『後悔は美徳の春』
キキに胸を押され、わいは大きくため息だけついて、背を向けた。
『優馬、五右衛門わりぃな。わい帰るわ。』
『ちょ、おい、待てって。』
優馬達は迷いに迷った結果、わいに付いて来てくれた、男女対立。
わいは優馬と五右衛門と一緒に和茶を離れ、キキと羽樹はカオリンと一緒に和茶に残った。
今日の朝…ってゆうより、1時間半前はこないな結果になるっては思いもしんかった。
わい達はとりあえずこの場を離れる。
ってゆう目的でチャリンコを転がし、ねきのコンビニによって飲み物をこぉて、和茶で散々座り込んだけど、ここでもまた座り込んだ。
『ありがとうございましたぁ♪』と女性店員の声が外まで聞こえきくる。
そのたびにカオリン達の事を思い出したのはわいだけぇとちゃうやろな。
『光…どぉしたん??お前らしくなくなかったか??』
座り込んでまた沈黙ってのはもぉ耐えられなかったんやろな…優馬はちびっとした疑問をわいにぶつけてきたっちゅうわけや。
わいはなあんも返事できんかった。
何やてゆーたらええんや??
自分でもわからへんのや…
何であないな言い方してまったんや…
キキに叩かれてもしゃあないわな…
わいは優馬からの問いかけも忘れて、ひたすらお天道様を眺めてぼーっと一人で考えとった。
『優馬と同じで俺も全くわからんぞ??なんでお前…あんなに怒ったんや???』
今度は五右衛門…なんか返事せないかんって思い
『戻りたかったら戻ってええで。わぃは別に自分らに付いて来いなんてゆーてへんしな。それにまだあいつらも帰ってへんやろ。』
最低最悪の返事や…ごっつ心配してくれとるのは分かっとるんやけど…
少しの考える時間も無く、
『いや、俺はお前に付き合うぞ??』
『俺も。』
お前さえいやじゃなかったらな。優馬と五右衛門が声を合わせてニヤっと笑ってわいに言い放った。
わいも素直な気持ちを優馬達に伝えようって思い、まず謝った。
『ワイのせいで自分らまで、あいつ等と気まずい関係にしてかんにんな。』
『俺らは全然良いけどさ。光…お前の身勝手な怒りであんな事言ったなら皆に謝った方が良いぞ。』
『そうやな。お前に理由あってあんな風にいったなら俺達がきくしよ。』
優馬達の本音…ワイを思っての言葉に涙が噴出しそうだったが、歯を食いしばって堪えた。
【だめや…溢れる…】
と、とっさに【ふぁぁぁ】っとアクビしたふりで、マジ泣きだけは、ばれない用…下手に工夫したけど…
『泣くなって!!』
と五右衛門の言葉に…張り詰めていたものが破裂し、声を出さずにボタボタと涙だけ落とした。
今になって、キキに叩かれた頬が痛む。
その痛みに比例して、心臓を氷の手で握られたように、胸が苦しくなった。
気持ちを落ち着かせるために、深呼吸した。
『大丈夫か!?』
『おうおう!わいはもぉ大丈夫や!!』
『そっか!なら安心やわ!!』
『ワンワン。泣き出したときは恥ずかしくてお前置いてどっか移動しようかと思ったわ!!』
『わいなら即移動したで!?自分らの優しさのガ恥ずかしいわ!!!』
ダハハハ!!
【久しぶりにわろたなぁ。】そない気がした。
笑いもおさまり、わいはさっき決めた事を話す事にした。
『なぁちょっと聞いてくれや』
『ん??』
『このさい何でも聞くから言って良いぞ!!』
…サンキューな…
あのな…
カオリン達はまだ和茶で座り込みを続けていた。
私も羽チャンもカオリンも何も話さないまま時間だけが過ぎていた。
【光にあんな態度とって、光がカオリンにとった行動より酷かったかもしれないなぁ…】
私は自分の行動と皆の行動を思い出し、自分の中で整理しようと思った。
が…いつの間にか過去を振り返っていたの。
私が初めて人を叩いたのは小学生の時だったかな。
お母さんに買ってもらったハンカチを確か…そうそう、隣に座ってた勇次くんに貸してあげたんだよね。
なんで貸したんだっけ??…あ…給食の時にお茶をこぼして…それでだ。
洗って返してくれるって言ったから、その日は一日かしてあげたんだよね。
でも…
次の日学校で返ってきたのは、私の貸してあげたハンカチじゃなかったんだ。
え??…これ違うよって言ったら、勇次くんは…少しだけ時間かかるからそれまでコレ使ってて…って言ったよね。
私はてっきり…無くしたり、破れちゃったりしたのを誤魔化されてるって思っちゃってさ。
いきなり、明日返すって言ったじゃん!!今すぐ返して!!!って怒鳴りつけたよね…
勇次くんは一週間以内には返せるから待っててよ…って言ったけど私はそれから一週間ずっと無視したよね…
消しゴム貸してって話しかけられても…
勉強や当番の事を聞かれても…
私が口を開いたのは一週間後だったよね…ハンカチ返せって…
勇次くんは必死で謝って、間に合わなかったから…明日には絶対持って来るって言ったよね…
そんな勇次くんを無視して…泣きながら泥棒って連呼して頭を何度も叩いちゃったよね…
その日の夜…たしか12時過ぎくらいだったかな…私は寝てて翌朝、聞かされただけだったんだけど…
お母さん言うには…
深夜12くらいに一人で来て、
『本当にごめんなさい。キキさんのハンカチを借りてクリーニングに出して…それで…それで…』
ここで勇次くんは大泣きしちゃったんだってね…
『クリ・クリ…クリーニング屋が…ック・・・昨日休みで…それ…その…その事をキキさ…ック…キキさんに伝えたら…』
ここでもぉ何を言ってるか分からなくなって、お母さんがゆっくりで良いから落ち着いてから話ししてって言ったんだよね…
『キキさんのハンカチを借りてクリーニングに出して、昨日返す予定だったんだけど、クリーニングのお店が昨日やってなくて、それで今日返す約束をまもれませんでした。ごめんなさい。それで、学校終わってからクリーニングのお店に取りに行って届けにきました。約束守れなくてごめんなさいってキキさんに伝えてください。』
って小学生とは思えないくらいしっかりした口調で言ったんだってね…
その事を聞いた時、沢山ないて、これからはもぉ絶対に人を叩いたりはしないって誓ったよね…
次の日学校で謝ろうって思ったけど…学校ではもぉ話も何もしてくれなくなったよね…
辛かったよ…
光ともこんな形で終わっちゃうのかな…
私の目から頬を通って泪が上から下へと流れ落ちた。
キキどぉしたの!?
と心配してくれる羽チャンの言葉に、私の雨は小雨から…大雨になり…豪雨になった。
なんであんな事しちゃったんだろう…
光が羽チャンやカオリンに酷い事言ったから光が悪いんだよ…
そぉじゃないでしょ、私が光の意見も聞かずに叩いちゃったんじゃん…
光がそれだけの事したんだから当然だよ…
……………
光の頬を桃色に染めた凶器、私の右手が小刻みに震えだした。
自問自答から自己嫌悪し自縄自縛…私を縛りつけ、動く事が出来なった。
遠くの方で誰かが私を呼んでる気がする…
誰だろう…光かな…光…ごめん…
『キィキ!!!』
『キキチャン!!!』
呼んでも一点だけ見つめて全く動かなかった私の頭をポンっと羽チャンが優しく叩いた。
ゆっくり振り向いた私の泪と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を羽チャンは優しくハンカチで拭いてくれた。
『キキ大丈夫??どぉしたの??』
『キキチャン…』
羽チャンとカオリンの優しい言葉に、今感じている私の全てを話す事にした。
あのね…