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『暗中模索★優馬,羽樹』

歩いても歩いても永遠とロープは続く気がした。

月明かりと懐中電灯の光意外、私の視界を広げるものは無い。

大量の木々に阻まれ、月からの光も私達を照らすのを困難とする状況だった。


本当に死んでしまうのでは…

コレが樹海…迷い込んだらもぉ抜けられない。

鏡の迷路とかとは違う何かを感じていた。

まるで、違う世界に居るような…


優馬が少し休憩する?と声をかけてきたけど、私は首を縦には振らなかった…振れなかったのかな。


私達が光と離れて、ロープが途切れるまでにこんなにも歩いただろうか…と過去の風景や、仕草を思い出してみたりもしたけど、直ぐにあの恐ろしい顔が頭に浮かんできて…私の思考をさえぎった。


優馬とも無言の時間が続き、ただただ歩くだけの状態に、ちょっとした物音にもビクビクしながら、私の精神はもおボロボロだった。


『羽樹!!!羽樹!!!ネェ!!』


優馬が声をかけてきたとき私は優馬の太ももに頭を乗せていた。

『あれ??うち…どぉしたの??』

『さっき倒れたんだよ…ココからは俺がおぶってやるから、少し寝たほうが良い。もぉ体力の限界だろ…』


あぁ…男って生き物は凄いんだな…と今まで思った事も無い事を想い、その瞬間優馬と目がったので、ドキッとしながらも、なんだか、久しぶりに優馬がかっこよく見えた気がした。


『ありがとッ』とにっこり微笑むと優馬も笑みで応答してくれ、私は遠慮なく優馬の背中を借りた。


優馬の背中は少し汗臭い、それにベタベタしてる、太ってないからだと思うけど優馬の背中は硬くごつごつとしてる…でも、凄く居心地が良かった。安心して、凄く眠い時にふかふかのベットにダイブしたみたいに。


『ごえもぉぉぉん!!』


ウトウトともぉ後1分もあれば気持ちよく眠れるという時に、耳元で優馬の大きな声が鳴り響いた。


『もぉ!!うるさいな…びっくりするじゃん…』


アハハハと笑う優馬に私もついつい釣られて笑ってしまった。


優馬の声は結局木々に遮られたのか五右衛門達からの返事の声は聞こえてこなかった。


目的に向かって草木を分けながら、ひたすら進んでいた。


こうゆうのを敢為邁往(カンイマイオウ)って言うのかな…

いやいや、勇往邁進(ユウオウマイシン)でしょ…


と何気ない会話を交わしていた。


『それにしても、しんどい…羽樹…まさか太ったか!?』

『ばーか。』


『こりゃ、光達のことに着いたらそれなりのご褒美を頂こうかしら。』

『アハハハ。じゃぁ今ご褒美あげる♪』


と言い私は優馬の頬に唇を押し付けた。

優馬への初めての頬へのキスは塩と土の味で…なんとも芳しくない匂いがした…甘いキスよりこっちの方が意外と一生忘れないかもね…と心で少し笑い、顔を肩の上に戻した。


『や…やばい…下半身が…』

と言う、アホ彼の下半身にグーパンチをおみまいし、狼が鳴いたかのような雄たけびをあげ、その場で崩れるようにしゃがみ込んだ。


『だ…大丈夫…??』

『だ…だめ…大丈夫では無いけど…ついたぞ…』


私は崩れた優馬を起こして、大樹にもたれさせ、周りにキキやカオリンの姿が無いか四方八方、見回した。


『あ!!』と優馬の足元に何か落ちているのを見つけ、手に取った。


『コレ。カオリンのハンカチだ…』

『え!?』


優馬も重たそうに体をこちらに寄せ、【薫】と書かれたハンカチ見た。


『ねぇ、羽樹、その紙は何??』と言う優馬の言葉に視線を下に落とすと、4つにおられた手帳の切れ端の様なものが落ちていた。


何だろうと、中を見てみると、キキの字で私達を探しに行くという事が書かれていた。


『あ〜…』

と私にさっぱり意味が分からなかったけど、優馬は何か全てを悟ったように大きくため息を吐いた。


私は自分なりに頭の中を整理した。


まず…

光とキキはココで待っている間に私の声が聞こえて皆が心配になって、ロープを辿って皆の元へと歩んだ。この時点で私達より先に進んでいたカオリン達にキキ達は合流していても良いはず。

まさか当然のように合流していて、4人だけで帰宅した…とは到底思えない。


だとすると…

行動順としては多分こうじゃないかな…キキ達が私達を探しにココをでて、カオリン達がココに戻った時には既に誰も居ず、この手紙だけが残っていた。せっかく戻ってこれたのに、とカオリンが泣き出し、顔を拭くため取り出したハンカチをいつもの天然ップリでしまうのを忘れていた。その時に五右衛門から戻って皆を探そうと言われ、『はぁい♪』とか可愛らしい声をあげて付いて行った。そして、再びだれも居なくなったこの場所に私と優馬が到着し、カオリン達同様この手紙を発見した。。。


でも…なんで、合流をしなかったんだろう…これだけが私の思考を遮り、これ以上考える事を許してくれなかった。


やっぱり…わかんないや…


胡坐で座り、腕を組み、『うむうむ…』と呪文をみたいに唸っていた。


『あ〜…』何気なく声を出した時にピーンと閃き、それからは一人で私同様、頭の整理をしていたらしい。


どぉやら頭の整理も終わったようだね。さぁ聞かせてください。あなたの考えを。

私の心を見透かすように、いきなり優馬が話し出した時は心底驚いた。


『俺達、このでっかい木にロープ結んで、中に入って行ったじゃんな。』

トントンとロープのくくりつけて有る大樹をノックするようにたたきながら言った。


うんうん、と相槌を返すと、『コレを見て!!』ともっていた懐中電灯を光を木のロープの結び目のところまで運んだ。


『うちらのロープだよね??』


それがどぉかしたの??と聞くと、やっぱり!!と少し険しい表情になり、『じゃぁコレは??』と優馬は明かりを少し高い位置に移動させた。


『え!?』


『なっ!!?』


犯人はこれだよ…と優馬は自信満々に答えた。


優馬の照らしている光の先には、私達のロープと同じロープがあった。

正確に説明すると、現在優馬が照らしているロープが私達ので、最初に私が間違えたのが、知らないロープ。


『多分、俺達より前に来客者が居たんだな。そして、この大樹にロープを縛って、俺達みたいにズカズカと興味本位で中に入っていったんだと思う。見た感じ結び目とかかなり汚れてるし、相当前のロープだろうな。10年くらい…もっとかも…。』


こんな偶然ってあるのかな…と足の先から頭の先までブルっと震えるように寒気が走った。

何だか優馬と少しでも離れているのが怖くなり、私は優馬に近づき、手を握った。

それに優馬も答えて握り返してくれると、『それでさ…』と話を続けた。


『それでさ、心配になった光達はこっちの違うロープを辿って行ったんだと思う。五右衛門達はココまで理解して違うロープを辿ったのか、偶然間違えたのかは分からないけど、光達と同じロープを辿って進んだ。…だから俺達に会う事が無かったんだと思う…』


『凄い…』と私は無意識的に声をもらした。え?なにが?と優馬が訊いてきた。


『優馬、頭良いじゃん!!少し…かなり見直したよ♪何か、これからまた樹海に入らなくちゃいけなくて不安でいっぱいだったけど、少し安心した♪優馬が一緒で良かった♪』


恥ずかしい気持ちも包み隠さず全て打ち明けると、ありがとう!!俺も羽樹と一緒で良かった。と言い、私達は再び樹海に足を踏み入れた。


優馬の予想には凄い納得いくものがあったけど、外まで戻ってマスターや警察に言った方が良かったのでは無いか…もしかしたらとんでもない一六勝負にでてしまったのでは…と一歩一歩奥に進むに比例して、私の不安は膨らみ始めた。

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