表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/115

復讐者、新たなる敵の影

約150年前


まだ種族同士で争いが頻繁に行われていた時の事だ。


「いや―…疲れた」


山を一つ越えて、ラッシュ・アデルバードは近くの座れそうな岩へと座る。


(いいのか?バロンのやつを魔王国に置いてって?)


これは二人がミカロジュの森を後にしてからの話だ。


(あいつは故郷でエルフ達を導いた方が幸せだ。慕っているやつも多いし、それにエルフにまだ残っている少し偏屈な考え方もさ…あいつが発端になればましになるだろ?)


ラッシュはすでにどこかの地で国を立ち上げたいと思っていた。どの種族も平和に暮らせる国を。


亡き妹との約束でもあるその国をラッシュは建国しようと模索していた。


(しかし、まだ…そのバランって国は…)


二人はミカロジュの森から南西へと歩き、商業の国バランへと向かっていた。


(商業の国 バロン、そんな国があったなんてな)


ラッシュはどこの国の所属かも分からない片田舎の村に生まれ育った。

国どころか、街に行った事も数えるくらいしかない。


(ああ、おそらくやつはあそこにいるだろうな)


(お前の父親ってやつか?)


(この国だけ…唯一といって全部の国と交流があるんだ)


この大陸には現在、9の国が存在する。


イグルシア帝国、鍛冶の国 エラバス、合衆国 オウブロラ、ミカロジュの森、獣の国 ヴォンロウド、レイズ王国、魔法国ラ・ウェールと存在し、合衆国オウブロラを除いて、全ての国が一種族で国政が賄われている。


そして、先に述べた8つに足して…目の前の商業の国 バラン


ここは他種族の国ではあるが…国の名を借りた会社みたいな存在だ。


何故かこの国の商業は豊かで…各国の最新用品を取り寄せて売る事に長けているのだ。


言わば、最強の中立国。ミカロジュの森の比ではない程に、この国は各国の外交の潤滑油になっている。故にこの商業の国 バランだけは全ての国と交流が出来ている。


(そんなことできるのは影に【復讐】の親がいるからしか考えられないって事ね…やつはここにいると見ていいだろうな?)


(あぁ…)


(お前は一体どうしたいんだ?親と会ってさ)


(正直分からない…恐らく父がここにいるのはこの世界の民をよりまじかで確認するためだ。だけど…正直いつまでそれを続けるのか…)


(もしかしたら…この世界を滅ぼす可能性があると…)


(ないとは言えないな…)


争いだらけのこの世界。見切りをつけてもおかしくはないと思われているかもしれない。


(なぁ…それならさ…まずは他のスキル達を探した方がいいんじゃないか?)


(無理だ)


【復讐】は即答する。


(あいつらがどのスキルとして今いるのか分からないんだ)



(まぁ、才能の数だけスキルはあるからな…、どうしても見つからないよな)


そう話しながら、とりあえずは【復讐】の父探しという事でバランに向かったんだ。


そして、バランを観光したラッシュとレイジはレイジの父である神の存在に目をつけた。


それは必ずしも感動の再会にはならなかった。


(まさか…あいつが)


神はいった。この世界の民への期待はどんどん下がっている。

ラッシュは忘れられない。何にも期待していないあの声に、そして言ったのだ「もう、準備は始まっていると」


ラッシュと【復讐】は抗った。覚えたての想力と【復讐】を使い、倒そうと…いや、殺そうとした。


しかし、結果は惨敗…それも見逃されたのだ。


「お前らがどうしようと、私の計画に狂いはない」


最後に【復讐】の父はそういい、ラッシュ達を解放した。


その後にラッシュと【復讐】は心が折れかけながらも、耐えた。


そして、ラッシュは言う。


「なぁ…【復讐】…少し時間をくれないか?」


(え?)


(今、俺達ではおまえのお父さんには敵わない。だけど、戦力を整えれば…)


(どうやって…国一つではどうしようもないぞ…)


(まずは俺が建てたい国を建てるけど…思ったんだ、俺の国づくりが役に経つんじゃないかって…建てた国を基盤に他国との協調を増やすんだ)


さらにラッシュは言う。


(そして、もう一つ大事な事がある…間違いなく、7人のスキル保持者は必要だ…だけど…見つけるには大変だ…そこで国家象徴制度を建てようと思う)


(なんだそれ?)


(その国を象徴するスキル保持者に与える称号だ!建前は…国にこの人ありと他国に知らしめるためのモノだけど…本当は7人のスキル保持者…番人達を見つけるためのものだ!その方が見つかる可能性高いだろ?)


(…まぁ、おそらく俺を含めた番人達が宿るスキルは強力だ…並大抵の存在ではないはずだけど…)


(だから、先にさ、一緒に国を建てようぜ!あいつの言う準備はいつになるか分からないけど…それまでにさあの神に喧嘩を売れるまでに成長しよう!!)


(お前…言っている事分かっているのか?)


己の夢にさらに他人の【復讐】の目標まで加算する。大変だ。

それにこの事はこの二人以外に話せない。隠し通してやらなければいけない事だ


(あぁ、多くの人のこの事実は隠さなければいけない…だけど、あの神は…きっと何かしてくる)


顔を見てラッシュは…思いたくないが、嫌な予感がした。それは慈愛に満ちた表情だったが、同時にそれは物を下に見ているように思えた。



(分かった共に行こう…ラッシュ)


「おっ!名前を!ついに!いった」


(…うるさいぞ)


こうして、ラッシュ達は商業の国から東へと行き、そこで魔王国を建国する。


途中、王妃を娶り、そして幸せな生活…そして徐々にだが…魔王国の掲げる全ての種族との友好が浸透しつつあった。


国家象徴制度も…まだ7つのスキルの発見は出来ていないが…スキルについてよく分かる事が増えた。


「なぁ…【復讐】」


(なんだ)


(新しい国王を任命する基準だけど…想力を扱えるかどうかにしようかと思うんだ)


(…そうだな、いつ父と戦うかなんて…分からないからな…)


魔王国はいずれ来る戦いの際に先導者の立場になる、それなら想力を扱える者が魔王になった方が良いだろう。


(しかし、想力は全体的に公表していないんだろ?どうするんだ)


(魔王の素質という事にしておいて、魔力の上限突破とかにして皆を納得させるよ)


(それに…想力を持っている者がを王にしたいのはただ強いからだけじゃないんだ…あの力を扱える奴は…それだけこの世界での存在にこだわっていると思うんだ…そういうやつは他人を深く思いやれるはずだ)


自分と照らし合わせているのかラッシュはそう【復讐】にいう。


(まぁ、次代の王を決めるのはお前に任せる…)


(そうだな…王である俺の仕事だしな…ん?)


すると…ある資料に目を通す。


(この子…中々面白そうじゃないか?)


(あぁ…この前の武闘大会で優勝した子だな)


(この子を国家象徴にするのもありだな!)


(なんか徐々に増えていないか?)


(別に国家象徴が一人なんてルールないし、ほら俺らは種族同士友好な世界を目指しているんだから)


建国してからも、各国の首脳と話したりした。


彼ら、彼女らは全てを受け入れる事はできなかったが、徐々にラッシュの考えは伝わっていった。


そんな時に、初の世界会議を行われる事が分かった。

この場でラッシュはバランの真実を言うつもりだった。


しかし…


旅立つ一か月前に…ラッシュ・アデルバードは暗殺された。





場所はラッシュの用意した花園の世界。


「恐らくだが、バランの手の者だろうな…計画の邪魔になると思って始末したんだろうな、まぁある程度は覚悟していたんだけどな…後続の準備できていたけど、果たしてまだつづいているのかやら」


「なるほど…それでレイジは見定めていたんですね…自分が真実を打ち明けるのにふさわしいのか、どうか」


人間とかリョウマを信用しなかったのもリョウマの身を守るためだったのだとリョウマは思った。


もし、この世界の真実を知れば、リョウマも狙われる可能性がある。

それはラッシュの死を間近で見た者として耐えがたかったのだろう。


「ここまで聞いてさ、リョウマはどうする?」


共に戦ってくれるかの確認だろうか


「勿論、拒否しても想力は教えるよ…ただ、聞きたいんだ…この話を聞いてどう思ったかを」


「俺は…」


そしてリョウマは自分の意見を真っすぐにぶつけた。


ここまで読んで戴き、有難うございました。


ブクマ、感想、評価等いただけると大変励みになりますので、もし良かったら宜しくお願い致します!


東屋

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ