『廃墟★光,嬉紀』
ロープを頼りに4人を追ってきた光とキキは、不気味な廃墟に着いた。ココに皆居るのだろうか??と思いながらも、家の中に入る。そこは床はボロボロ、壁には大量の落書き、廃棄されたエロ本があった。
しかし、そのボロボロのエロ本は…
『14年前の本なの!!?…じゃなくて14年後の本なの!?』
キキの反応も当然の反応やな、と思いながらもワイ自身、正直どおゆう事なんか全くわからんかった。
なして、こないな廃墟にエロ本が大量廃棄してあるんや…それに、なして発売の日付が未来やねん。
一番重要なんは、他の4人は何処におんねや…
14年後の本なんて凄く興味がある。。。
キキが来る前に少し見た感じだと、14年後でも現在とさほど変わりはなさそうだ。
携帯電話だけは今より大分小型サイズに描かれていた。
もぉ少し見たい…がなしてエロ本やねん!!!
わいは…わいは…ただ調べたいだけなのに…嫌でも息子が反応してまうやないか…!!
クソッ!!男っちゅー生きもんはなんちゅー阿呆なんや。阿呆!!タワケ!!とワイは自分の髪の毛を貪るようにかき混ぜた。
むむ…まてよ…
せや、仏様は大体男や、中には女の仏様も居てるかもしれへんが…そんな事はどぉでもええ、肝心なのは無の心や、下心、欲に囚われない無の心や!!
ワイは目を閉じ、合掌するように手のひらを合わせた。
胡坐で座っていた足を組みなおし、足でも合掌するように足の裏を合わせた。
肺一杯になるまで、ゆっくりと自然の空気を取り入れ…むふッ、大量のホコリを吸い込みむせそうになるのを寛大な精神で耐え、精神を統一し、瞑想した。
ワイは無や…女の裸が何や、Hシーンが何や、無になって自分の追及すべき点だけを見ればええんや。
カーッ!!!!
と心で叫び、目を限界まで見開いて、本を眺めた。
ウォ…何やねんこの部屋…ホコリまみれで…クソッイテェ…目開けすぎ注意の札だしとけや…ボケェ
ブツブツと精神統一にも瞑想にも失敗し、ワイは悟りを開く事ができひんかった。
『聞いてる!?…』
とふとキキの声が耳に入ってきて、もぉ諦めるしかないという事を悟った。
『え?あぁ。すまんすまん。考え事してたんや。で何やった??』
『もぉ!この本…』
『あーせやせや、キキは床の脆くない所でその本調べといてや。ワイは他にも何か無いか少し見てみるわ』
結局14年後のエロ本はキキに頼んで、ワイは他にも何か変わった物はないか探す事にした。
ひでぇなぁ。床抜けてるやんけ。
ん??
廃墟には地下があった。下はコンクリートで作られて、ベットと冷蔵庫らしきものとなにやら大量のビンが並べてあった。
覗くのをやめ、一階のフロアを懐中電灯で周りをくまなく見渡して見ると、2階もあるらしい。
足場を確認しつつ、階段を1歩、2歩、3歩と忍び足でそーっと2階を目指した。
4歩目を踏み出そうとして、ワイは足を止めた。
4段目は階段ではなく、くもの巣だった。
ひゃぁ、あぶねぇ。と3段目に立ち、上を懐中電灯で見ようと試みたが、どぉやらそれは無理な課題だったらしい。
キキのところに戻り、部屋の状況を説明した。
『このボロ小屋、2階もあるけど、階段が壊れてて上れそうにない。地下には何とか降りれそうだけど、降りたら上がれんのかな…』
と状況報告をすると、キキはキョトンとずっとワイの顔を見ていた。
『ん??どぉかしたか??』
『光が…標準語で話すの久しぶり…初めて聞いたかも…』
まぁワイかて家では標準語ではなしてんねやけどな!!だから、今標準語で話せって言われても普通に話せるよ???とワイの奇妙な話し方に、関西風の話方だと怖そうで、標準語の方の光は優しそうと言われたので、ワイはキキと二人の時は標準語で話事にした。
『別室あるんだぁ。私も発見したよ。ほらココ、この名前見たこと有るでしょ??』
と言われ、目を細めて見てみると、え!?…っと心底驚いた。
『こいつって、ワイらのクラスに居る…上坂里香…か!?』
『多分、里香ちゃんだとおもうよ。…』
ワイが見たヌード写真の横には香里と書かれた名前があった。でも顔が全然変わってないので直ぐに分かった。
14年後って事は…と計算しただけでも気持ち悪くなるような歳のヌード写真じゃん…と思ったのと、32歳でもこんなに綺麗な体してるのか…と感心する俺の下心が騒ぎ出した。
『今は胸小さいけど、5年後にはこんなにでかくなるんだね…私もなるかな…』
とキキがもらした言葉をワイは聞き逃さなかった。取り合えず、フォローを入れるべく、もぉ十分綺麗なスタイルしてるじゃん!!と褒め、続けて、今5年後って言わなかった??と訊いた。
『あぁ。そうそう。ほら、2013年。ネ。他にも色々あるみたいだけど、一番未来のは22年だねぇ。それと過去の本は無いみたいだよ。』
ほうほう。よく調べたな。偉いぞ!!とよしよしと褒めて、ワイも負けてられないなと、腰を上げようとしたとき…
ドンッドンッドンッドンッ!!!
ドンッドンッドンッドンッ!!!
とドアが暴れるように音を上げだした。
『((!!!!!!))』
腰を抜かしその場にしゃがみこんだ。あまりの驚きにワイら二人とも声がでなかった。
キキはワイに飛び乗るように抱き付き、ブルブルと振るえ怖い怖いとワイの肩に涙を落とした。
ワイも自分の恐怖を抑えるので精一杯で、『大丈夫だよ』と言う一言が口から出てこなかった。
何も大丈夫では無い状況に、そんな言葉をかけても無意味極まりない事は分かっていたけど…
徐にキキを力一杯抱きしめた。ワイにはそれくらいしかしてやれなかった。
ドンッドンッドンッドンッ!!!
ドンッドンッドンッドンッ!!!
と鳴り止まないドアの叫びはワイとキキの精神を一気にくらい尽くした。
もぉあかん…ワイも震えがとまらへん。
ガタガタと笑う膝、カタカタと笑う顎、何がそんなに笑えるのか、理解不能の身体を最後の力で抑え、
『何やぁ!!!!!クソッたれが!!!』
と訳もわからず腹の底から吠えた。
…
…
同時に音は止み、先ほど同様シーンとした空気が流れた。
あまりの静けさにワイとキキの心音がやけにうるさく感じた。
舞ったホコリの群れが、床を目指し、ゆっくりと着地しようとしている。
キキも恐る恐るドアに視線をやると、
トントントン!!
トントントントントントン!!
とさっきとは打って変わって今度は優しい音をでドアが鳴きだした。
キキはすぐさま目を閉じ再びワイの胸の中に顔を隠した。
ガチャ。ギィィィィィィイイイイイ!!
と言う耳に残る音と共にドアは開かれた。