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復讐者、初代魔王と会う

魂が抜けたように横になっていたリョウマに驚くレンコ。


彼女は急いでリョウマの体が可笑しい事に気が付き、あわてて医務室へと運ぶ。


早急に体を調べてもらったが…特に問題はなく…診断の結果は昏睡状態だった。


診断した医者はエルフだったが、国でも一番の名医だそうだ。


そんな医者が言うには…


「なんともよく分からない患者だね。体が無事なんだけどさ、いつ起きるのかも、いつ死ぬのかも分からない状態とはまさにこの事だよ…脈はぎりぎりだけど、呼吸は正常…こんなのあり得る?こういう体質なの?彼?」


匙を投げたかのように医者は言う。


そんな事をレンコもラフロシアは知らないが…体のどこかに異常を持っているとは二人は聞いていない。


「いえ…普通だと思います」


「とりあえず、ベッドで安静にする他にないね」


「はい、有難うございました」


レンコとラフロシアは医者を見送ると相談した。


「どうする?」


「どうするもこうするも…リョウマ抜きでイグルシア帝国相手にどうするか考える他ないわね」


「そんな」


二人ははっきりいって軽い絶望に落ちていた。


リョウマが何故か昏睡状態に入り、一方で国の危機が迫っていた。


明後日には修行にでたケンも帰ってくるだろう。


とりあえず、二人はメグ達の待つ居間へと戻り、皆で相談する事を決めたのであった。



一方、そんな心配をよそにリョウマはレイジと共に歩き続けていた。


「なぁ…ここってどこだよ?」


感覚でいうなら、いつもの精神世界と変わらない感覚だ。


少し重力が軽い空間といえば伝わるのか。


「あぁ…まぁついてくれば分かるよ」


レイジは適当に返事した。


詳しく話すつもりがないそうだ。


それからも数十分程、リョウマとレイジは白い廊下の上を歩いていた。


周りは真っ黒に覆われており、下も上も分からない状況だった。


(なんだ?もしかしてもう修行って始まっているのか?)


リョウマはそんな心配をした。


ならばと、黙々と歩いていたのだが、するとレイジの方からこれが上がった。


「人間…さっき霊力と言ったよな」


「あぁ、霊力…何か生命に触れる力がもしかしてこの異世界には存在するんじゃないのかって」


スキルや魔物だけの異世界と考えるのは早計と思ったリョウマ。


前を向きながら、レイジは答える。


「先に答えを言おう、人間…お前が言うように、そういう力はこの世界にはある…というか持っていた奴を一人俺は知っている」


突然、告白をするレイジ。


「えっ本当?…でもお前そうは言わなかったじゃん…というか、その人は今どこにいるの?」


最初は知らない、いないと言っていたレイジだが、ここで言っていた事を変えてきた。


「ラッシュ・アデルバード、覚えているか?」


リョウマはその名前をごく最近聞いていた。


「それって前の【復讐】を持っていたっていう初代魔王じゃん」


魔王国を建国した初代王であるラッシュ・アデルバード。


「でも、お前…初代魔王はそんな力を持っていなかったって」


「あぁ、あんな破壊力は持っていなかったが…似たようなのは持っていたぞ…後、口止めもされていたんだよ」


「は?どういう事だよ?口止めって…レイジは教える事できないでしょ?」


「まぁ、僕が教えなくても、教えるためにこうして連れていけるからな」


「え?」


「ほら、着いたぞ」


すると、目の前に白く輝く扉が出てきた。


「開けるから押すぞ」


「おっおう」


レイジとリョウマは二人でその大きな扉を開ける。


扉を開いた先には…色とりどりの花園が広がっていた。


「うぁ…スゲー、、だけどここどこ?」


「まぁ、あの世だな」


「嘘、ここ天国なの?!」


辺りを見渡すリョウマ。しかし、リョウマの感覚ではどれも本物のように感じた。


様々な色に塗られた花達。


そよ風が待って、実に心地がいい空間だった。


すると、奥の方に人がいるが分かる。


切り株の上にポツンと座っていた。


その人物もリョウマ達に気が付いてこちらに走ろうとする。


「あ、あのー」


リョウマは声を上げて、確認を取ろうとする。


そして、ここにいるという事は只者ではない事はリョウマも察していた。


しかし、それよりも早くその人物は跳んできた。


「え?」


慌てて、距離を再び取るために後ろへと飛ぶ。


しかし、レイジは動かずにいた。


「レイジ、危ない!」


後ろに下がる際にリョウマはレイジに向かって言う。


「大丈夫だ」


そして、跳んできた男はレイジに向かって跳んできたのだが、思いっきり抱き着いていた。


「【復讐】じゃないか!久しぶりーーーー」


「あぁ、150年振りだ…暑苦しいぞお前」


「え?」


男はかなりの高速で跳んできたのに、息一つ乱れていない点。


そして、レイジの口から出た150年振り。


レイジが久しぶりといえる相手は【復讐】のスキル保持者以外に考えられない。


「あなたは、もしかした前の【復讐】スキル保持者ですか?」


リョウマはじりじりと近づきながらにして聞いてみた。


「あぁ、そうだ。って【復讐】…ここにこいつ連れてきたに説明していないのか?」


レイジを揺さぶりながら男は聞く。


レイジはめんどくさそうにして答えた。


「あぁ、お前がいった最低条件を守った男だ。だからこうして連れてきているが、この人間への後の説明はお前がやれ」


「相変わらず冷たいね…【復讐】は」


「お前もここに150年いる割には変わらないな…ラッシュ」


そういうと、レイジの方からリョウマの方へと向き直り、男は自己紹介をする。


「ラッシュって事は…」


「うん?あぁ、そうだ俺の名はラッシュ・アデルバード!魔王国初代王様だ!どうだかっこいいだろ?!俺の名はまだ君の時にも轟いているかな?」


「えーーーーーーーーー!!!!!」


リョウマは謎の空間にて大声を上げて、目の前の人物が初代魔王だという事に驚愕する。


「でも、もう死んだんじゃ?」


目の前のラッシュには足がついている。バロンみたいな霊ではないみたいだが。


「うん?まぁ力を使って…この空間を作って魂を定着しているんだ。現実世界と変わらないぞ」


「魂って…そんな摩訶不思議な物を」


リョウマは魂を定着されるといった力が存在するとは思っていなかった。


「うん?何を言っているんだ?」


「え?」


「ここに来た以上…君もその力を扱えるようにならなきゃ…ここで魂状態の君を俺は成仏させちゃうよ?」


「え?-えーーーーー?どういう事ですか?おい、レイジ!」


リョウマは連れてきたレイジに聞く、レイジはそっぽを向いてぼそりというのだった。


「だから、いったろ?死ぬ気はあるかって」


「え?こういう意味なの?」


てっきり今こうしてここにいるのが…おそらく自分の体が仮死状態にする事の意味だと思っていたリョウマだったが…どうやら本気の死ぬ気の特訓らしい。


そして、いきなり魔王国初代魔王から死ぬ気の特訓を強要されるリョウマだった。

ここまで読んで戴き、有難うございました。


ブクマ、感想、評価等いただけると大変励みになりますので、もし良かったら宜しくお願い致します!


東屋

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