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ウラファジールの侵攻

ウラファジールでは、着々とアシュヴァルツ侵攻のための準備が進められていた。


侵攻に踏み切る決断をおこなった経緯にはいくつかあり、


アシュヴァルツが現在謎の生物兵器によって陥落され隣国として対応しなければならなくなったこと。


アシュヴァルツ駐在中の敵兵力がブルトナに向けて侵攻を開始し、現状のアシュヴァルツ国内の兵力は分散しているとの見方が強まったこと、


ブルトナにおける敵生物兵器への対応策がある程度見えてきたこと、


またかねてから欲しがっていた貿易国家リデステアを手に入れる絶好の機会だと国の首脳部がみなしたことが挙げられていた。



-ウラファジール 王宮の回廊にて-


ルーヤは、いつものように気だるい目つきで回廊を歩きながら呟いた。


「リデステアに侵攻するのか・・・。」


国の重役会合でリデステアへの侵攻の知らせをルーヤは聞かされてきたのだった。


「面倒なことになってきたな。何もかも面倒だ。」


「父上は何もわかっていないな。」


「戦おうとしている相手がどんな存在でどれほどの脅威なのかどうか。」


「神からの使徒を仮に倒せたとしても、神との対立は避けられず結局は破滅からは逃れられない。」


「みみっちい人間の営みとやらを、神様は綺麗に片付けてくれるってわけだ。」


「アレはその前兆だ。」


「もしもみんな破滅してしまうのであれば、できる限り楽にみんな消えてしまえばいいのにな。」


ルーヤはぼんやりと窓辺から空を見上げていた。



-統一歴 882年 6月-


ウラファジールはリデステアに潜入させていた特殊魔道部隊を中心に、


リデステア首脳部邸の制圧工作を開始、政府の活動を麻痺させることに成功した。


これにより、組織的に抵抗することができなくなった同国に対し、保有する魔導精鋭部隊をリデステアに電撃的に送り込み謎の生物兵器からの保護の名の下に占領し事実上の支配下においた。


また、ウラファジールは占領下においたリデステアを拠点として間髪を入れずに敵生物兵器撃滅の名目の名の下にアシュヴァルツへの侵略を開始した。



-同時期 アシュヴァルツの元王室にて –


ブルトナから一時撤退したリリファ達は、戻ると同時にウラファジールがアシュヴァルツへと国境を越境し侵攻を開始した旨を知らされた。


「こりゃまずい!あかんやつや!ほんま、このタイミングで侵攻してくるとはウラファジールめ!ああ!どないしよ!!!」


「ブルトナ方面への守りも固めなアカンし、ウラファジールへの対応もせんとなるとジリ貧やで・・・!」


はちばには、あたりをあたふたと飛び回った。


「・・・・・・・・・・」


リリファも不安そうに目を伏せていた。


「すぐに、俺の騎士団を解き放ってくれ!王宮の地下に今も捉えられているのだろう?」


「アシュヴァルツの防衛をすぐにでもさせてくれ!ウラファジールの奴らに国土を蹂躙されるのは絶対に許されることではない!」


アインは声をあげ必死に訴えてきた。


「うーん・・・しかしなぁ・・・・・・信用できるかどうか微妙やさかい・・・」


ウラファジールとブルトナに挟撃され、かつアシュヴァルツの騎士団に叛逆された場合リリファ達の生存は絶望的だった。


「俺はリリファを護ると誓った。騎士の誇りにかけて必ず成し遂げる。」


「どないしよか・・・・・・」


はちばには腕を組み悩ましげに首を傾げた。


「・・・・アインお願い。私たちを護って。」


「もちろんだ。俺はお前を護るための騎士なのだから。」


アインは力強くうなづいた。


「・・・騎士団を解放するから。アインは騎士団たちと共に城下の防衛にあたって。」


「ありがとう。必ずお前の期待に添える働きをしてみせよう。」


「まぁ、そこまでやる気なら頼んだわ!アイン!状況も逼迫しとるし、まぁ期待しとるで!」


はちばには、バシバシとアインの肩を叩いた。




-アシュヴァルツ城壁東門にて –


ここ、アシュヴァルツの城壁の最外殻東門にて、ウラファジールの魔道精鋭部隊が


押し寄せてきていた。


彼らは、神花の人の心を錯乱させる魔力に対抗するため、


特殊な魔力を帯びたマスクを装着した魔道精鋭部隊だ。


また、彼らのサポートを行うための工兵達も多数編成されていた。


まずは魔道部隊が城門付近をたむろしていた草花のバケモノを炎系の魔法で


速攻で焼き倒した。


続けざまに工兵達が閉ざされた城門に爆弾を設置し手際よく起爆


侵攻のための突破口を開いた。


東門から魔道部隊は侵入しアシュヴァルツの中枢部に向けて駆け抜けていった。


アシュヴァルツ城下街は以前とは比べものにならないほど豹変しているようだった。


見たこともないような草木が生い茂り、街の建物を侵食していた。


不意に、魔道士隊の先鋒集団は足元に違和感を感じた。


よく見ると、ワイヤーのような非常に硬いツタ植物が足元に引っかかっているようだった。


その足に引っかかったツタを取り除こうとした瞬間、横からものすごい勢いで槍状に尖った枝が身体に突き刺さった!


「グワァあああああ!!!!あぁっ!!!!!!」


リリファ達は城下街のいたるところにこのようなトラップ状の植物を配置していた。


特に、敵の進路足り得る要所には無数にこのようなブービートラップ状の草木を配置していた。


「ウァアア!!!」


「やめろお!!!グワァア!!!」


先鋒部隊の多くは、このようなトラップの餌食になりあたりには、魔道士達の悲鳴がこだましていた。


「止まれ!これ以上の侵攻は犠牲をいたずらに増やすだけだ。」


「作戦を切り替える。延焼術にてあたりの草木を焼き払え」


魔道士隊の隊長が隊員達につげると、隊員達は陣形を組み始め


炎上魔術を唱え始めた。


「あたりに炎の揺らぎが生じはじめ炎が勢いよく生成され始めた。」


いよいよ魔術を解き放つその時、魔道陣形に飛び込み切り込みを放つ騎士が一人


「グワァア!!バカな!!?」


「アシュヴァルツの騎士がまだ現存していると・・・!??!」


「はああああッッ!!!!!!!!!」


先陣を切ったのは騎士団長アインだった。


「俺に続け!!!我が国への侵略者を薙ぎ払うぞ!!!」


「おおッッ!!!!!」


アインの合図に続いて、騎士団が続き敵の魔道士達を蹂躙した。


この日、アシュヴァルツに侵攻を開始した先鋒の魔道大隊は硬い城下街での抵抗に阻まれほぼ全滅したのだった。



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