの心配してたんだ……。その時、カナデがぼそっと呟いた。
「あれを準備した意味ってーー」
「しっ! 黙ってろ」
お父さんが、カナデの口を塞いだが、私には聞こえていた。準備?
お父さんたちの後ろをよく見ると、机の上に、沢山の食べ物が置いてある。よく見ると、私の好きな食べ物ばかりだ。もしかして、励まそうとして、準備してくれたのだろうか。私が見ていると、お父さんが慌て始めた。
「あ、こ、これは違うんだぞ。そう、お、お前の旅立ち記念っていうか」
「不吉なことを言うな!」
お父さんは、お母さんからのげんこつをくらった。なんだか、いつも通りのその光景に、私はつい、笑ってしまう。
「みんな、ありがとう」
なんだかんだ言って、大切な家族。もうすぐで、お別れなんだ。今まで以上に、大切にしないと。




