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ウラファジールへの反旗

-アシュヴァルツ元王室にて-


リリファ達は、ウラファジールの魔道部隊の第一波からアシュヴァルツを防衛できたことに対し素直に喜んでいた。


しかし、防衛には成功したのだが依然として2ケ国から挟撃を受けているような状況は変わらずこの状況を打開しなければならなかった。


「どうしたもんかの〜〜!」


「・・・・・・・・・・・・・・」


はちばには腕を組み相変わらずふわふわとあたりを漂っていた。


不意に、はちばにはせわしない様子でバタバタし始めた。


「・・・はちばにどうしたの?」


「ああ・・・キルエルか・・・こんなタイミングで・・・」


「キルエル様が?」


「天界とのコネクションを確立するで!啓示がきたみたいや。」


はちばには、ツタを天に伸ばした。


また、キルエルの声がはちばにの身体を通して聞こえてきたのだった。


「久しいな。リリファ。」


「・・・・・はい。」


「早速だが、この状況はなんだ?ブルトナの侵攻に失敗し現在も守ることで手一杯だと?」


「・・・・申し訳ありません。」


「早急に成果を出せ。神花の領地を一刻も早く広めるのだ。」


「・・・・・・・はい。・・・・・」


リリファは悲しそうに返事を返した。


「黙って聞いていりゃあ随分な言い草だな!?」


その時、神との対話中にアインが口を出してきた。


「神だかなんだか知らないが、精一杯やってきたヤツに対して言う言葉じゃないだろうが?」


キルエルは鬱陶しそうにリリファに命令した。


「・・・黙らせろ。リリファ。」


「・・・アイン・・・落ち着いて・・・。」


「これが、落ち着いていられるか!?」


アインは、はちばにに掴みかかっていた。


「ぐわっ!!!あかん!神とのコネクションが切れてしもたわ!!!!やめや!!!!!」


「・・・ふん・・・・!」


「あかんあかん!!!!落ち着けやアイン!!!!」


「・・・すまない・・。」


「しょうがないやつやな!!まあ、ワイの方から後でキルエルには、うまく取りまとめとくけどな」


「あんま、口を挟むなや!」


「・・・・・・・・・・・・」


「アインは悪くない。」


リリファはアインをなだめるように言い放った。


「リリファ・・。」


「ふん、まあ憤る気持ちもわからなくはないけどな〜まあええわ。」


「とりま、防衛ばっかやってたんじゃラチが開かないっちゅうことやな。」


「その件に関して、俺から提案がある。」


「ほう〜!聞かせてくれや!」


「よし!ではこのアシュヴァルツ近郊の地図を見てくれ。」


「アシュヴァルツとウラファジールを隔てるブララ山脈付近に、浸透作戦を秘密裏に行うためのトンネルを建造してある。」


「なんやて!そりゃええな!!」


「リデステアを経由せずに背面から周りこみ、ウラファジール王都に直接攻撃を仕掛けられる。」


「現状はそれの手が一番良さそうやな!それじゃあその作戦で行くで!」




-ウラファジール王室の一角ルーヤの部屋にて-


ルーヤは国内の日報にぼんやりと目を通していた。


云くリデステアを魔道精鋭部隊が敵生物兵器から救った事や


諸悪の根源たるアシュヴァルツを攻略中である旨が書かれていた。


「・・・・・・・・・・・」


ルーヤはうんざりしたような目でそれらの記事を読み終えると、また自分のベッドに寝転んでいた。


「・・・僕には関係ない。何もかもお父上や兄弟達がうまくやっていくハズだ。」


また、ベッドの上でまどろみかけていた、ルーヤの耳に従者の声が飛び込んできた。


「ルーヤ様!緊急招集がかかりました!大至急会合の間へお集まりください。」


「・・・・またか・・・?」


ルーヤはうんざりしつつも、会合の間へと向かって行った。


会合の間では、国王や宰相たちが慌てた様子で今後の対応策について話し合いをおこなっていた。


「・・・?」


話の内容を察するに、ウラファジール西部のアシュヴァルツとの国境付近に突然


草木のバケモノ達と消滅したかと思われていたアシュヴァルツの騎士団が現れたというのだ。


敵が襲来することが想定されていポイントではなかったため、ウラファジールの参謀本部は混乱していた。


また、戦力の大部分はアシュヴァルツへ向けていた為に完全に不意を突かれる形となっていた。


「伝令です!城の外部にすぐそこまで敵が浸透しています!」


「なんだと・・!?」


リリファ達は電撃的にウラファジール城のすぐそばまで押し寄せてきていた。


-ウラファジール城城壁付近の庭園にて

ウラファジールの国境を超えるや否や、アインの騎士団を中心にその機動力を生かしてリリファ達はその国の城壁付近まできていた。


また、その城壁の周りには色鮮やかな草木が咲き乱れる庭園が広がっており


神花の育成には最適のようだった。


「ここに神花を植えていきたい。」


リリファはアインと、はちばにに伝えた。


「良いと思うで!」


「承知した!では俺たちはその間お前を外部の攻撃から必ず護り通そう!」


早速、はちばには辺り周辺を飛び回り神花の種をばらまいていった。


また、アインは周囲にいた警備兵達を騎士団を引き連れ討伐した。


リリファは、祈るような姿勢で集中し始めた。


すると、みるみる神花は成長して辺りに咲き乱れていった。




リリファ達がウラファジール城城壁付近の庭園に行き着いてから4~5日が経過しようとしていた。




ウラファジールの戦略指揮系統から分断された軍隊は組織的に抵抗することが難しくなり


庭園に近く者達はアインの騎士団に排除されていた。


また仮に庭園内部に入りこむことができたとしても、ブービートラップ状に配置された特殊な草木や徘徊する草木のバケモノによって瞬時に侵入者の体は肉塊になっていた。


辺りに神花は咲き乱れ、徐々にウラファジール城内部や城下街を侵食していった。




統一歴 882年 8月




ウラファジール城に籠城する王族や宰相といった国の首脳部をリリファ達はその勢いよく繁茂する神花によって掌握した。


城内には、草木が生い茂り神花の甘い香が辺りに漂っていた。


首脳部の面々は全て捕らえられ草木ツタの牢獄に監禁された。




ウラファジールは陥落し神花が美しく咲き乱れる神の領地となった。




統一歴 882年 10月


同じくリデステアもウラファジール側とアシュヴァルツ側から挟撃をするような形で


首都を陥落させ神の領地となった。


-ウラファジール陥落後に

ウラファジールとリデステア占領に伴いリリファ達は、今後の戦略について談合を開き話し合っていた。


「うーむ・・・ウラファジールとリデステアを陥落させたのはええけど、やはり今後の展開をどうするかが課題やな・・・」


はちばには、腕を組み悩ましげにパタパタを耳を羽ばたかせていた。


「占領地域拡大に伴って、対面しなければならない敵国が増えたのが大きな問題だ。」


「我々は、ブルトナ、エクリデフト、アミュツィオーネ、オムテ・ムスカなどの各国に対応しなければならなくなった。現状は防衛で精一杯だろう。」


アインは戦況を分析しリリファ達に進言した。


「・・・・・・・・。」


リリファはうなづきつつ沈黙していた。


「まあ、課題は残るけれど現状は課題達成というとこやな。」


「キルエルに報告しとこうか。」


「ちょっと、にいちゃん!席を外してくれや〜!」


はちばには、アインに目配せをした。


前回キルエルの啓示を受けた際にアインとは衝突があったので配慮したのだった。


「・・・ふん。」


アインは不服そうながらも席を後にした。


「よし。それじゃキルエルとの交信を行うで!とりゃ!!」


はちばにはいつものように頭上のツタを天に向けて伸ばし、精神を集中させ始めた。


「・・・・キタ・・!!」


「・・・ウラファジール、リデステア占領共にご苦労だった。」


はちばにを通してキルエルの声が伝えられてきた。


「・・・・はい。」


「はちばにから、状況は概ね聞いている。」


「現状は防衛に徹するが良い。」


「・・・・・わかりました。」


「あとは、今後の流れを説明しておく。」


「今後は、占領国の住民達を天界へと続く庭園へと移住させておけ。」


「・・・・天界へ続く庭園へと・・・?」


「・・・・・そうだ。」


「位置をはちばにに伝えておく。」


「・・・・・・わかりました。」


「そして、人間達にはこう伝えて誘導せよ。」




神花に導かれし人の子達よ。


近いうちに浄化の水流が大地を洗い流すだろう。


これは神々の決定であり宣言である。


家を捨て、おまえの命を救え。


使徒の導きに従い神の庭園へと退避せよ。


救済はそこにある。




「・・・・・近いうちに浄化の水流が・・・・?!」


「そうだ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


リリファはうつむいた。


「話は以上だ。お前の使命を全うせよ。」


「・・・・・・・・はい。」


神からの啓示の内容を聞き終わり、リリファはぼんやりと虚構を見つめた。


「私の使命は・・・・・。」



-ウラファジール城の元王宮の一室にて-


ウラファジール城の元王宮の一室にルーヤ ウラファジールは監禁され身体をツタ状の植物に絡め取られ身動きが取れない状態にさせられていた。


「・・・・・・・・・・」


ルーヤは微睡む目を気だるげに開いた。


自分は囚われて何をすることもできなかった。


しかして、もとより囚われようとも普段の生活をしていようとも変わらず、流れに身を任せていくだけの自分があり今も大して変わらないことにルーヤは気がついた。


微睡みと戦いつつもルーヤはぼんやりと虚構を見つめていた。


(魔道書が読みたいな・・・・)


ぼんやりとそう考えていた時、不意に目の前が眩しくなった。


また、花の甘い香があたりに漂うのが感じられた。


よく見ると少女のような人影がこちらに向かってくるようだった。


「・・・・・・は・・・?」


ルーヤは訝しげにその人影を見つめた。


「・・・・・・私はリリファ。」


その人影は答えた。


「・・・・・・あんたは、使徒なのか・・・?」


ルーヤはその人影に問いを投げかけた。


「・・・・・・・私は使徒であるらしい。地表の人間を救済するための・・・。」


「バカな。あんたはこの国の面倒ごとそのものだ。」


「僕の目の前から一刻も早くきえて欲しい。」


ルーヤはリリファに対し言い放った。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


リリファは何も答えず、そして手に大きな鋭い枝のようなものを持ち構えルーヤの胸元に突き刺した!


「・・・・うっぐあ・・!!!!!!」


ルーヤは胸元に激痛を感じ悶絶した。


しばらく時が流れ、ルーヤは胸元の痛みが引いていくのを感じ自分の胸元を見つめた。


出血は無く、何かが自分の胸の中で蠢いている感覚を感じた。


「・・・・何があったんだ?」


「胸が苦しい・・・・・!」


「それは、あなたに生きる使命を与えるもの。」


そばにはリリファがおり、ルーヤを見つめながら語りかけた。


「僕の使命・・だと?」


「そう。あなたの欲望を増大させ使命に導いていくの。」


リリファはそう言うと、ルーヤの胸元をそっと撫でた。


「・・・・・・・!!っ!!!!ぁ!!!」


ルーヤは、甘く突き刺すような感覚に襲われまた悶絶した。


「神花があなたの心を導く・・・・。」


リリファが最後にそう言ったのをルーヤは聞くとその激痛により意識が遠のいて行くのを感じた。


長い時間が流れた。


「・・・・・・・生きてる・・。」


ルーヤはまた、目を覚ましあたりを見回した。


気がつくと自分の手足に絡みついていたツタは消え去り拘束は解かれていたようだった。


「私と共に人間を導く為に協力して。」


リリファの声が部屋の入り口から聞こえた。


「僕に指図すんな。」


「おもしろそうだからついて行ってやる。僕のそばから離れるのは許さないからな。」


ルーヤはそう言うとリリファの元へと駆け寄って行った。


使徒としての導き

リリファ達は神からの使徒としてアイン、そしてルーヤを加えて神花によって占領した国々を巡っていた。



占領国の人々は神花の魔力によって、争う心を無くしまた神を崇める賛美歌を口ずさんでいた。




リリファは、人々にこう伝えて回った。




神花に導かれし人の子達よ。


近いうちに浄化の水流が大地を洗い流すだろう。


これは神々の決定であり宣言である。


家を捨て、おまえの命を救え。


私の導きに従い神の庭園へと退避せよ。


救済はそこにある。



リリファはそう伝え、神の庭園の場所を指し示した。


「ここから西へ、リデステアの南の外れにそれはある。」


(私が生まれたこの地表でもっとも天界に近い場所・・・。)




そしてウラファジールを通り、リデステアに差し掛かった。




リデステアもすで陥落していたので、あちこちに神花が咲き乱れていた。


また人々も崇めるように伝令をきき、そして従い庭園へと目指していった。


そんな中でリリファ達に駆け寄ってくる青年が一人。


「やはり貴女だったのですね!また逢えるなんて。」


「あなたは・・・・。ジグル。」


駆け寄ってきた青年は、リリファ達が地上で初めて出会った行商人の青年だった。


ジグルは跪きそしてリリファに願い申出た。


「どうか、貴女のお供をさせてください。」


「貴女の使命を果たすための力になりたいのです。」


「・・・・・・・・・・・・」


リリファはしばらく考えこんだ後に答えた。


「人々を神の庭園へ導くための、伝令の手伝いをお願いしたい。」


「行商人のあなたなら、各地への情報伝達を行うことは容易いでしょう?」


「かしこまりました、全ては貴女様のために…」



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