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『光 of past』

あのな…と

光は優馬達に誰にも話した事の無かった自分の過去を語りだした。

あのな…わい…ほんまは…ほんまは関西弁やないねん。


『(((は!?)))』


俺達が驚いたのは、じゃぁ何故今は関西弁風に話しているのか…それを聞かされた時だった。

まず最初に思ったのが、『フィクション!?!』

とても光がそんな体験をしてるとは今まで2年と数ヶ月つるんで来てそんな風に思ったことが…考えた事が無かった。

…光は小学校3年生の時にいじめにあっていたらしい。まだ体も出来上がってない小学校3年生には…知識も少ない…限度を知らない…小学生の度が過ぎたいじめは過酷なもんだったらしい。…

それと…もう一つ…


≪1999年5月12日(水)≫

「おはよ!!光!!今日はサッカーせぇへんか!?!」

『おう!!俺の学校のグランドに集合で良い!?』

「よし!!決まりやな!!」

『じゃぁ学校終わってから、着替えて集合!!』

「OK!!来るのが遅かった方がジュースおごりな!!」

この項俺には、友人と呼べる存在が少なかった。少ない友人の中でも一番仲が良かったのは幸一だった。

幸一の誕生日は12月25日、クリスマス!!血液型はB型。

光は…周りの子達は彼のことを、≪銭形≫と呼んでいた。当然苗字は銭形ではない。

ルパン三世の【とっつぁん】こと、銭形幸一。

名前と誕生日と血液型が一緒と言う理由で銭形って呼ばれていた。

いかにも小学生がつけそうな典型的なあだ名である。

幸一もルパン三世は好きで、銭形と言う愛称も気に入っていたので問題はない。

実を言うと銭形とは同じ小学校ではない。

家、5軒違いで北小学校と中小学校と別の小学校に通っていた。

家が近所って事は変わりなく、ゲームしたり、遊びに行ったりして、二人で遊ぶ時間が多かった。

『カカカカ!!お前の負け!!今日もジュースGET!!』

「カー!!光には、かなわんな…」

30戦2敗。俺は小学校の時から競いごとには強かった。

この日は銭形と二人だけのサッカー(って言うのかな?)をして帰りに賭けのジュースをおごってもらい、俺は友人が少なくたって、こいつだけ居れば楽しくやっていける。

例え学校であんな事をされても…


俺は学校ではNo1の嫌われ者!!…とまではいかないがクラスでNo1は間違いなく俺だろう。

銭形…別の小学校の奴とばっかり遊んでいた俺は自分と同じ学校の生徒との付き合いは良くなかった。

2年生まではそれなりに友達もチラホラいて、遊びの誘いも少なからずあった。

が…3年生になり、誘いも減り…無くなり…誘っても遊んでもらえなくなり…クラスNo1になった。

俺も頑固で、わざわざ遊んでくれだの、仲良くしてくれだの、媚びるのは願い下げだった。

遊んでくれない奴はそれで良い、嫌う奴は好きに嫌えば良い。

そんな強がってる俺をクラスの奴らはうざったかったんだろうな。


クラスからの集団無視…その次は…

私物を隠され、汚され、破壊され…その次は…その次は…

と、どんどんエスカレートし、物理的ダメージまで与えられるようになった。


「ん?自分その傷どないしたん?切れてへん?」

『カカカ!!図工の時に切ってさ!めちゃめちゃ痛かったわー。銭形も切ってみるか!?』

「どないやねん!!勘弁してや、せやかて気ぃつけや!!大怪我したら洒落になれへんで!?」

『お前に心配されるようじゃ俺もまだまだやな…』


まだまだ、と言うよりこいつにだけは《いじめ》の事を知ってほしくなかった。

心配かけたくなかったし、いじめられてるって分かって、態度が変わってくるかもしれないって言うのが怖かった。


≪1999年10月25日(月)≫


とうとうこの時が来た。来てしまった。

一ヶ月くらい前から銭形は少しずつ、気が付き始めた。

「友達とプロレスでもしたんか??」『おう!!まぁ苦戦したけど俺が勝った!!』「ダハハハ!!流石や」

「誰かと喧嘩したんか??」『おう!!まぁ苦戦したけど俺が勝った!!』「ダハハハ!!流石や」

 ・

 ・

 ・

「お前いじめられてる??」『おう!!まぁ苦戦してるけど俺が勝つ!!』

いつもみたいな銭形の笑い声は聞けなかった。

焦った俺は必死で『いじめって言っても…』と付け加えた。

『いじめって言っても、単なる嫌がらせだけで俺自身大して気にしてないし、テレビとかでやってるような残酷なもんじゃないから全然平気!!』

「いつから??」

『え??』

「いつからいじめにおおとるんや?」

『3年の頭くらい…長期戦やな!!ハハハ』

「だれや!?」

『ん??』

「誰にやられとるんや?」

『まぁクラスのやたら体格良い馬鹿な佐藤とか言う奴が主犯だけど!!それがさ、名前同様、嫌がらせも砂糖みたいに甘くてさ。ぬるいぬるい。やり返したら俺のほが悪者になりかねんわ。カカカ』

「ハハハハ!!なっさけないやっちゃのぉ!!それでお前体中に傷おおてるんか!!」

『ハハハ!戦に傷は付きものだ!!』

俺はこの時に気が付くべきだったんだ。

まだ小学生の俺の思考回路では銭形の考えてることなんて分からなかった。変な心配は解けたと思ったんだ。

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