やっぱり俺は地獄行きらしい
いやいや、死んでないよ。
「じょ、状況飲み込むのおせぇ~…」
呆れた表情の少女、えんま様と呼ばれた子のセリフから始まりました。
本日はあの世から、わたくし緑田太郎がお送りします。
「いやいや、ここ本当にあの世なの?何かのドッキリとかじゃないの?」
大成功!と書かれた看板を持ったスタッフがどこかに隠れていないかと、周囲を見渡してみる。
…どこにもいない。
よほど隠れるのが上手いスタッフを雇っているようだ。
「めんどくせーなぁ…おい、説明してやれ!」
「はい、えんま様」
さっきからえんまえんまと言っているが、この小さい少女が舌を引っこ抜くと噂のあの閻魔大王なのだろうか?
よく見ると少女の胸元に『えんま』と書かれた名札が付いている。
だからなんだというのだ。
そんなものがあったところで、この少女が閻魔大王だという確証にはならない。
「というわけですが、聞いてますか?」
急に話を振られて思わず、ひゃい!という間抜けな返事が出てしまう。
細身で眼鏡で白髪の男性が、言葉を放った姿勢のままこちらをじっと見ている。
「…聞いてなかったですよね。まぁいいです。簡潔に言うとあなたはモチを詰まらせて死にました」
おい、ざっくりまとめすぎだろ。
確かにそれ以外に表現のしようがない死に方だったが。
というか、だんだんと記憶がはっきりしてきた。
うん、俺、モチで死んだわ。
「納得したか?じゃ、地獄行きね。ばいばい」