『★Star☆Festival★』
『おう!!お前なにかったん!?』
五右衛門はもぉ買い終わって待っていた。
『あービーサンよビーサン。』
『え!?1000円以内で買えたん!?子供用じゃねーのそれ!!』
流石は五右衛門…買い物好きなだけあって最近のスリッパは1000円では買えない事を知っていた。
『3980…』
『は!?』
『3980円した…』
『うッ…』
この、世間から見たら普通…俺からしたら超高級のビーサンを買うことになった過程を話した。
『そ…そうか…まぁ飲めや。』
『おう…さんきゅー。』
今の俺にはジュースを買うお金がない…財布をどれだけ振っても10円玉が5枚落ちてくるだけだ。
『ただいまぁ〜』
『優馬、五右衛門。遅かったやんけ。』
『俺ら歩きで行ってたからさ…』
『めっちゃ遅いから心配したよー』
『わるいわるい。連絡入れればよかったな。』
俺達が和茶に戻った頃にはもぉクジの準備などができていて、今すぐにでも交換会が開始できる状態だった。
『よっしゃ!!ほな、みんな揃った所で早速、順番にクジでも引きますか!!!!』
光の開始宣言に羽樹が待ってました!!と言わんばかりに拍手した。
光が引いてもキキにあげれば良いし…五右衛門だけは引くな!!!と言う思いでクジをの箱を見守った。
出来れば…カオリン、羽樹、将来の彼女候補に引いてほしかった。
カオリン→羽樹→俺→キキ→光→五右衛門という順番だった。五右衛門が最後で本当に助かった。
『じゃぁまずはあたしからだね♪』
【ひけー!!!!優馬と書かれた紙を!!!!】
カオリンは6枚しかない紙をグルグルとかき混ぜ、真剣に選んで、ターっと声を上げて引いた。
『はい!!ざんねーん。光です。その紙は煮るなり、焼くなり、捨てるなり、お好きにしてくださぁい♪』
『どないやねん!!!大切に保管しとかんかい!!』
羽樹の言葉に鋭く突っ込む、光を背にカオリンか本気で落ち込んでいた。
『おいおいおい…カオリチャン…そないな顔せんといてくれや…かなしゅーてかなわん。』
俺も内心落ち込んでいた…カオリンは消えた…。
『ほいじゃぁ、次はうちやね!!引きますよぉ♪』
【ひけー!!!!優馬と書かれた紙を!!!!】リサイクル発言!!
羽樹もカオリン同様、5枚となった紙を真剣に選んでいた。ほい!と取り出した。
『カカカ!!!コレこそ残念賞やないかい!!捨ててええで!!』
と言う光の言葉に、俺は五右衛門か…と落ち込んだ。
『羽樹は優馬から、プレゼントをもろてな!!』
『なに!!!!俺か!?』
羽樹の紙を自分の物の様に奪い取り、凝視した。
『あぁ…神よ…あなた様は…私を見放しはしないで居てくれたのですね…ありがたや…ありがたや…』
『きもいっちゅーねん!!』
皆が引きまくる中五右衛門だけは良かったなぁと安堵の笑みを浮かべてくれた。
『光の言う通り…コレは捨てた方が良いかも…』
『けしからん!!!ブラジャーと胸の間にでも挟んで大切に大切に、保管してくれいっ!!!』決まった…と思ったが…
俺の言葉に羽樹は本気で捨てようとしたので、慌ててとめた。
『次は優馬だよ〜』
『あ!!俺も貰えるのか!!』羽樹にあげる事の幸せさですっかりプレゼント交換会の趣旨を忘れていた。
俺は何でも良いやって感じで、一番上の紙をさっと引いた。
『なんと!!コレは…当たりです!!羽樹ことうちからのプレゼントです!!』
『((おぉ!!))』
と皆、歓喜の声を上げていたが、どぉ考えても一番当たりは俺の紙だろ。と思っていた。
【まてよ…コレは…俺と羽樹のマンツーマン交換!!!】
俺の中では催涙雨も晴天に晴れ上がっていた。
『イエーィ!!』と数秒遅れて喜び、当然流された…
取り合えず全員引き終わった事で各々の紙を見せ合った。ボードに書き込んだ。
☆カオリン←光
★羽樹←優馬
☆優馬←羽樹
★キキ←五右衛門
☆光←カオリン
★五右衛門←キキ
なんとまぁ。すごい結果になった、各々が異性に上げると言う…まさに七夕万歳って気分だった。
『ほな、気になるプレゼント公開するでぇ!!まずはカオリン!!わいのあげたものを!!』
『これです…』
『((うあ…ひで…))』
オロナミンCの6本入りの奴…しかも1本飲んであるため正確には5本…
『キキ!!あんたやっぱり光とは別れた方が良いんじゃ…』
『ぅん…考えてみる…』
『どないやねん!!!確かに一本のんだんは謝る!!せやかてそんな酷いもんやないとちゃうか!?』
『…』
『すまん…カオリン…わいが悪かった。どぉしてもオロナミンCのみたくて。よし!!!気を取り直して次のプレゼントの公表や!!』
光は一刻も早く、自分のプレゼントの話題を変えたく、次の公表者羽樹にピンと右手を伸ばし、人差し指を向けた。
完全に空気を沈んでいたが、俺としては結構良い空気だった。コレだけ落ちてくれれば普通でも目立つ俺のプレゼントをさらに引き立ててくれる。
『え・・・ッと。優馬からのプレゼントなんだけど…』【あれ…何かあまり喜んでないような…気のせいかな…】
『カカカカ!!あかんあかん!!期待してたなら羽樹が悪いわ。優馬のプレゼントなんてワイのより酷いで!!その辺で組んできた水道水でも渡されたか!?』
『んなわけねーだろ!!羽樹、気に入らなかった!?』
『うーん。コレ優馬プレゼント間違えてないかな!?』
『え!?マジで!?』【あの店員…まさか、間違えて変な靴入れたりしてないよな…】
『ビーサンなんだけど、コレって他の子へのプレゼントやない!?彼女とか!!』
『ないない。優馬に彼女なんておれへんで!?』
『うん!それが俺のプレゼント!!』
『え!?まじ!?♪』
さっきまで不安そうだった羽樹が雨の後の花の様に、輝きだした。羽樹の反応にキキ、カオリン、光と、俺の渡した紙袋を覗き込んだ。
『((えー!!!))』
『何コレ!!めっちゃいいやん!!』
『いいなぁ〜オロナミンCと交換しない…??
『気に入ってくれた!?羽樹のサイズに合ってると良いけど。俺…選んでる最中にさ、織姫と彦星の気持ち考えててさ。それで、今日は雨できっと会えなくて泣いてるんだろうなって…だからさ!!この行事もふざけてオロナミンCとか買うのは酷いなって思ってさ…有り金4000円しかなかったけど殆ど使い果たして、買ったんだけど。会えなくて泣いてる、二人の気持ち考えたら当然じゃないかな!?』
【やばい…かっこよすぎた…】
若干ナルシストな発言になったけど、七夕って事もあるし、ロマンチストだと思ってくれるだろうと熱烈的に語った。
『すごい…』
とまず褒めてくれたのはカオリン、それに続いて羽樹、キキも褒めてくれた。羽樹にいたってはクジで俺の名前を引いたことを本当に喜んでいるように感じた。俺の鼻はぐんぐん伸び、天狗状態になっていた。有頂天外だっかな…まったまには良いよな。
次ぎ次ぎ!!と光が不機嫌に言い放ち、俺は羽樹に貰ったものを皆に見せた。
羽樹から貰ったのは蝶の模様にスモークがかかった小さいビンの香水だった。
予算的に小さいのしか買えなかったっ…と微笑んだ羽樹は普段から可愛いのだが今日は妙に可愛く感じた。
次ぎ!!次ぎ!!次ぎ!!と自分より下のプレゼントは無いのか!!と光は公表を急かした。
最後の五右衛門まで公表が終わり、結局光に劣る品は存在しなかった。…当然といえば当然だな。
わいわいと意外と楽しかったプレゼント交換会はアッと言う間だったが、それなりに時間はたっておりもぉ20時半で外も暗くなっていた。
窓の外を見ると催涙雨もいつの間にか上がっていた。
『織姫ちゃんも泣き止んだね♪』とカオリンの言葉に皆頷き、俺達は帰宅の準備をして、和茶を一歩出た。
織姫の涙が星に変わり、流石は『七夕』と思えるほどの星空だった。
『めっちゃ星でてるで…』
『ぅん♪』『だな!』『マジですげぇな!!』『おぉぉぉ』『すご…』
丸い丸い月のと無数の星は、ついつい見とれてしまうほどの迫力と美しさがあった。七夕といったらやっぱり短冊に願い事だよねっと羽樹が言い出し、その場でノートに願い事を書き、和茶の庭にある細い木に掛けた。見た目はとても短冊とは言いづらいけど、俺達にとっては立派な短冊だった。
『なぁ織姫たちって今日は会えたと思うか??』
『会えなかったから泣いてたんじゃない???』
『だな。多分会えなかったんだろ。』
『せやなぁ。今日が晴天やったら話は別やねんけどな…』
『催涙雨振ってたしね…』
『んー。でもさ!!もしかしたら、無いと思うけど…』
『何やねん!!じれったい!!はよゆわんかい!!』
『俺の想像だけどさ!!もしかしたら今日は15年ぶりくらいに会えて嬉しくて泣いてたのかもしれないなって思ってさ!!!』
『((…))』
『優馬もたまにはええ事ゆぅな!!』
『(((アハハハハハ)))』
皆も俺の意見に同感だったみたいだ。と言うか、何か嬉しくて泣いたんだって思いたかったのかもしれない。
七夕伝説が人の考えた伝説なら、やっぱり幸せであってほしい…
『また、やろうな!!Star Festival♪』