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『…地下…』

足場の良さそうな角に固まり、俺と光は昨日の日記を、五右衛門は家の中を見回った。


『おい、ココ二階もあるんだな…』

『せや、ちなみに地下もあるみたいやで』


へぇぇっと五右衛門が二階に上がろうとすると、あかん!!!やめとけ!!と光が叫んだ。


ガコンッ!!!!


『ウオッ!!!!!こえ!!!!!マジでビビッた。』


五右衛門が階段の一段目に足を乗せると、すさまじい音をあげて、階段はつぶれたのだ。


『せやからあかん、ゆーたのに・・・』

『おせーよ…』


結局2階にはもぉ上がる事は出来なくなった。

上がれるかもしれんが、命の保障は無い…そんなところに誰があがる。


『なぁなぁ。ちょっと地下に降りてみんか???』


2階にあがるのが不可能になったことで五右衛門は地下を見ようと言い出した。

持っていた日記を床に置き、五右衛門が覗いている穴…床が抜けた場所までそろりそろりと歩みより、俺も光も覗き込んだ。


少しの沈黙が流れ、『((お前が行けよ…))』っと俺と光が同時に五右衛門を見た。


『アホか!!ココは正々堂々ジャンケンだろ!!いまどき多数決何て嫌がらせも良いとこやわ!!』


五右衛門の意見に異議を唱える事もなく、ジャンケンで決める事にした。


『((最初はグー♪ジャンケン!!!ポン!!!))』


五右衛門…チョキ

光…チョキ

俺…パー……………


よっしゃぁ!!っともの凄い勢いで喜ぶ二人を背に、俺は本気で泣きそうになった。


『3回勝負にしようぜ!!!』と張り切って言ってみるが、五右衛門には懐中電灯を渡され、光からはコレ結び付けとけとロープを腰に巻かれた…


行ってきます…コレが俺の人生最後の言葉にならんことを祈りながら、穴から地下に向かった。


ロープを結びつけた柱がメキメキと嫌な音を立てるたびに、へし折れるのでは無いかと不安になった。


光達の姿が見えなくなると、毎秒1回くらいのペースで『おーい。ちゃんと居るか??』と光達に問いかけた。


『おう!!居るから安心しろー』っと返ってくると少しほっとしたが、直ぐに不安が勝り、再び問う。


時に二人が俺をからかって、返事をせず、無視した時には、大量の涙が溢れ出し、『おい!!!!光!!!五右衛門!!!!』っとやけにデカイ声で話しかけた。


カカカカカっと上から笑い声が聞こえてくると、恐怖と寂しさと不安が全て怒りへと変わり、血管がはちきれそうにもなったりした。


『おう!!着いたぞ!!!』と下から上を見ると光と五右衛門が覗いていた。


『何かあるか???』と五右衛門にきかれ、辺りをみわたした。


1階とは違って、地下は真っ暗で懐中電灯無しの裸眼では全くと言って良いほど何も見えなかった。

おまけに、空気が格段に悪い…大量のホコリを吸い込み、何度もむせあがった。


懐中電灯の光明が変なビンの行列を映しゾクゾクゾクっと体中が震え上がった。


『あぁ。なんかあるな…』と小さく返事し、何があった???と聞かれるまで口を閉じた。


『虫の缶詰…ビン詰めがあるわ…芋虫、カブトムシ、ムカデ、Mr.G…』


『う…』っと五右衛門達もそれを想像したのか、手で口を覆った。が、現実は想像をはるかに超えていた。

テレビで見るより生生しく、芋虫にいたっては、恐らく100匹くらいの芋虫が一つのビンにまとめて入れられており、見るだけで恐怖を感じた。


そんな気色悪いビンが側面の棚にずらっとなれべて置いてあった。


ふと頭に浮かんだのは、日記に書かれていた、言葉だった。


【私はいつもどおり食料を集めに虫たちを探していた。】


うッ…っと嘔吐しかける口元を手で押さえ、何とか正気を取り戻した。


家の前の階段に大量の虫の死骸があったのは、ここの住人が食料(虫)を集めすぎて、瓶詰め状態で放置し、虫達が生きている間に食べきれず、死んだ虫たちをこのビンをぶちまけるように玄関にすてたのか…


と家の前の大量の虫の死骸と、この家を囲うように虫達の死骸がばら撒かれていたのが納得できた。風か何かで玄関から飛ばされたのだろう…


『他には何も無いか???』と五右衛門の無責任極まりない声が耳に入り、イライラしながらも地下の暗い部屋に懐中電灯の光をあたえた。


これ以外には特に何もなさそうだ…


あるとしたら、冷蔵庫のような箱…こんな物を五右衛門達に報告するとまたもや無責任極まりない言葉…開けろ!!っと言う言葉が飛んでくる。

よって無視。


意外と広い地下をくまなく見渡し、ベットみたいな物があることを確認し報告した。


『それ以外は何も無いか???無いなら引き上げるぞ…』


『今すぐたのむ…』と返事し、五右衛門達がロープを引き出した。


凄いゆっくり体が宙に浮かび、その間も懐中電灯で回りを見ていた。


え!!!!!?何だ!!!!今の!?!?!?!?



揺れる体を何とかバランスをとり、再び懐中電灯を向けた。


!!!!!!!


『早く上げろっ!!!!!!!』俺は産まれて初めて腹の底から声を出した。

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