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『カオリからカオリンへ♪♪』

キーンコーンカーンコーン♪


『あ!!やば!!』


2時間目の授業の始まりの鐘がなり、あたし達は中庭から教室まで走り出した。


女らしくとは何ぞや…あたしはまずそこから考えなければならなかった。

キキチャンや羽チャンの言う女らしさってのは全然理解できなかった。


そもそも…言っちゃ悪いけど…あの二人も女らしいとは思えない…


冷静に考えば考えるほど、憂鬱な気持ちになった。センチメンタル…


2時間目は役員決めらしいけど、今のあたしにはそんな事を考えるほど頭に余裕は無かった。


とか言いながらも『3人一緒なら何でも良い…』とちゃっかり、発言した。


結局あたしは、実行委員になっていた。


実行委員って何だろ??まぁ3人一緒なら別にどんなでもいっか…っと再び女らしさについてあたしは思考をめぐらせた。


『高橋!!!!!』『田中!!!!!』『土屋!!!!!』と言う先生の声が耳に入り、と言うのは嘘で『田中!!!!!』と言う先生の言葉だけが耳に入り、呼ばれた3人よりあたしの方がびっくりした。


どうやら、あたしの恋をした殿方は相当、変わり者らしい…役員決めにも関わらず友達と話していて、忘れていたようだ…


でも、ちょっと笑えて来た。アハハハハと心の中で笑ったつもりが、表面上にも出てきて、ニヤケ顔になっていた。


先生が『残りは…実行委員!…実行委員!…実行委員!の3つだ!!』と全部、実行委員じゃん!!っと心で鋭く突っ込んだが、同時に疑問が浮かび上がった。


【実行委員??】…あたしは何だっけ???…【実行委員】、何だか似てる名前だなぁ…えぇぇぇ!!


と羽チャンとキキチャンを振り返ると呆然と口を空けていたが、あたしを見るなりグッっと親指を立ててウインクしてきた。


あたし達3人もコレは想定外の事で、正直皆びっくりした。


神様はあたしと田中君を応援してくれているのかな…と少し嬉しくもなったが、ドクンドクンと心音が唸りだした。


全員の役員が決まった事で、先生は5分間の休憩をくれた。


あたしは、キキチャンと羽チャンの元へ行き、思いつく限りの女のこらしさを話した。


『今日からあたしの事はカオリンって呼んで!!!』『はぃ?』

『それからあたしは今日から少しの間ぶりっ子する!!』『ほぇ??』

『今までの過去のアクティブなあたしは消去して!!』『えぇぇぇぇぇ!!!』


お願い!!っとあたしは何度も頭を下げた。


顔を見合わせて呆然とする、二人も『分かったよ♪協力する!!』と大きく頷いてくれた。


あっという間に5分が経ち、班決めに入った。


あたしは、ぶりっ子、ぶりっ子と呪文の様にブツブツと呟き、色々な想像をした。


先生が班決めについての話をし始めた。…正直最初の方は全然聞いてなかったから覚えてない…あたしが覚えてるのは『実行委員』というキーワードがでてからの言葉だった。


『最後に実行委員の人は実行委員班として班を組んでもらうので班長だけ決める事!!質問は一切認めません!以上!』


この言葉に、一瞬、あたしの思考回路はショートしかけた…あわわ…あわわ…


今日出会い、今日恋し、今日同じ役員になり、今日同じ班になる…こんな事ありえない…


あたしは羽チャンとキキチャンの所に行き、心の準備が…と弱気に呟いた。


『何言ってんの!!凄いラッキーじゃん!!こんなチャンスめったに無いよ!!』とキキちゃん。

『そうそう!!役員も班も同じになれるなんて神様はカオリの見方だよ!!』と羽チャン。


そぉかなぁ。。。っと自信無さげにあたしはチラッと班員となる男子を見た。


向こうは向こうで固まっており、こっちを見ているような感じがする…


田中君がチラッとこっちを見て一瞬視線が交じり合った。ボフ…っと言う音を上げて、あたしの頭の中は真っ白になった。


『それでは行きますか♪』と羽チャンが男子の所に言って自己紹介でもしようと言い出した。


『無理無理無理無理無理!!』と全否定したが、だぁめ!覚悟を決めなさい♪と腕を引っ張られ、連れられていった。


男子がこちらに気がつき、キキチャンが最初に自己紹介をしだした。


『私は井上嬉紀。友達とかは皆キキって呼んでるけど好きに呼んで良いよ。よろしくね。』

【えぇぇ!!全然キャラちがくない!?】と驚いているうちに一瞬であたしの番が来た…


もぉ行くしかない!!とあたしは覚悟を決め、できる限りの表現で頑張った。

『あたしは内藤薫。キキと一緒で名前で呼んでくれて良いよ。カオルじゃなくてカオリね。皆カオリンって呼んでるしそぉよんで!ヨロシクゥ。』


やってしまった…

名前で呼んでくれて良いよ。と言ってるそばから皆カオリンって読んでるからそぉ呼んでって…


これじゃぁ可愛い以前にただの馬鹿じゃん…とウルウルと目を湿らせ、キキチャンを見たけど、あたしに気がついてくれなかった。


この1時間くらいの間に積み上げてきた積み木の山が一気に崩れようとしていた。


質問タイムに入ってもあたしは、何も質問する事なくそしてされる事無く、ただただボーっとしていた。


あぁ、何かだるい…はぁ…と少しため息交じりに息を吐くと。カオリンは何歳なの??と男子の誰かに聞かれた。


あたしはとっさに25歳と答えてしまった…実はコレはあたしの癖だった。歳を聞かれると25歳(女が一番綺麗な時期…と勝手に思ってるだけ)。


えーッと驚く男子に、嘘ですと言うとゲラゲラと笑われ、あたしの恋は終わったと思った。



あれから5ヶ月かぁ…すっかり天然キャラも定着してきたな…と空に浮かぶ三日月を見上げ、温泉に涙を混ぜた。

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