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第004話 「ファーストミッション達成」

 ぱんぱかぱーんぱっぱっぱっぱんかぱーん!!


 !、


「なんだ? 何の音だ!?」


「あ、これは初期配置が全て終了したので、ミッションクリアを知らせるアラームです」


「ミッションクリア?」


「はい、ミッションをクリアする毎にボーナスのDPや役に立つアイテムが進呈され、それを使ってどんどんダンジョンを強化できるというすばらしい仕組みになっているんです」


「……Pちゃん、それって最初から全部持った状態でスタートしたらダメなの?」


「さっきも言いましたけど、神の制限がかかってるせいです。こちらで用意したものを全て持ってたらスタートダッシュにターボどころかニトロがかかって余裕でこの世界の人類が周回遅れになっちゃうんです」


「つまりどゆこと?」


「やるなら対等で、ってことです。 ミッションクリア方式を取り入れるのだって連日交渉してようやく認めさせたんですから」


「理由はともかくつくづくこれゲームシステムとしか思えなくなってきたな」


「そう言わないでくださいよ。 ところでさっそく最初のボーナスを確認しましょ」


「それもそうだな」


 Pちゃんに促され、大地はさっそくウィンドウ画面からボーナスのアイコンをタッチして中身を確認した。


「DPが2000と回復ポーションが4つか、まあ、最初のボーナスって感じだな」


「当然ですが、この回復ポーションは一般でいう普通のポーションで、より上位のポーションは死にかけの重傷者を完全に回復させるものもあります」


「ってことはこれは普通の傷を回復するくらいが関の山ってことか」


「そうなりますね」


「じゃあ、ボーナスも確認したことだし今度はどうすればいいんだ?」


「では大地さん、こちらに来てください」


 そう言ってPちゃんはパタパタと飛びながら地上へつながる出口とは反対の方向に俺を連れられて行き、発光石のない暗い通路の中を光るPちゃんを頼りに進むと、何やら奥の方からぼんやりとした光が見えてきた。

さらに進むとそこには淡く赤色に光る俺の倍くらい大きな球体が台座の上に鎮座していた。


「Pちゃんこれは?」


「これこそがダンジョンをダンジョンとして成立させているモノ、ダンジョンコアです」


「ダンジョンコア?」


「はい、ダンジョンコアはこの世界に満ちる魔力を収集し、私たちの神のもとに転送する機能を持っています。あとは文字通りダンジョンを維持するための中枢であり、大地さんの心臓の機能もあります」


「へ? 俺の心臓ってどゆこと?」


「要するにこのコアが潰されると身体が無傷だったとしてもダンジョンと一緒に大地さんも死ぬって事です」


 なんですとー!?


「ちょっと待ってくれ! なんでそんな強制道連れシステムに俺が組み込まれてるんだ!?」


「? 大地さんだけじゃないですよ? ほかにもこの世界に居るダンジョンマスターさんにはみんなこのシステムが適用されていますから」


「そういうことじゃなくて!」


「そんなに心配でしたらコアを身体にしまっておくことも可能ですけど、」


「こんなデカイもんが俺の中に入るか!」


「いや、直接身体に入れるんじゃなくて魔法で融合させるですけど、その場合ダンジョンの機能が著しく制限されます」


「制限ってどんな風に?」


「ダンジョンコアがこの台座に無い状態ですと、新たにダンジョンを拡張したりモンスターや他の物を追加でDP購入したりといったダンジョン強化の機能が使えなくなります」


「ふむふむ、他には?」


「コアの魔力収集はダンジョン内に満ちる低位モンスターたちの食事代わりとなっている魔力も担いるんですが、コアを大地さんに融合させっぱなしだとそれも止まってしまうのでダンジョン内にいるすべてのモンスターに食事が必要となってきます」


「地味にめんどくさいなそれ」


「まあ、その分融合状態の大地さんは通常よりも多くの魔力が使えるので使いこなせればヘタな魔法使いより強力になりますよ。 あとは融合している間、最低限ダンジョンを維持するためのサブコアがこの台座に残りますけど、そっちは壊されてもダンジョンが崩壊するだけで大地さんは無事で済みます。 ただそうなった場合、ダンジョンの再建がめちゃくちゃ大変ですが、」


「…なるほど、ちなみに聞いときたいんだけど、コアが無事で俺自身がやられた時ってどうなるの?」


「普通に死にます」


「ファッキン!」


 


 衝撃の事実に大地は軽くめまいを覚えつつも、Pちゃんから「これで基本的なダンジョン運営の説明は以上です。これから一緒に頑張りましょー!」と言われ、しぶしぶ納得して次の行動に移る事にした。

 大地がしようと考えた次の行動、それは人間ならば誰しも避けられない三大欲求の一つ、食欲である。ダンジョンに転移してから体内時計でそろそろ半日、大地は食べられる物を求めてダンジョンの外へと足を運び、そして洞窟以外で初めて目にした異世界の風景にしばしの間、空腹を忘れて見入っていた。ダンジョンの入口である山のふもと近くから足元に広がる広大な森と周囲を囲む山々、そして視界の先には湖とそこから流れる川、さらに極め付けはここが異世界だとはっきり認識させてくれる空に浮かぶ岩塊が大地を魅了していた。


「すっげー、大自然の風景そのものは元の世界と大差ないけど、なんだあの遠くに浮かんでるデカイ岩は?」


「あれは風の魔力純度の高い鉱物がたくさん含まれてる浮き岩ですね 大きいモノだと島クラスのやつもありますけど、浮き岩は凶暴なモンスターが巣にしていることも多いので今は近づかないことをお勧めします」


「心配しなくてもあんな空の上じゃ行きたくても行けねーよ」


 異世界の景色を満足するまで眺めた大地はさっそく食べられそうな果物や木の実がないか探し回った。探している途中、木々生えているキノコを多数発見したが、毒ありか毒なしかわからない状態で食べるキノコほど危険な物はないと知っていた大地は手を出さず、そのままにしていった。


「見つかんねーな」


「ですねー」


「Pちゃん、なんか食べられる物もってないの?」


「この身体のどこに食べ物を持ってるというんですか?」


 パタパタと飛び回りながら見事なヒヨコボディを見せつけてくるPちゃんに大地は今言った発言が失敗だったことを悟った。


「あとは湖くらいか、」


「魚いますかね?」


「いなくても水は飲めるだろ」


「それもそうですね」


 大地とPちゃんは湖まで行くと、水辺に目を凝らして魚がいないかじっくりと探した。


「いないな……Pちゃん、そっちはどうだ?」


「こっちも居ませんね」


 大地と違いって空を飛べるPちゃんは水上から魚を探してくれていたが、結局魚は見つからず仕舞いだった。


「はぁー、腹減ったなぁ」


「…仕方ないですね、今回だけは贅沢しちゃいましょう」


「え? なんか食べ物あるの? それならそうと早く言ってよPちゃ~ん」


「私じゃなくて大地さんが出すんですよ。 大地さんウィンドウを開いてください」


「? 分かった」


 Pちゃんの指示でウィンドウを開き、購入画面を大地が出すと、Pちゃんが画面の端を羽で指さしてタッチするように説明した。


「ここの『その他』の項目をタッチしてください」


「ここか、お、なんかアイコンがたくさん出た!?」


「そこの『食料』のアイコンをタッチするとこの世界のいろいろな食べ物が表示されます。ただ購入には全てDPが要るので値段とよく相談してからにしてくださいね」


「せちがれーな」


 しばらく画面とにらめっこをした大地は角豚の串焼き(4本×20DP)とアポールのしぼり汁(同じく20DP)を購入し、Pちゃんと仲良く分けて食べることにした。串焼きとしぼり汁を食べ終わった大地の感想は、普通に塩味の効いた豚肉とリンゴに近い味わいのジュースからそこまで前の世界とこの世界で食べものに差はないのかな? だった。




 現在までのDP使用状況


 初期手持ちDP  5000DP


【ダンジョン拡張】

・発光石プレート1m×1m設置×4 -40DP

・発光石(ミニ)×10 -20DP 

・落とし穴×3 -150DP

・飛び出す槍×2 -200DP

・つり天井×1 -150DP

【モンスター設置】

・スライム×5 -500DP

・ゴブリン×5 -500DP

【食事】

・角豚の串焼き×4 -80DP

・アポールのしぼり汁 -20DP

 

【ボーナス】

 +2000DP



大地の現時点での残りDP 5340DP

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