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『Eyes of the heart』

光がとんでもない事を言い残し、キキを落ち着かせるのに20分ほどかかった。


『キキチャンって光の事が好きだったんだね??全然気が付かなかった』

『え!?』

『マジ!?』

流石にカオリンの読み間違いでしょ…ってか読み間違いであってくれ…と思ったが

『ないないないない!!!好きじゃない!!』

結構冷静なキキの慌てように4人とも確信した。俺と五右衛門にとってはとても残念な確信である。


『へーキキが光ねぇぇぇ♪』

羽樹にいたってはもぉキキの口から聞いたような言い方でキキをからかいだした。


『羽チャンまで!!違うってば…さっきは…その…ねッ…あれだよ…あの…その…』

『アハハハ!!キキチャンやっぱり光の事好きなんだー♪』

『かーなんで光なのかね…俺でしょ!?』

皆で決めつけ、キキの顔はまたもや熟れ熟れの桃みたいにピンク色にほてっていた。


『何やねん!!キキ、わいのことすきやないんかい…ワイはごっつキキの事すきやのになぁ…』

キキはビクっとおろしていた頭を上げ、『ちが…』…


声の主は鼻をつまんだ五右衛門だった。関西弁風に光の真似をしていた。

ヒューヒューと五右衛門がうなり、キキの照れていて可愛いかったピンク色の顔は、溶岩のごとく赤に変わり、今にも噴火しそうだった。


『まっ!!いいんじゃない!?』

『ぅんぅん!!あたしも光に気が無かったら応援するよ♪』

『しゃーねーなぁ。気に入らんけど正直に言えば…』

『うちも、キキの味方だよ♪』


噴火しそびれた、キキは大きなため息…一息をつき、話し出した。

『本当に…すきとかじゃない…と思う…けど…』

『けど!?』

『けどぉ!?』

『光の事は…光を叩いた時からずっと頭から離れない…これって好きッてことなの!?たんに光を叩いた事で大切な友達が居なくなるって思っただけじゃないかな??』


微妙!!!凄い微妙な感じだった。キキの言い分も一理あるし、でも…あの30分にわたる抱きつきシーンは…いったい!?


『ふぅ〜〜〜〜ん♪』

俺のちょっとした揺るぎとは裏腹に羽樹にはまだ確信の気持ちがあるようだ。

『友達ねぇ…光!!!ギュッ!!』

五右衛門もやっぱり、あの抱きつきシーンが気になるようだ。

『えーだってキキチャン自分で光好きって言ってたじゃん??』

『え"!?』

『何ィ!!?』

『わぁお!!』

『光たちを探しに行って、雨降ってきたから、ココに戻ってきたじゃんね。それからキキちゃんと羽チャンは少し疲れて寝ちゃった時、あたしは眠れなくて寝転んでたけど起きてたの。それで…キキちゃんは寝言??かな???それで光…光…ってずっと言ってたから、キキちゃんは光が大好きだね??って寝てるキキチャンに聞いたら…ぅん…好きって言ってたよ♪』


カオリンのお世辞でも上手いとは言えない演説が終わり、俺達はマジでキキは寝言で言っていたものだと思った…がこれはカオリンの大嘘。

カオリンのカマ賭けにまんまとはめられ、キキは落ち着かない様子だったけど…認めた。

昨日までは好意をもってなかったとしても、今日は誰の目から見ても好意むき出しだったしな…実に不愉快極まりない。

雨は大降りになり、たまに雷が閃光と豪快な音が聞こえた。風もそれなりに風力があり、窓から見る雨は斜めに降っていた。

自然の音意外何も聞こえない空間にキキの声はやけに響いた。


『自分でも…少し不思議だけど…多分…好きなの…かな…』

途切れ途切れの言葉には何となく重みが感じられた。

少し、空気が重くなったところにキキは『でもね…』と付け加えた。


『でもね…昔、付き合ってた子達とは何か、違う感情なの…楽しいから一緒に居たいとか…そんなんじゃなくて…ホントわかんないけど…』

戸惑うキキに自分でも不思議だったが臭過ぎる…そしてべた過ぎる…言葉をかけてしまった。

『それが恋なんじゃないのかな…』


人が人を好きになる。恋をする…

俺は昔、本気で好きになった女性が居た。勿論その人とは親密な関係にはならなかったが…俺の一方的な片思いって奴だ。


当時俺は高校1年だった。五右衛門や光だって知っているし、相談もしたりした。

自分の事なのに、何せ本気で人を好きになると言う事は初めての事だったし、良く分からなかった。


その子が他の子と仲良くしてると、胸が苦しくなった。


俺に話しかけて来た時は目まいがするくらいで、会話は片言、相手の顔なんて見れたもんじゃない。


一人で居る時は特に思い出していた。たった一回の会話を何千回も…


この時はコレが【恋】だという事は全く気が付いてなく、光と五右衛門に教えられて要約気が付いたくらいだ。


ネット、携帯、雑誌、TV、時には国語辞典で【恋愛】、【恋】、などの項目を調べたりして、自分の気持ちが理解できた気がした。

今でも忘れられないのはロミオとジュリエットで有名なウィリアム・シェイクスピアの言葉だ。


【恋は目で見ずに心で見る。だから絵にかいたキューピットは翼を持つが盲目で、恋の神の心には分別がまったくなく、翼があって目のないことは、せっかちで無鉄砲なしるしだ。そして、選択がいつも間違いがちだから、恋の神は子供だといわれている。】


難しく…深い言葉は、頭の悪い俺には殆どが理解できなかった…でも…恋は目で見ずに心で見る。この一言は凄く理解…そして共感できた。


他人の恋なら目でも見ることができる…

イチャイチャと肩を寄せ合い幸せそうにしているカップル…

友人が好きな人を前にカチカチになってる様子…

知り合いじゃなくても、恋をしてるなって目で見れば何となくわかる。


けど…自分はどうだろう…

好きな人に対する苦しいような思い…

好きな人が話しかけてくれる嬉しさ、緊張、戸惑い…

告白し交際できるようになった時の、喜び、幸福…

振られた時の、悲しさ、寂しさ、切なさ…


自分の気持ち、思い、感情、それは他人には目で見えても自分の目には映らない。

だから恋は目で見るんじゃなく心で見るんだって彼に共感できた。

頭の悪い俺だ…天才的な彼の考えとは全く違ってるかもしれないけど…自分なりの解釈で俺は俺の中でそう信じている。


恋は目で見ずに心で見る…

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