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浄化の水流

-アシュヴァルツ城下街にて-


リリファ達は天界からの使徒として人々に地表にもうすぐ浄化の水流が発生することを


伝え歩いていた。


「リリファ!俺たちが伝えている話は本当なのか?浄化の水流とやらが本当に発生するのか?」


アインはリリファに問いを投げかけた。


「・・・・本当よ。キルエル様が決定したことだから・・・。」


リリファはうつむきながら答えた。


「・・・なんてことだ・・・。」


「リリファ!なんとかブルトナやエクリデフトのみんなも庭園に避難させることはできないだろうか?!」


「同盟国の仲間達を見捨てることはできない。」


「・・・・・・・・・・・・・」


リリファはうつむいて、黙り込んだ。


「俺が直接ブルトナとエクリデフトに赴き交渉すれば彼らも事態を飲み込んで庭園に避難してくれるかもしれない。」


「・・・・・・・・・・・・・」


「俺を交渉に行かせてくれ!」


「駄目!アインは私のそばにいて。」


「・・・・・そうだったな。俺はお前を護る騎士だもんな。」


アインは強くうなづきリリファの方を見た。


「・・・ふん!リリファは僕のものだ!勝手にお前のものにするな。」


ルーヤが間に割って入ってきた。


「僕も貴女の力になりますよ。」


ジグルも強くリリファに語りかけた。


「ワイのことも忘れるなや〜〜!」


はちばにも(略


「・・・・・・・・・」


リリファは少し微笑み天を見上げた。


-始まりの庭園にて-


リリファ達はアシュヴァルツを巡り、人々を引き連れついにリリファの生まれた場所である「始まりの庭園」まで辿りついた。


庭園中には地表では見られないような色とりどりの美しい草木や花々が咲き乱れ、また


庭園の中央部には寂れた教会のような建物があり辺り一面にツタ状の草木が繁茂していた。


「私の生まれた場所・・・・・。」


リリファは、ここを旅立った時のことを思い出していた。


生まれてから地表に降り立ちまだ月日は長く経ってはいないものの、ここを飛び立った時のことが酷く懐かしく、また同時に昨日あった出来事のように身近にも感じられた。


「・・・不思議な感じがする。」


リリファは庭園中央部の教会内部を探索し、教会の天窓から光が差し込む場所を見つけると空を見上げそして祈りを捧げた。


その天からの光に照らし出された姿は神々しく光輝いていた。


そして幾日かが過ぎた頃。


庭園には、神花によって占領された国々の人々が押し寄せ中央部の教会に祈りを捧げていた。


庭園には風が強く吹いていた。


空には暗雲が立ち込め、どす黒い雲が渦を巻いていた。


雨がポツリ、ポツリと音を立てて降り出した。


「・・・・・くる・・・・!」


リリファは、いよいよ浄化の時がきたことを感じとり天を仰ぎみた。


-始まりの庭園 名もない教会にて-


リリファは祈りを捧げ天を仰いでいた。


空からは大粒の雨が降り注ぎ黒雲がまがまがしく渦を巻き唸りをあげていた。


幾日も大粒の雨が降り続き、ついに河川が氾濫し地表の大部分は洪水に襲われた。


庭園は、やや高所に存在していたので今の所は洪水に飲まれる心配はなさそうであったが


他の低地が多く広がる国土を持つ国はすでに甚大な被害が生じていた。


多くの避難民が発生し山間に逃れた。


また、リリファ達がいる庭園にも洪水から逃れるために避難してきた難民達がいた。


「助けてください・・・!」


「村が水没してもはや行き場がありません!助けて・・!」


リリファ達は避難してきた人々を受け入れ皆で洪水に備えるようにした。


それからまた幾日も過ぎ大雨の勢いは止まることを知らず、ついにリリファ達のいる庭園にまで荒れ狂う水の流れが押し寄せようとしていた。


リリファは教会の奥で精神を集中させ祈りを込めた。


すると、庭園根底を大きく持ち上げるように丸い大きな葉が芽吹いた。


その大きな葉は洪水の流れに揺られつつも力強く庭園を支えた。


時間が経つにつれ水位の上昇に伴い芽吹いた葉は水上に浮き上がりその葉に支えられるようにして庭園も水の上に浮かんでいた。




-浄化の時の流れと共に-


空から降りしきる大量の大雨は止まることを知らず、やがて地表は名だたる高山を除き全て水で覆われることになった。


また、洪水の発生と時を同じくして地表を大きな地震が襲った。


大地は激しく揺れ亀裂がいたるところに走った。


「・・・地殻が変動している・・・!」


リリファは息をのみつつも尚も祈り集中を続けた。


「神の怒りだ・・・!」


「お助けを・・・!!」


庭園に避難した人々は皆必死に神に祈りを捧げていた。


地殻変動に伴い地表では海面からの大きな津波に襲われていた。


荒れ狂う大きな波が押し寄せ、名だたる高山でさえもついにはその大きな波に飲み込まれてしまった。


リリファ達を乗せた庭園とそれを浮かべる大きな浮き葉は、辛うじて押し寄せる波に耐えながらも沈まずに耐えていた。


津波が幾度となく押し寄せ空はどす黒く荒れ狂い、まるでこの世の終わりのような光景が永遠と続くかのように思えた。


庭園のリリファ達と人々はうずくまり身を寄せ合い神に祈りを捧げ、そしてまた幾日もの日が過ぎていた。


気がつくと激しかった波は止まり、果てしなく続くかと思われていた大雨は止み、そして雲の切れ間からは光が差し込んでいた。


辺りには水面が果てしなく広がっており見渡す限り水平線が続いていた。


その果てしなく続く水面上にリリファ達の庭園とそれを支えるように伸びた大きな浮き葉はポツンと漂っていた。


そして、幾日かがまた過ぎた。


水は未だに引く気配がなく、人々はまた神に祈りを捧げた。


リリファも祈りを捧げ続けた。


すると、水上に浮かばせている浮き葉から茎が伸びはじめ、そして花をいたるところに咲かせた。


花は甘い香りを漂わせた後に果実をその先端に付けた。


人々はその果実を神に感謝を捧げながら頂き、その身体の飢えを癒した。


それからまた幾日も月日が過ぎていった。


水面の水位は徐々に下がっていき、やがて地表が姿を表し始めたのだった。


かつて、盛えた人間の文明が存在していた地表の姿がそこにはあった。



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