『☆Star★Festival☆』
『七夕とゆぅたら、織姫と彦星の伝説が有名やねんな。』
『ぅんぅん♪』
『織姫星はこと座の「ベガ」で、夏彦星はわし座の「アルタイル」の事や。』
『へぇ全然知らんかった…』
『ちなみに2つの星は15光年離れとるんやで!!』
『15光年ってなに!?』
『光の速さでも15年かかるって事や!!』
『お前の足で15年!?』
『どないやねん!!五右衛門はだまッとれ!!』
『1年に1回、会いに行くのも大変な距離やね…』
『せやでぇ。』
『7月7日に降る雨を「催涙雨」とゆぅてな、織姫と彦星が流す雨…涙…と伝えられとるんや』
『毎年毎年会えるとは限らないもんね…光の速さでも15年に1回…』
『何か…切ないなぁ』
『近年の台湾ではな、七夕をバレンタインデーと同様に男女がプレゼントを交換やる日とされてるんやで!!織姫と彦星の神話を考えると、バレンタインデー以上にプレゼント交換に適した記念日と思うねんけどな…』
『じゃぁ今日は皆でプレゼント交換だね♪』
『え"-!!』
そう!今日は7月7日!!七夕…最高気温が…
25℃以上の場合は夏日…
30℃以上の場合は真夏日…
35℃以上の場合は猛暑日…
一日の最低気温が25℃を下回らない場合は熱帯夜と言う知識を最近手に入れた。
そして今日は猛暑日…気温35℃以上のエアコン無しでは生きられないような暑さだった…追い討ちをかけるかのごとく、雨まで降り出した…
今は、学校が終わって、いつもの6人で和茶に涼みに来て七夕の話をしていた所なんだよね。
光の話によると、七夕に降る雨は催涙雨とか言ってたけど…本当なのかな…
この雨が…織姫、彦星の涙だと何だか…ねぇ。
俺達は今から急遽プレゼント交換のために一人1000円までのプレゼントを用意する事になった。
この暑さ…そしてこの催涙雨…今日だけは和茶でのんびりとしたかった…
光の無駄すぎる薀蓄と、カオリンの無邪気な乙女心のせいで俺は今、ショッピングモールに向かって歩いている…36℃もある濡れた道を…
地面からは鼻に付くような匂い…
耳に付くグアグアと蛙の鳴く声…
頭にくる…俺と相合傘している五右衛門…
『つーか何でお前傘ねーんだよ!!!朝は傘持ってただろ!!』
『いやぁ、教室に忘れてさ、どぉせ和茶に寄ると思ったから一本くらい余分にあるかなって…面目ない…』
今回のプレゼント交換の買出しはペアで3組に分かれて行われた…あのバカップルに気を利かせてな。
バカップルと言うのは当然、光とキキだ。
結局キキが光に告白し、光も勿論OK!!
キキはめちゃめちゃ喜んでいたが、俺と五右衛門は100%OKだろうと思っていた。
『なんてったってめっちゃ可愛いもんな…』
『あぁ。マジで光がうらやましいわ…キキなら性格もすんげー良いしな…』
と毎日の様に俺と五右衛門は愚痴をこぼしあい、今日もキキと光を話題にしながらショッピングモールへと向かった。
『くぁ!!涼しいな!!』
『やべぇ。マジ生き返るわぁ』
歩く事30分…ショッピングモールに到着。俺は左半分、五右衛門は右半分、雨に濡れてTシャツの色が変色していた。
俺と五右衛門は自販機に直行し、取り合えず一服した。
『プレゼントって…何を買えばいいんだ!?しかも1000円って…』
俺は五右衛門の言葉になんて返事して良いのかわからず、『さぁ…』と軽く答えた。
『まぁ取り合えず、俺雑貨売り場でも見てくるわ。30分後にまたココ集合な!!』
五右衛門は俺の返事を待たずさっさと買い物に出かけた。あぁ見えて意外と買い物好きな乙女チックな所があるのが…まぁいいか。
取り合えず俺は、もぉプレゼントは決めてある。ビーサンこと、ビーチサンダル!!
時期、値段、手軽さ、どれをとっても完璧だ。
一つ言うならば、プレゼントは誰に送るのかはクジで決めるらしく、男にあげるのか女にあげるのかはまだ不明…
自分の名前を引いたら戻すというルールだったので、確立的に女物のビーサンを買うことにした。
『いらっしゃいませ!!』と女性店員に声をかけられた。
『ビーチサンダルは何処にありますか!?』
『彼女さんへのプレゼントですか!?』
『え…えぇまぁ』嘘をついた。
この店は女性物の靴類しか置いてなく、女性のペアが2組ほどとカップルが1組居た。男だけできているのはどぉやら俺だけみたいだ。
女性店員はニコニコと笑い、ビーサンのコーナーに案内してくれた。
『オススメとかってありますか!?』
『そぉですねぇ。年齢にもよるんですけど、高校生くらいの方ですとこちらが一番売れてます♪』
とんでもなく派手だった…コレがビーサン!?
花なのか、果物なのか良く分からない柄に、鼻緒には小さな薔薇の花が沢山ついていた…
【へぇ…最近の女の子はこんなんはいてるんだ…】女性交際暦が乏しい俺には女の子の普段着を見る機会があまりなかった。
【え!!!!めちゃ高い!!!ビーサンって980円とかで売ってんじゃないの!?】どの値札にも3980円とかかれており、色々な値札を見てみてもやっぱり3980円だった。
女性店員はあれこれ、サンダルの説明をしてくる。彼女はどんな子ですか!?とついには俺の架空の彼女の事まで質問してきた。
取り合えず、キキ、カオリン、羽樹を思い浮かべて、適当に答えた。
『えっと、皆大体身長は160くらいで体系は細身です、二人は髪の毛を染めてて、一人は黒です。』…何言ってんだ俺…
『え!?彼女さん…沢山いらっしゃるんですね…』と苦笑し、少し冷めた目で見られた。
『あ…いや、その、今の彼女は、一人です!!!』…ありえない、死にたい…
『明るい感じの子です!?』
『あ。はい!』…取り合えず全員に当てはまる質問で助かった…
『これなんてどうでしょう!?』
女性店員に進められたのはさっきの一番売れているものではなく、下地は白一色、鼻緒は黒と何ともシンプルな感じのビーサンだった。
良く見るとヒールまでついている。産まれて初めてヒール付きビーチサンダルという物を見た。値段は勿論3980円…
【彼女のプレゼントって言っちゃったしな…】もしここで俺がもっと安いのありませんか!?何て聞いたら…
【えぇぇ。彼女さんへのプレゼントなんですよね!?…3980円もだせないんですか!!?…】なんて心では思うに違いない…
妄想…俺の悪い癖でもある。
【すいません、他の店も見てみます。彼女のプレゼントなもんで、色々選びたくて。アハハハハ】よしコレでいこう!!!
『あの…』
『あ!こちらになさいますか!?』
『あ…はい、それで。』
もぉ駄目だ…諦めよう…財布には4030円…なんとか買える。
【捨てるわけじゃないんだ!!大親友、もしくは大親友+大親友の彼女にあげるかもしれないんだ!!そぉ考えるとたがが3980円じゃないか!!男ならビシッと!!】ポジティブに考えれるのは俺のいいところでもあった。
『ありがとぅございました♪またお越しくださいませ。』
【本当の彼女と一緒にきまぁす…】と呟き、五右衛門との待ち合わせである自販機にもどった。