-始まりの庭園と黄昏-
-夕刻 始まりの庭園の名もなき教会の屋根上にて-
リリファは教会の屋根の上からあたりを見回していた。
ここは、リリファがかつて生を受け地表に始めて降り立った場所。
今では始めて見た景色とは全く違った景色がそこにあった。
果てしなく続いている泥土にまみれた世界。
泥と旧世界の人間が残した文明の残骸だけが辺り一面に広がっていた。
「凄まじいながめだな。」
アインがリリファの側へ駆け寄り声をかけてきた。
「・・・・ええ。」
二人は果てしなく続く地平線を眺めた。
「リリファ!俺は・・・お前を護りたい。これからもずっとだ。どんな苦難が訪れようともずっと・・。」
「ありがとう。アイン。これからもずっと側にいて。」
リリファはそう言うとそっと肩をアインの身に寄せた。
「そやな〜!これからもよろしく頼むで!はっはっはっはっ!」
はちばには、辺りを飛び回りながら二人に話しかけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「これから、やらなきゃならんことが山ほどあるで!」
「この泥だらけの世界をまた草花の咲き乱れる世界へ変えていかなあかん」
「あとは、文明の再建やらなんやらとか・・!まあがんばりや!」
はちばには二人にそう伝えるとくるくると辺りを楽しそうに飛び回ったのだった。
「俺たちならきっとできるさ。みんなで手を合わせてまた世界を再建していける。」
アインはそう言うとリリファを抱えて屋根から下へと飛び降りて行った。
「おい!アイン!!!リリファを持ってどこへ行くんだ!ふざけんな!!」
下では、ルーヤが顔を真っ赤にして怒っていた。
「ふん!これからやらなきゃならないことが沢山あるんだ。俺はリリファをこれからも必ず護り通してみせる。」
「はぁぁ!?勝手にリリファを自分のものにすんなよな!」
「・・・二人とも仲良くして。」
リリファは二人をなだめるとまた、庭園の中を歩き出した。
庭園の人々はリリファを見ると崇め、そして祈りを深く捧げた。
リリファは人々の方を向きそしていつになく力強い声で語りかけた。
「塵は塵に、灰は灰に、土は土にそこから取れたものなので還っていった。」
「私たちは、これから土から新しいものを作っていかなければならない。」
「だからみんな、私に力を貸して。」
皆がその言葉に耳を傾け、そして強くうなづいた。
リリファはまた、祈るように目を閉じ集中した。
辺りの草花がその祈りに呼応するかのように風に揺れ甘く爽やかな香りが辺りに漂った。
また、泥土に覆われた地表にも草の芽がところどころ芽吹き初めているようだった。
リリファはまた、皆と共に泥に覆われた世界へと降り立った。
「私たちは望むように世界を作っていける。」
夕日の光がリリファ達を力強く照らしていた。




