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『光 of past2』

≪1999年11月25日(木)≫


この日は、体育館裏と言うありきたりな場所に呼ばれて、佐藤とその不愉快な仲間に腹を数十発と顔を数発殴られた。

いじめって言うか、もぉサンドバックのおもちゃにされていた。

佐藤達にとってコレは日常でもはや罪意識や罪悪感なんて無くなっていた。

罪悪感??そんなものは最初から無かったかもしれないな。

今日だって友達を誘うように、『おう!!土屋、今日の放課後ちょっと体育館とまで来てくれ!!』って誘われた。


日に日に増える傷に両親にもバレ、学校に講義や、いじめ主犯の親、本人にまで会いに行き、結果…悪化。

これ以上、口出しするのはやめてと俺が頼むと『転校するか??』とまで話は進んでいた。

この状況は打破したかった…でも俺は転校だけはしたくなかった…銭形…あいつとだけは離れたくない。


≪1999年12月20日(月)≫


俺にとって忘れられない日。

今日は5日後にひかえた銭形の誕生日プレゼントを買おうと、何故か銭形と一緒に出かけていた。

普通こおゆうのは本人以外の友達と行くべきだけどさ…俺…この時期には友達なんて居なかったしさ…

当然の様に銭形からも突っ込みが入った。

「何で俺が自分の誕生日プレゼントを一緒に選ばなあかんねん!!」

『そぉゆぅなって!!』

取り合えず、誘いには成功。とは言っても付いてくるだけで選ぶのは俺だ。

実を言うと、俺はもぉ銭形にあげるプレゼントを決めていた。さらに実を言うともぉ予約まで取ってあった。

今日はその予約した品を取りに行くんだ。

『ちょっとココで待ってて!!』

とおもちゃ売り場の前で銭形を待たせて、俺は予約の品を取りにいった。

「6800円になります♪クリスマス用に包みますか??…+200円ですけど♪」

『お願いします!!包んでください!!』…誕生日なんだけど…まぁいいか。。

『かしこまりました♪では7000円になります♪少々お待ちください♪』

軽く会釈した店員は、冬っぽい真っ白な質の良い紙にクリスマスリースのモコモコとしたシールを貼って俺に渡した。

当然値段は知っていたが財布からお金を出す時に【やっぱり高ぇ!!】とちょっと躊躇した。

この時の俺のお小遣いは月2000円…単純計算でも3ヶ月分以上になる。お金を払う時に手が震えたよ…

でも…俺のたった一人の友達だ…って思うだけで全然お金なんか惜しくなくなった。

『ありがとうございました♪またのご来店を心よりお待ちし…』

最後まで聞かずに銭形の所に急いで戻った。

『ごめん!!お待たせ!!』

「おっせー…うお!!でけぇ!!何こぉたん!?」

『ハハハハ!!あと5日後な!!…うッ…』

突然の吐き気、とっさに銭形にプレゼントの包みを渡し、トイレまで走ったが、店内で嘔吐…

輪を描くように人だかりができ、駆けつけた銭形が人の壁を突き破って俺の背中をさすってくれた。

数秒後に店員も来て、医務室に運ばれた。

2,30分休憩したら、気分は大分良くなってきた。

『((ご迷惑をおかけしました。))』

と深深と銭形二人で頭をさげ、医務室をでて、そのまま近所の公園に足を運んだ。

少し錆付いたブランコに座わり、少しの間何も言わずに、揺れていた。

「どないしたん??…マジで言ってくれや…」

と銭形が首の骨が折れたかのようにガクンといきなり頭を落とし、泣いた…

銭形…友達の泣く姿を見るのは…初めてだった。銭形が泣き止むのを待ち、話をした。

『ごめん…今日さ…給食の時にさ…』

「うん」

『俺が…俺が給食を貰いに行こうとしたら佐藤に呼ばれてさ…』

「うん」

『お前の給食はこれだから残さず食べたらもぉ殴らない…って言ってさ…』

「うん」

『俺に…1週間前の牛乳と、1週間前のパンを渡してきてさ…食べろッって』

「…」

『パンなのにカチカチでさ…所々にカビがあってさ…』

「…」

『でもコレさえ食べれば…銭形にも心配かけなくてすむし…』

「ボケが!!!」

と言い銭形は立ち上がり、俺の前にきてブランコから突き落とし、フザケルナ!!って一発だけ顔を殴った。

佐藤の10倍…100倍…1000倍…それくらい身に染みる一発だった。

銭形はそのままブランコに戻り、俺も泥を払いブランコに座った。

『銭形…』

「あ??」

『親も…先生も…誰に助けを求めてもいじめは終わらなかった…』

「聞いてへんで…」

『え??』

「俺は聞いてないゆぅてんねや。」

歯を食いしばって…食いしばって…食いしばって…必死で堪えていた涙が…

殴られても、変な物食わされても…地に付く事のなかった涙が…俺の顔に2本の滝を作って流れ落ちた。

目は開けられない…開けると滝の勢いを強めてしまう…

呼吸もままならない状態で、銭形に言った。

『銭形…助けて…』

「親とか先生に助けを求めるのもええけどさ…」

『うん…』

銭形はムスっとしていた表情を緩め、100満点の笑顔で…「まず俺やろが!」

目を開けてないのに、俺の顔に出来た滝は勢いを増し、枯れるまで止まらなくなった。

心で何回くらい言っただろう…ありがとう…ごめん…ありがとう…って

泣きじゃくってる俺を置いて銭形がどっかに行ったのに気が付いたのは、涙が止まり目を開けたときだった。

『銭形…???』

俺は、充血した目をしっかり開け、枯れるほど声をだし、銭形を探し回った。

ふと頭を過ぎったのは佐藤だった…もしかしたら…

俺は佐藤が不愉快な仲間とよく行っているゲームセンターに向かった。

さっきと見た光景…人だかり…

ノーストップで走ってきて張り裂けそうな心臓…本当に張り裂けるかと思ったのは、人だかりの男の人が移動した時だった。

嘘だろ…


銭形の遺体…


その横には佐藤の遺体…


周りには不愉快な仲間達がぐったりとした佐藤の体を揺すっていた。


俺の2分後くらいに救急車が到着し、銭形と佐藤の遺体はタンカで車に乗せられ病院に運ばれた。

早すぎる展開にわけが分からなかった俺は、救急車に書いてあった≪森山総合病院≫という病院をただただ目指した。

死んでないよな??…

おい!!銭形…死んで無いって言えよ!!!

心でずっと同じ事を質問しながら、1時間走り続けて要約病院に着いた。

『あッ…あッ…』

声が出ない…

「光ちゃん??」

俺の名前を呼ばれ、振り向くと銭形のおばさんが居た。

「あらあら…ふたりして≪怪・我≫して…光ちゃんはまだ見てもらってないの???」

俺にはおばさんの言葉で安心し、その場に崩れ落ちた。


≪1999年12月21日(火)≫


病院独特の変なにおい、それに比べて真っ白な綺麗な布団は落ち着くにおいがする。

「いつまで寝とんねん!!光!!光!!」

『銭形!!!!!!』

「シッ!!ここは病院やねんで??もっと静かにせえ!あと…勝ったで!!」

『え??』

「佐藤とか言うデブにさ!!勝ったから、もぉ奴も手出してこんぞ!!」

『は??』

「まぁええわ!!けどありゃお前では無理やわな!!ハハハ」

銭形の話によると、俺をいじめた奴を全員しばく予定だったらしいが、よく見てみると周りに5人も仲間がいて、流石に全員しばくのは無理と判断し、佐藤とタイマンで勝ったらしい。

『…』

「なんや!礼も無しかいな!!ごっつ痛い思いまでしたんやで!?…まぁお前の方が痛そうやけど…」

『…』

「足いたないか!?ボロボロやないかい。公園から裸足でココまで走ってくるアホお前意外にいてるか!?」

『…』

「そおいえば、俺、アメリカいくねん。おっとうの仕事の都合でな!!」

『…』

「アメリカにはごっついギャング仰山おるヤろ!?あのデブにも勝てへんなんだらアメリカで何か生きてられへんで!!自分の実力テストのついでに光の敵もとっといたったんや!!」

『…』

「泣いてばっかおらんと何かゆえや!!!」

『サンキューな…』

「まずそれやろが!!」

『((ハハハハハハハ))』


≪2000年6月11日(日)≫


結局あれ依頼いじめは本当に無くなり次第に友達も出来始めてきた。

でも俺は銭形がアメリカに行く事になり転校する事にした。


この日は銭形がアメリカに行く日だった。


「ほな光!!!元気でやれや!!…わいがアメリカから帰ってきた時…18歳になる…8年後には、そのだっさい標準語やのぉて関西弁話せるようにしとけや。」

『おう!!お前こそ英語ばっかりで日本語忘れんなよ!!!』

「ほなッ!!」

『またッ!!』


もぉ永遠の別れってわけじゃないし、挨拶はいつもとかわらず、≪またな…≫で別れた。


光は部屋に入り…少し微笑み…

銭形は車に入り…少し微笑み…


≪絶対また会えます様に…≫と神様にお願いした。

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