天界から地表に降り立った1体と1匹 - 商業の国 リデステア 付近町外れの街道にて-
名もなき協会を飛び出して数刻、リリファはふわふわとはちばにに捕まりながら辺りを見回していた。
しばらくして、
はちばにとリリファは、協会から少し離れた場所でリデステアの街並みが遠く小さくみえる場所に降り立った。
「ほなそろそろ・・・見えてきた!あれが人間の街や、見かけ的には商業の街リデステアかな?」
「・・・商業・・・??」
「そそ!あきないの街やで」
「・・・・・・?」
「とりま、いきなり街に降りるのもアレやからここいらの土地を使って力の練習をしてみよか。」
「・・・・・・・わかった。」
辺りには、拓けた場所で程よく草木が茂っていた。
「ほないくでぇ〜!」
「・・・・・・・・・」
「まずは、地表に落ちているアイテムを回収するとええよ!」
そう言うとはちばには、辺りを見回して近くの草木に飛び込んだ。
またしばらくして、周囲の草木になっていたであろう果実を持ってきた。
「ほら、これとかどうや〜〜」
「めっちゃうまい!!」
ガリガリと果実を頬張るはちばにを尻目にリリファは辺りを少し探索していた。
「・・・この辺りの植物は・・・何だろうか、私には合わない気がする。」
「どうしたリリファ??浮かないツラで」
「・・・・・・・・・・」
「ああ、地表の草木はおまはんには、合わんちゅうやつやな!」
「天界の草木と地表のものはえろう違っとるからな」
「丁度ええ、この辺りの草木を間引いて見よか」
「天界の植物達をこの地に根付かせるのに、地表のやつらは邪魔やからなぁ間引かねばならん」
「どのように間引くの?」
「うーん・・・間引くやり方は、ワイはようわからん・・・お前さんの力をうまく使ったらいいんじゃなかろうか??あの念じるというか、おもろい力を使ったらええんじゃないか?」
「・・・・・こう・・・かな?・・・おそらく」
リリファは、目を閉じて集中し始めた。
(望む力・・。私の望む世界・・・・・・)
すると辺りに生えていた草木がみるみる縮みはじめ、そして複数の光の球に還元されていった。
「すごいな・・!!みるみる草木が間引かれていったで!?」
「この光の球は・・・?力を感じる・・。」
「これは、マナっちゅやつや!ありとあらゆる行動を起こす為に必要とされるエネルギー塊みたいなものやな」
「なるほど。」
「さっき、力を使った時にもともとあった植物が還元されてマナの形に変換されたんやね・・ヒューすげえ・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「よし!それじゃあ、丁度もともとあった植物がうまく間引かれて場所が空いたから、天界の植物をこの土地にみっちり根付かせてやろうやないか!」
「よっしゃ、一仕事したろうか!そりゃああ!!!!」
そう言うと、はちばには辺りを飛び回り、天界から持ってきた植物のタネを振りまいた。
「よし!タネを蒔いてきたで!ほなあの力を!あの力で天界の植物に力を与えてくれや」
「・・・・・・・・・」
リリファは同じように念じてみたが今度はうまくいかなかった。
どうにも思考が途切れ途切れになり集中力が続かないようだった。
「・・・待って・・・少し疲れたみたい。」
「ふーんそうか・・・そうやな!力を連続して使いすぎたんやな。」
「まぁ、ゆっくりいこうや。ゆっくりここの土地からマナを吸収して力を蓄えるのがええぞ」
「・・・・マナを・・?」
「ほら、よくみてみ。ここの土地からマナが少しづつ湧き出ているのが見えるやろ??」
「・・・ほんとだ。よく見るとあちこちからマナが少しづつ湧き出ているみたい。」
「この湧き出ているマナをゆっく集めるんや・・・!これであの力がまた使えるようになるはずや」
「・・・そうだね。待ってみることにする。ありがとうはちばに。」
「はっはっはっ!これぐらい朝飯前や!さっき朝飯は食ったけどな!はっはっはっは・・!!」
そんなわけで、1体と1匹?の精霊と妖精?はしばらくゆっくり待つことにした。
太陽が落ち、辺りは暗くなり、星空を眺めていたら、また陽が登っていた。
「マナが辺りに満ちているみたい。」
「・・・おはよリリファ・・・・!そやな・・・!気持ちの良い朝はマナの排出量も多いんや」
「よし・・・!それじゃマナを回収しようか!」
そう言うと、はちばにはまた辺りを飛び回り「マナ」と呼んでいるその光の球を集めてきた。
「これや!これでバッチリ力がみなぎるやろ!」
「・・ええ!確かに力を感じる・・・今ならいけると思う」
リリファは昨日と同じように力を込めて念じてみた。
祈るように力を込めて・・・。
すると、昨日に植えた天界の植物がこの地表に芽吹きみるみる成長し、そして花を咲かせた。
「綺麗・・・・!!!!」
「流石やな!!リリファ!!すごいぞ!!!」
1体と1匹は、自分たちが成し得た光景に歓喜していた。
しかし、そんな歓喜に満ちた空気も突然やってきた招かれざる客の登場によって乱されることとなった。
「・・・・なんだろう・・・!何かの気配を感じる!!」
「おお!来なさったな・・・!この気配は!人間だ・・・!近くにいるぞ!」
- 名無しの協会付近リリファたちの庭園付近を通りかかったある帰郷途中の行商人 の話-
最初に目にしたのは、この世のものとは思えないような美しい光景だった・・。
朝焼けの光に照らされた今まで見たこともないような美しい花々とそしてその中に佇む少女の人影。
我が故郷のリデステアへと郷里の途中ふと見かけた光景に時間を忘れて見とれていた自分がいた。
「・・・・何と美しい・・・・・」
まるでこの世のものとは思えないような、そんな美しさをこの偶然通りかかった行商人の青年は感じていた。
時間を忘れいつまでも見ていたいような吸い込まれていくような感覚
しばらく、見とれていたのだがしかし、佇む少女がこちらに気がついたらしく訝しがるような目でこちらを見てきた。
その視線があった時に僕は直感で気がついたのだ。
この少女はこの世の存在ではないと。
何か超越的な存在であるのだと。
また、その存在全てに心を奪われた。
その存在全てに我が存在の全てを捧げたいと心からそう思った。
僕はその存在に思わず駆け寄っていた。
「僕の名はジグルと言います。貴女の名は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
呼びかけたのだが、少女は何も答えなかった。
ジグルと名乗ったその青年はその場にひざまづきまた、続けて呼びかけた。
「いきなり突然呼びかけて申し訳ありません。僕は行商人をやっていまして何か貴女のお力になれたらと思いここに参上いたしました。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「必ずや貴女のお力になります。どうか・・・」
「・・・私はあなたの味方ではない。神に命じられて此処へきた」
「!・・やはり貴女はそのような高貴な存在だったのですね…なんて神々しいのでしょうか…。」
「ここから、即刻立ち去りなさい。」
「この辺りに咲いた草花は神の支配下であることを示すもの。生身の人間が滞在していると心を蝕まれ正気を保てなくなる。」
「それでも僕は構わないです。貴女さえいれば、僕はそれで…たとえ心を蝕まれようとも・・・」
ジグルがそう話し終えようとした時、不意に茂みから丸っこいもさもさした存在が飛び出し、体に体当たりを仕掛けてきた!
「!・・・グゥ・・・!」
吹き飛ばされ仰け反るジグル
「あのなあ!黙って聞いていればしつこいぞ!お前は!!!」
「され言うてるんやから、さっさとされやバカモンが!!!!」
「く・・・!!!」
ジグルは起き上がり、少女に呼びかけた
「今はここを去ります。突然押しかけてしまい失礼いたしました。」
「僕は・・・僕は貴女のことを忘れません。またいつか必ず会えると信じています。」
「お側に置いてくだされば必ずお力になります。全ては貴女様のために…」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はよ失せろやボケ!」
「・・・・失礼します。」
ジグルは深々と頭を下げた後、街道を歩き進んで行った。
「なんやアイツ・・・えろうめんどくさそうなヤツやったな〜〜」
「まあ、ワイが追い払ってやったおかげで面倒事が増えなくてよかったな!感謝しろよ〜リリファ!はっはっはっはっ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ジグル・・・か・・・・」
辺りには、朝日が登りきり爽やかな澄んだ風が流れていた。
そして、その風に乗るようにリリファがこの地に植えつけた神花の香が甘く吹き抜けて行った。
「さぁ!もうひと仕事や!この辺りの神花たちをもっと活性化させてどんどん広げていくぞ!」
「・・・そうね」
1体と1匹はまた、自分たちに与えられた使命を果たすべくまた再度動きだして行った。




