復讐者、この覚えのある展開は…
「はっはっはっ!笑える!あの裏切り女の催眠を受け入れたのか!すげーなー殺し屋の俺には出来ないぜ」
「何?」
ラウラはフレディがエマを馬鹿にする事に反応する。
「いいか?俺はあの女みてぇに傷つきたくないと思っているやつが大嫌いなんだよ。自分の悪事ぐらい自分で背負えってんだ」
フレディはイグルシア帝国の八蛇師団の師団長の顔以外に、暗殺者の顔がある。
そんなフレディから見て、エマの様などっちつかずの存在は虫唾が走るほどに嫌悪する存在だった。
「うるさい…」
しかし、そんな事はメグの知る事じゃない。
「あなたがエマの何を知っている?間違いを犯してぐだぐだしている人を間違いを犯してへらへらしている奴がどうこういうんじゃない!」
「メグ?」
珍しくメグが激昂しているのにラウラは驚いた。
メグはそう言うのとは無縁とすら思っていた。それもかつての虐めっ子のために怒るとは思いもよらなかったのだ。
「エマは!もう今はもう私の友達よ!!あんた所にいた頃をエマだけを見て悪くいうな!」
うじうじしていたのはメグ自身もだ。
あの時のエマを少しでもきつく言えばもしかしたら違う道があったのかもしれない。だが、もうその道はない。今あるのはこれから友達として一緒に歩く道しかないのだ。
エマからの援護をもらって、メグは決心した。自分と同じく弱い友達を守ると。
メグの叫びを聞いて、フレディは拍子抜けする。
「たくっ、これだからガキは嫌いだ。さっさと終わらせるぞ」
そう言うと、フレディはナイフを出した。
「それがあなた本来の戦闘スタイルね」
それを見て、メグは疑問だった。
彼はニューアリアで見た時にナイフで攻撃するナイフ使いだった。なのに、先程から使ってくるのは殴る蹴るなどの物理攻撃だ
「あんま本気を見せたくないんでね…まぁでも、そこの茶髪の子はともかく…さっき戻ってきたあんたは俺の本気で戦わないいけないみたでね」
そういうと、ナイフを投げてくるフレディ。
そして瞬時、フレディの姿が消えた。
「え?どこに?」
ナイフは真っすぐ向かってくる。だけど、避けられない距離じゃない。
さっとナイフの直線状から離れるメグ。しかしナイフがメグの横へと出た瞬間。
突如としてメグの前に今にも跳びかかろうとするフレディの姿が出現した。
「はっは!!!死ね!」
メグはフレディの拳を受け止めた。
エマの催眠でメグもかなり強化されていたが、それと同じくらいにフレディの拳には力が宿っていた。
「ほうっ、よく抑えたな」
「えぇ、今のであなたのスキルは分かった…【影】ね」
突然出現したフレディ、それが影に潜れるスキルなら説明がつく。
思えばバロンの戦いで、日中の襲撃にもかかわらず、あの時の煙幕にはフレディの影すら見えなかった。つまり、あの瞬間、フレディはどこかへ消えていたの推察できる。
「あなたのスキルは【影】…影を移動する事が出来て…さらにパワーを他の影の部分のパーツを利用すれば上がるとかかしら?」
自信なさげにメグは言う。
「はははっ!もっと自信持て!合っているぜ!あぁ、俺のスキルは【影】…影に潜り、己の影を操れるスキルだ…残念ながら他人のは使えない、この一打も俺の筋肉の影を腕の影に集中する事で破壊力を増したーーーー!」
フレディは楽しそうに説明する。
「じゃあぁ!あんたの避けはどう説明するのよ?!」
ラウラが背後からフレディに奇襲を掛ける。
「ううーん?それは秘密だ」
しかし、くるりと後ろを振り向き、ラウラの攻撃を避けるフレディ。
「まだスキルを持っているという事ね」
「そう!何か分かるといいね」
フレディはそういう。
「大丈夫…ここにあなたが来た時点で勝負は決まった」
「はっ?ぐっ!!!!なんだこれは!?」
そういうと、メグはフレディの両腕を捕まえる。
「スキル【大喰らい】!発動!」
そういい、一気にフレディの体力を奪う。
「うぉぉおおおお!なんだこれ!」
「単純な技よ!でも、エマの催眠のおかげで過去一番の吸引力!」
【大喰らい】のエナジードレインで一気に勝負を決めるメグ。
「くっそおおお!!!」
影の移動で逃げようとするフレディだったが…
「させるか!」
そういうとラウラはフレディの影に覆いかぶさるようにして立つ。
「なっ!」
「あなた言ったわよね?他人の影には潜れないって…自分や物の影で移動できるなら、影そのもの
をなくせばいいわよね?」
にやりとしてラウラは言う。
「この女共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
悔しそうに叫ぶフレディ。
しかし、それを黙らせたのはメグの拳だ。
「ごふっ」
メグは思いっきりフレディをぶん殴った。
「これはエマの分!」
ぶんっ
「がはっ」
「これはラウラの分!」
催眠の力で倍増した殴りでパンチを喰らわすメグ。
「私の友達の事を!馬鹿にしたの許さない」
満足そうにして膝をつくフレディを見下ろすメグ。
「メグっ!放しちゃだめよ!吸収し続けて!」
「あっ怒りでつい…」
慌てて、フレディに触れ直すメグ。
しかしフレディは思いのほかダメージが効いていたが、瞬時に消えた。
「はぁ…やべぇ…今のはやばかったぜ」
息をつきながら言うフレディ
「えっ消えました」
「あれがもう一つのスキル?加速とかのそういうスキルかしら?」
(あぁ…そうさ、スキル【加速】、自分の現象なら全部加速させる事が出来る…思考や判断でも
な…だが、今のダメージでそれをするのはつれぇ…)
フレディはそう思うも、己の現状が確認する。
(肋骨は数本折れたな…たくっただの女共じゃないのか?こいつ)
フレディがここに来たのは雑魚狩り…いわば遊びだ。
なのに、目の前の女は明らかにおかしい力をしていた。
(あの女の催眠でスキルが強くなったのか??たくっ…これだからガキは嫌いだ)
だが、まだ奥の手がある。
(何、又捕まらなければいい、それだけ)
そしてナイフを構えるフレディ
「いくぜ、お嬢さん陽炎」
そう唱えるとフレディは消えた。
「くっ!」
メグは傷を見てすぐに判断した。
(【加速】と【影】の合わせ技ね、加速で見えない位速く動いて、影のパワー中で抉る様に切る…)
瞬時に事を済ます暗殺者らしい技だ。
「メグ!」
「ラウラ!スキル使って」
「!」
すると、ラウラのいた所にナイフが抉る様に飛ぶ。
「たくっ…存在分からなくなるとずれるな…」
(これがこの人の本気…)
「さっきのエナジードレイン?をまた喰らうのは流石にきついからこの陽炎で息の根を止めさせてもらうぜー」
そうして、また見えないスピードで切られるメグ。
辛うじて催眠の効果で反応致命傷は避けるが、まだこのままではじり貧だ。
(やばっ…怒りに身を任せすぎた…このままでは)
血だらけになってメグは考える。
そしてフレディのナイフがメグに届こうかとする瞬間。
ギンッ
「何?!」
(この覚えのある展開は!!まさかーーーー!)
フレディは覚えのある手ごたえに何が目の前にいるのか気が付いた
「待たせたぜ」
「よう、半獣野郎…ようやくおでましか?」
太い鍵爪に毛深い上半身。
ニューアリアにいるはずのケンが、今レイフィールドに到着した。
スキルを使用した状態…つまりはすでに【融合】して登場した。
新年明けましておめでとうございます。
完結を目標に”復讐の反省”、今年も続けて書き切りたいと思いますのでよろしくお願いします。
東屋