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『★Woodland★』

8月8日…午後18時38分…

五右衛門の掛け声と共に樹海へと足を踏み入れた俺達。

樹海の外も薄暗かったが、樹海の中はもぉ夜みたいに暗く、懐中電灯無しでは危なげだった。

ジメジメと湿度は高く、周りの木々が『入ってはいけない』と言わんばかりにガサガサと風に乗り揺れている。

『何だあれ!!』と先頭の五右衛門が不気味な真っ黒な看板を発見した。


『命は親から頂いた大切なもの…もう一度静かに両親、兄弟、子供のことを考えてみましょう…一人で悩まず相談して下さい…うげ、こんなのあるんだ…』


『うむ。自殺の名所やからな。あっても不思議やないな。』

光は冷静に判断していたが、女性達はまだ入り口にもかかわらず早くも撤退の声を上げていた。

実は、俺も心では撤退の声を上げていた。


五右衛門、光と並ぶように先頭で進みその後ろを俺、女性達は3人4脚でもしているかのように、綺麗に寄り添い歩いていた。


2〜3分くらい進むと、今度は変な箱があった。例えるなら郵便箱みたいなもんだ。

色は郵便箱とは正反対で白色の箱に赤い文字だった。


【自殺防止呼びかけ箱】


と書かれた箱は酷く汚れており、蛾の死体や、コガネムシの死体が周りにばら撒かれるように落ちていた。


箱の中には数枚、呼びかけの言葉を書いた手紙が入っていた。

見た感じ紙は持参の様だ。ピンク色の紙、白色の紙、黒色の紙と色々な紙に書かれていた。


意外にもキキが『私も何か書く!!』と言い出し、小さいカバンから手帳を取り出し、最後のページをビリッっと豪快に破りった。


『光ぅ。ちょっと懐中電灯当てて』

『あいよっ。』


【あるがままの自分を認め、受け入れ、愛することができてはじめて、人生の何もかもがうまく行き始める。だから諦めないでください。】


『おぉ!!いい言葉や!!』と皆から歓声を受け、キキは少し恥ずかしそうに頭をポリポリとかいた。


『…だから諦めないでください。以外【ルイーズ・ヘイ】の言葉やんけ…』


光の厳しさ溢れる言葉を無視するように、『さぁ、ドンドン行くぞ!!』と五右衛門が一瞬氷かけた空気を溶かし、再び前進しだした。


ここは本当に日本なのだろうか…そんな風に思えるらい静かで、異様な雰囲気を放っていた。


歩きに歩く事、30分。いつしか、男女別々に進んでいたのが、【光とキキ】、【俺と羽樹】、【五右衛門とカオリン】とペアになって歩いていた。


『この辺…なんか怪しいな』


大きな林道を歩いていた時に不意に五右衛門が言うと目の前に地雷でもあったかの様に皆が足を止めた。


…頼むからそんなこと言わないでくださいよ…


霊感も持ち合わせている五右衛の発言に流石の俺も光も不気味なムードに気圧され少々怖かった。


『ちょっとこの辺見てみようぜ!!』と五右衛門の意見に皆は大反対だった。


五右衛門が言い出したのは林道を離れ、樹海の中(道の無い場所)へ探検したいと言い出したのだ。


『あかんあかん!!正直ゆーて怖いってのもあるけど、実際問題危ないの方が正しい!!』

『ぅんぅん。あたしは怖いのが120%だけど、光の言うとおり迷ったりしたら危ないよ…』


光、カオリンがごもっともな理由を述べ五右衛門の好奇心を抑えようとしたが、ふむ。じゃぁコレがあれば良いな!!と言い、皆にロープを見せた。


『なしてそんなもん持ってんねん!!』

『ハハハ!!こんな事もあろうかと持ってきて正解だったな!!』


『…』


五右衛門は大樹にロープをくくり付け、早くいくぞーっと林道を逸れて奥の樹海へと入っていった。

一応安全のため、光とキキがロープを結んだ地点で待機。他の4人は死地へと向かった…


『皆大丈夫かなぁ』キキの目には若干涙が浮かんでいるようだった。

『大丈夫や大丈夫!!五右衛門も優馬も居てるしな!!それにキキにはワイがついとる!!安心してええで!!』


ありがと…とキキは大樹の下にしゃがみこんだ。

ええねん…と光もキキを元気付けキキに寄り添うように腰を下ろした。



一方俺達4人は樹海の奥へと進んだわけだが、林道ですら不気味だったのがココは不気味を通り越して恐怖すら感じられた。


道じゃないだけに土が柔らかくて穴が一杯開いている…迷い込ませようとするように木が沢山立っており、酷く歩きづらい。


俺は羽樹の手を、五右衛門はカオリンの手をしっかりと握り、一歩一歩慎重に先を進んだ。


『誰がこの穴掘ったのかな…』

『さぁ、掘ったんじゃなくて木が根こそぎなくなったのかもな…』

『アハハ♪宇宙人の仕業!?…宇宙人というよりお化けの方かもしれないね♪』

『ダハハ、違いねぇ!!』


さっきまでビクビクとしていたカオリンとは思えないほど、呑気な会話を五右衛門と仲睦まじそうに話しておられるではないか…


『五右衛門とカオリンって仲良かったんだっけ!?』

俺は二人には聞こえないくらい小声で羽樹に聞いてみた。


『んー。仲が良いのかは見れば分かるけど…ココだけの話、カオリは五右衛門に興味あんのよ』


『なんと!!』…なんと…んと…と…


羽樹からのいきなりの告知に驚きのあまり、声を出してしまった。


五右衛門とカオリンがビクッッッッッッ!!と振り向いた。


悪い悪いと謝罪すると、驚かすな阿呆…と頭を叩かれた。


イテ…と思いながらも五右衛門とカオリンの事を考えていた。


【五右衛門はこの事を知らない…知ったらきっと喜ぶと思うが…】まぁ俺の口から伝える事ではないなと思い、カオリンがいつか勇気をだし、伝えるだろうと、密かなエールを送った。


光達と離れ、道の無い樹海を彷徨い続けていると、途中ロープが絡まって使い物にならなくなった…


無理も無い…訳も分からず、グルグルと彷徨ってきたのだから。


さて、ロープと辿って光とキキの元へと帰りますか…と提案しようとした時、


『じゃぁ優馬と羽樹とカオリンはここで待っててくれ!!』

『は!?』『へ!?』『ぇ!?』


五右衛門はココからは一人で行くと言い出した。

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