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『Mystery参』

もぉすっかり見慣れたボロ小屋だが、流石に友達の家を訪れるようには気軽に尋ねられない雰囲気がいつも漂っていた。


玄関の階段にばら撒かれたように転がっていた虫の死骸を見ては爺さんの【Time for meal】が頭によぎってついつい口を手で塞いでしまった。


光は律儀にノックし『なんじゃ…』と言う返事を待ってから、ギギギギと言う耳に付くドアを開けた。


『((うお!!))』


ドアを開けた瞬間に上から氷水が降ってきたかの様な驚きが襲ってきた。


ドアの数センチ前に爺さんが立っていたからだ。


『で…どっちがウンコロスケなんじゃ!?…気になって夜も寝られへんわ…』


『は!?…』


『いや、さっき外でお主ら二人で言い争っておったじゃろ…』


『((聞いてたのかよ!!!そりゃこいつがウンコロスケだ))』


と見事にハモって互いが互いに指を指し合った。


カカカカカカと大爆笑する爺さんをみて、余計にイライラが込上げてきた。


『まぁええて。そんな事より爺さん、ちょっと聞きたい事あんねやけど良いか!?』


と光は冷静に物事を進めていった。


『ワシには時間の縛り何て無いしのぉ、ワシよりお主らは大丈夫なんか!?もぉ結構遅い時間じゃぞ。』


ふと携帯を見るともぉ23時を回っていた。

【うわ。マジかよ…もぉこんな時間じゃん…】


『そぉゆう事なら遠慮なく上がるで。』と光は土足のまま爺さんの家に入っていた。


『コレコレ。そんなとこ歩いちゃいかん。床がぬけるぞい。』


と爺さんの言葉に先に言ってくれよ!!と光は忍び足でこっちに戻ってきた。


『そこに地下の階段がある、地下で話を聞こう。』


地下室…俺にはあまり良い思い出がない…虫のビン詰…想像するだけで嘔吐しそうになった。


爺さんが先陣を切って俺達は爺さんの後ろに連なってコンクリートで出来た階段をカツカツと音を立てながら降りていった。


爺さんがパチっと電気を付け、驚きついつい声を上げた。


綺麗に掃除された床はベージュ色のフローリングで、純白の壁にはアイドルのポスターが貼られており、角に置かれたメタンラックにはCDがずらっと五十音順に並べてあり、何といえば良いのだろうか…A型の大学生の部屋の様に文句の言い様の無いくらい綺麗な部屋だった。


『ここがワシの自慢のマイスイートルームじゃ。どうじゃ。』


『どうじゃって…爺さん…俺が上から降りた時はこんなに綺麗じゃなくなかった!?!?』


『あーあれは倉庫じゃ。倉庫というより食料庫かのぉ。カカカカ。ちょうど、ワシが朝飯の品を選んどったらおぬしらが来てのぉ狩人かと思って、電気消して隠れとったんじゃわい。カカカカカ』


『…』


『それにしても、ホンマに綺麗な部屋やのぉ。樹海に住む爺さんの部屋とは思えへんわ。』

『うぬ。俺の部屋より綺麗だぞ…』


五右衛門も光も、爺さんの綺麗な部屋を褒め、3人とも少しだけ安心し、腰を下ろした。


光は簡潔に石について説明し、爺さんに身近な事で何か無かったかと、訊いた。


『うーむ。身近な事でのぉ…灯台モトクロスか灯台下倉敷か知らんが、それって言うのは自分では中々気がつかない事を言うんじゃろ!?そんなお前さんらにいきなり言われても直ぐには…』


《だよなぁ…流石にそんな事を急に訊かれても、『あーこれの事じゃないか!?』なんて直ぐに出てきたらとっくに謎は解明してるよな…≫


心の中で呟き、とりあえず考えている爺さんを見守った。


『ふむ。恐らくあれじゃろう。』


『(((って!!早!!!もぉ心あたりあんのかよ!!!)))』


三人同時に爺さんに突っ込み、爺さんはゲラゲラとお前ら面白い小僧じゃのぉと笑い出した。


『で!?なんやねん!!その心あたりあることは…』


『まぁそぉ急かさんでくれ。お主らが笑わせるもんでうっかり忘れてしもぉたわい。』


『…』


『まぁ冗談じゃ。心あたりがあることは一つしかなくてのぉ。コレがはずれとったら正直一生思い出せんじゃろな。』


一人で納得し、ウムウムと腕を組んで爺さんは自分の世界に入っていた。


『ムフフフ…』


『早くその心あたりのあるって事をおしえろよ!!』

イライラとした五右衛門が爺さんにつっかっかった。


『おっと、こりゃ失敬。当時の事思い出してたらのぉ女湯を覗いてた事を思い出してしまってのぉ…ムフフフフ…ありゃ別嬪さんじゃったのぉ…フフフフ。あう…想像しただけで下半身が…』


『うぉ…俺も…』


『ウォラ爺!!良いから早く言え!!』

と俺は爺さんと五右衛門を叩き、話を元に戻した。


『最近の若いもんは短気で困るわい。老人の娯楽をなんじゃとおもっとるんじゃ。全く…あれは1年くらい前のことじゃ。』

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