表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステゴロソウル~たとえば俺が勇者なら~  作者: 寅猛
建設都市アルカディア
91/165

アルカディアの36

地の分多め……読みづらかったらごめんなさい!

 草むらに寝転んで空を見上げながら、リュージは戦いが終わった後のことを思い返していた。

 極秘にしていた企画書盗みの件はともかく、ここま大々的に破壊活動をしてしまったからにはもう隠すことは出来ない。

 その方法は伏せられたまま、スヴェンは都市転覆を目論んだテロリストとして、この世の果てとさえ呼ばれる『監獄都市』に送られた。



 とはいえあれだけ大規模な破壊を行った彼が投獄で済んでいるのは、人的被害がなかったことが大きい。

 そう、あれだけのことがあったにも関わらず、誰一人として死人が出なかったのだ。

 当然まともなことではない。都市民たちはあの日目が覚めたら、何故か都市の外にいたと全員が口を揃えて証言しているそうだ。

 正体不明の恐怖は消えないものの、都市の惨状をみた住民たちはとりあえず互いの無事を喜ぶことにしたらしい。



 話を戻すと、目を覚ましたスヴェンは存外素直に全てを語ってくれた。

 もともと彼はブルーノの会社に入り込み、会社を裏から乗っ取るつもりだったようだ。都市内にブルーノの悪評がやたらと流れていたのは彼の地道なネガティブキャンペーンの賜物だったようだ。

 本来はそうやってブルーノの地位を乗っ取ってから、長い時間をかけてオットナーを蹴落とすという、非常に長いスパンの計画だったらしい。



 それがおかしくなったのは今思えば些細なきっかけだったという。

 偶然、本当に偶然に見てしまっただけなのだ。

 家に置いてあったプレゼントの包みを、そして普段の彼ならば決してしない行い――

 ――袋の中身を見てしまうという行動を何故かその日に限ってしてしまっただけなのだ。

 その中に入っていた手紙を見て、ブルーノとフィリーネの関係に気づいたスヴェンは、これを利用できるのではないかと考えた。

 オットナーを蹴落とし――。

 ブルーノの心に致命的なダメージを与える。

 少なくとも自分の目的にはぴったりだと。



 だかスヴェンはその計画自体を決行するつもりはなかった。

 計画に穴が多すぎてそもそもが机上の空論だったうえに、厳重な警備が張られているオットナーの会社に忍び込むことも、フィリーネの荷物にそれを忍ばせることも出来るわけがなかった。

 彼自身そんな後ろ暗いことをした経験がなかったからだ。



 日の目を見ずに終わるはずだったこの計画が、予期せず実行に移されたのは――たったひとつの出会いが原因だったそうだ。



 『出会い?どういういみだ』



 眉をしかめるリュージに、スヴェンは頭をかきながら言った。



 『僕にも良く分からないんです。いつだったか夜に帰りが遅くなったときに、向かいから歩いてきたんです』

 『……誰が?』

 『分かりません、今思い返すと、本当に分からないんです。誰が歩いてきたのか、何が歩いてきたのか。ただ、そう……あれは、影でした』

 『……影、か』



 その話を聞いた時リュージの脳内に真っ先に浮かんだのは――。

 完膚なきまでに負けた例の魔王の部下。

 それを確かめる術はもはやないのだが。



 ただスヴェンはその出会いの後いつの間にかジャンクスピリットを握っていたらしい。

 彼が本格的におかしくなったのはそこからだそうだ。



 『自分でも分からないんです。なんであんな恐ろしいことが出来たのか……』



 そう言って震えるスヴェンの姿からは嘘は感じられなかった。

 結局スヴェンと話したのはそれが最後になった。

 『監獄都市』行きの長距離移動馬車に乗せられ、ブルーノとナディヤに見送られた彼がどんな心境だったのか知ることはない。

 ただ、ナディヤは帰ってくるまで待つつもりのようだ。

 出都市率一パーセント未満の『監獄都市』からスヴェンが帰ってこられるかどうかは、女神のみぞ知るといったところか。



 他の面々についてだが、まずオットナーは親方を引退した。表向きは今回の事件の責任をとらされて、実際には自分から辞めたとか。

 今アルカディアは後任を決める選挙と都市の復興で忙しくも活気にあふれている。

 ちなみにナディヤはそんなオットナーの後任になるべく選挙活動中だ。



 ブルーノも同様に社長を辞した。

 見合いの話は当然流れた。来てくれた父娘にはどんな責任でも取ると土下座までしたようだが、聞くところによると娘のほうも最初から乗り気でなかったらしく、むしろ感謝されたらしい。

 怒り狂う父親を娘が諌めるというなかなユニークな場面に遭遇できたそうだ。



 フィリーネは当然無罪放免、体調もやはり精神的な要因が大きかったのか二、三日で持ち直した。

 彼女の部屋で話をしているときにブルーノがやってきてプロポーズをしたのは良い思い出だ。

 式はしばらく先になるとのこと、どうか幸せになってほしいとリュージは思う。



 そしてリュージたちは――



 「まさか更に二週間滞在することになるとはな」

 「でも今日でお別れだと思うと名残惜しいもんじゃない?」



 寝転んだままの呟きに返事があった。

 まぶたを上げれば頭の上からリュージの顔を覗き込むラフィがいた。



 「やっと準備終わったのか」

 「皆あなたと違って荷物が多いのよ。当てのない旅なのにリュック一つで荷物がまとまるのがどうかしてるわ」

 「多くても管理し切れねえんだよ。あれくらいでちょうど良いだろ」



 軽口を言い合いながら並んで歩いていると、都市の入り口に一軒異様なものが見えてきた。

 巨大な何かに豪華な布が被せてある。

 それを見上げて歓声をあげているのはヴィートとイナセだ。



 「でけぇ!なんかもうひたすらでけぇな! 」

 「信じられないよ!こんな立派なものが出来るなんて!」

 「なんだもう中見たのか?」

 「いや見てないわよ」



 つまり見る前からこのはしゃぎっぷりというわけだ。

 なんだか微笑ましい気持ちになってしまうのは年寄りくさすぎるだろうか。

 はしゃぐイナセの後ろから忍び寄っていたフィリーネがイナセを羽交い絞めにした。



 「凄さくらい見なくても分かるわよね!なにせうちの夫が作ったものだし!」

 「うわ!フィリーネ!?なにすんだよ!」

 「気にしない気にしない、今日はこうしたい気分なのよ」

 「気にするってば!くすぐったいから止めろよ!」

 「フィリーネそれくらいにしておけよ」

 「はーいあなた」


 

 ブルーノの一声であっさりとイナセから離れるフィリーネ、代わりにとブルーノの腕に抱きつく彼女を、ブルーノは微笑んでみていた。



 「あんまり見せ付けるなよブルーノ、折角のお披露目なのにお前らに主役を奪われたら堪ったもんじゃない」



 似合わないカイゼル髭をそり落とし、見違えるほどに陽気な表情になったオットナーが二人をからかった。

 あれだけ不機嫌の塊のようだった男がこれである。人間変われば変わるものだ。

 リュージは朗らかに笑うオットナーに話しかけた。



 「で、すぐにでも出発できるのか?」

 「ああ!もうすぐお前たちの馬が――お、来た来た!」



 遠くから聞こえる嘶きに、いの一番に反応したのはヴィートだ。



 「ジョゼフィーヌ!アンリエッタ!」



 諸手を挙げて再開を喜ぶ主人に、二頭の馬は鼻を擦りつけた。

 二頭の馬と布のかけてある物を見比べてイナセは疑問を口にした。



 「しっかしよぉ、確かにあの二頭はすげぇでかいけど、二頭だけでこれを引っ張るのって無理じゃね?」



 その言葉に食いついたのはオットナーだ。



 「おっと、俺の設計に狂いはないさ、ちゃんと注文どおりあの二頭の馬で引けるように設計してある。俺のアイデアの全てをかけてね」

 「それを実現するのに手間がかかったからこんなに時間がかかったんだぞ?」

 「は、ははは!まぁ全員揃ったしこれ以上引き伸ばしても

しょうがない、ほらお前たち、四隅を持ってくれ布をどかそう」

 「じゃあ私こっち!」

 「俺はこっちで良い」

 「じゃあ、僕はここで」



 三人の視線がイナセに集まる。

 イナセは驚いて声を張り上げた。



 「ア、アタシが持つのかよ!?」

 「他に誰がいるのよ」

 「わ、わかったよ」



 言われるがままに余った隅を持つイナセ。

 全員が持ったことを確認したオットナーが合図を送った。



 「そら!それがお前たちの旅の相棒だ!」



 布が取り払われるとそこには――。



 「うわぁー!!」

 「こりゃまた随分」

 「すげぇ……」



 驚く三人を尻目にオットナーがニヤニヤとリュージのほうへ視線を向ける。

 サプライズが成功した子供のようなその瞳は、たった一言を待ち望んでいるようだった。

 リュージはくつくつと笑って、その一言を口にする。



 「ああ、最高だ。最高の馬車だよ」



 この二週間待たされていた理由がこれだった。

 そもそもリュージたちがアルカディアに寄った最大の理由は馬車の調達である。

 全てが終わって少し落ち着いた頃、オットナーに相談したのだ。馬車を作ってくれる職人はいないかと。

 するとオットナーは少し怒り気味にこう言った。



 『何でまず俺に頼まない!』



 そこからの彼の行動は早かった。

 ブルーノに声をかけ、隠居同然だったかつての仲間たちを引っ張り出し、二週間に及ぶ超ハードスケジュールな突貫工事の末に完成したのが目の前のこれというわけだ。



 まるで電車の車両を小型化させたような見た目をしているが、その大きさは他の馬車とは比べ物にならない。

 リュージの注文が通ったのかごてごてした装飾類こそないものの、それでもこの世界においては目立つこと間違いないだろう。



 「一応内部は二つの部屋からなってる。二人部屋が二つだ。簡易的だがベッドと収納棚はつけたぞ。ただ過ごしやすさを重視したからな、通常の馬車と比べれば積載量が落ちているが気にならない程度に抑えたつもりだ。あと二年くれるなら風呂とトイレもつけてやるぞ?」

 「これで十分だよ」



 まくし立てるオットナーに半ば呆れながらリュージは笑った。

 聞いている限り性能は破格だ。これを無料でもらうのは気が引けてしょうがない。

 そんなリュージの言いたいことが伝わったのか、急にオットナーが真面目な顔になった。



 「悪いとか思うなよ。それはここにいる全員への侮辱になる。俺は、――いや、俺たちはお前たちに返しきれない恩が生まれたんだ。お前らがいなければこんなに晴れやかな気持ちになることは一生なかったかもしれない」

 「……俺たちはなにもしてねえよ。お前らが勝手に幸せになっただけだ」

 「だとしても、きっかけはお前たちだ」



 オットナーはリュージの手をしっかりと握った。



 「この馬車はそんな俺たちの感謝の気持ちをお前たちのたびに連れて行ってほしいという俺たちの我侭だ。だから気に病むことはない」

 「オットナー……」

 「あと言い忘れてたが、そいつの名前は『ジャーニー』だ。大事にしてやってくれ」

 「ああ、最後までこいつと一緒に行くよ」



 リュージは力強く頷いてその手を握り返した。

 たこだらけの、何かを作って生きている男の手だ。

 リュージたちのこの先を支えてくれる手だ。



 「感謝してるぞ。お前たちのおかげで大切なものを失わずにすんだ」

 「またいつでも来てください。次来るときには親方として歓迎するつもりです」

 「じゃあ皆またね!ほんとは式までいてほしいけど、またいつか必ず会いましょう!」

 「……ああ」



 次々に別れの言葉をよこしてくる面々に、リュージはそれ以上何も言わない。

 別れに多くはいらない。人生のほんの一瞬、小指の爪の先よりも小さな一瞬が交差しただけなのだから――。



 リュージは新たな仲間に乗り込んだ。

 ヴィートとラフィも逸れに続く。ヴィートは御者台から全員に一礼した。ラフィなど入った途端に窓から身を乗り出して手を振っている。

 それに苦笑しながら、リュージはこの先の旅に思いを馳せた。

 その思いも乗せて、『ジャーニー』はその車輪を回さ――。

 ――なかった。



 別れを惜しむあまり俯いていたイナセは、不思議に思って顔を上げた。

 するとラフィだけでなく、リュージまでもが窓から身を乗り出してイナセを見ていた。



 「……えと、なんか用かよ」

 「何言ってんだ。早く乗れって」

 「へ?」

 「二人部屋が二つって言ってたろ。ラフィに広い部屋使わせるつもりか?」

 「……それはそれで――」

 「お前は黙ってろ」



 窓越しに睨み合う二人を他所に、イナセは完全に混乱していた。

 いつそんな話になっただろうか。この二週間ほぼずっと一緒にいたがそんな話は一度も出なかったはずだ。



 「イ、イナセちゃん?早く乗りなよ」

 「最近見逃してやってたからって堂々とちゃんづけすんな!ってか聞いてねぇよそんなの!?」

 「だって言うまでもないでしょう?」

 「あるだろ姐さん!?だいぶ大事だろ!ていうか急に言われても荷物とかまとめてないし――」

 「あんたの荷物はこれだけでしょ?」



 ルームメイトの声に振り返ってみれば、フィリーネが唯一の荷物とも言える脇差を差し出していた。

 あの日以降使わずにタンスの中にしまっておいたはずのそれを見て、イナセが目を剥いて驚愕を露にする。



 「お、お前これいつの間に!」

 「いいから、準備は整ったんだからさっさと行きなさい?これ以上待たせると悪いでしょう」

 「待てって!そんなこと急に言われても、アタシ――」

 「ああもううっとうしい!」



 フィリーネは強引に脇差をイナセの手に握らせると、イナセの頬を両手で挟みこんだ。

 そのままぶにぶにとこねくり回しながら、イナセと視線を交わす。



 「あ、あにすんだよ!」

 「イナセ、ここにいてもアンタの夢は叶わない。あの人たちと行くべきよ」

 「あ、あれは酔っ払ったときの戯言だって……」

 「この期に及んでまだ言うか!だったらはっきり言ってやるわ!私はもう自分の幸せを掴んだの!これ以上アンタみたいなガキンチョに構ってやってる暇はないの!さっさとどこへなりとも行っちゃいなさい!」

 「な、なんだとぉ!」

 「だいたいここに残ってこれからどういう生活するつもりなの!また着の身着のまま、しかも今度は住むところだってないのよ!?それともまだ私に寄生して生きていくつもり?」

 「き、寄生って……テメエ言うに事欠いて人を蚤見たいに!」

 「今のままじゃ蚤とかダニと変わんないでしょうが!これ以上付きまとわれると私も迷惑なのよ!」

 「こ、この……上等だよ!そんなにいなくなってほしいならお望み通り消えてやらあ!」



 激しくにらみ合いから、先に目を逸らしたのはイナセだった。

 イナセはずんずんという効果音が似合う歩き方で馬車に乗り込むと、空いている方のベッドに飛び込んでふてくされた顔で天井を睨め付けた。

 一部始終を見届けたリュージは、フィリーネに最後の問いかけを放った。



 「……いいんだな?」

 「早く行っちゃってよリュージさん。そんなやつもう顔も見たくないわ」

 「こっちの台詞だってんだ!せいぜい本性がばれて離縁しないですむように気をつけろよ!」

 「なぁんですってぇ!!」

 「……ヴィート、出発だ」

 「え?で、でも――」

 「いいから行くぞ」



 言われるがままにヴィートは手綱を握り、馬を走らせる。

 二頭の馬は久しぶりに走れるのがうれしいのか、それとも新たな冒険に心躍らせているのか。意気揚々と走り始めた。

 徐々に遠ざかっていく都市を見ながら、ヴィートは御者台からこっそりリュージに話しかけた。



 「良かったんですか?あんな終わり方で」

 「それは本人たちが決めることだ」

 「だからって、あんな終わり方――」

 「そんなこといってるようじゃ当分お子様ね」

 「あれ!?ラフィさん、どこから……」

 「あれが悪いお別れに見えるようなら、見る目がないわよ」

 「どういう意味です?」

 「ラフィがこっちに来てるのが良い証拠ってことだ」



 不思議そうな顔をするヴィートに、リュージはそれ以上なにも言わなかった。



※    ※    ※    ※    ※    ※     ※  



 他の二人が帰っても、ブルーノとフィリーネは馬車の行ったほうを見続けていた。



 「良かったのかあんな終わり方で」

 「……なんの話かしら旦那様?」

 「お前だろ、あの子を連れて行くようにあいつらを説得してたのは」

 「……説得の必要なかったけどね。あの人たちもとから連れてく気満々だったし」



 フィリーネは風で流れる亜麻色の髪を撫でながら微笑んだ。

 儚さも嬉しさも、いろんなものを含んだ笑みだった。

 ブルーノは純粋にその笑みを美しさを覚える。この世のどんなものよりも美しいと確信させられる。



 「ねぇブルーノ、あの子にはね夢があるの」

 「……夢?」

 「うん、酔っ払いの戯言だって認めようとしないけど、あれが本音だったのなんて私が一番良く分かってる」



 かつて間違えて飲んだ一杯の酒で前後不覚に陥るほど酔っ払ったイナセの口から漏れたたった一つの本音。



 『一つだけなんだ、一つだけでいいんだ……どうしても欲しいものがあるんだ――』



 その先を聞いたときからフィリーネはずっと考えていた。

 この子の隣にいるべきなのは私ではないんだと。

 だからずっと探していた。イナセが共にいるべき人たちを――。



 「同情でもない。義務感でもない。ただあの子を心の底から信じてあげられる……きっと、あの人たちなのよね」



 流れる雫が地面に落ちる前に、ブルーノはフィリーネを抱きしめた。

 強く強く、細いからだが折れてしまうのではないかと心配になるくらいに。



 「俺にはわかっている。お前があの子と一緒にいたのは義務感でも同情でもない。大事な友達だったからだ」

 「……」

 「毎回毎回、会うたびに楽しそうにあの子のことを話すお前を見ているのが、俺は嬉しかった。あの顔が義務や同情で作れるもんか、自分を貶めるな、自分たちの時間を否定するな、あの子はお前にとって架け替えのない友達だったんだよ」

 「……そうね、きっとそう」



 フィリーネは愛しい男の胸に抱かれたまま、馬車の去っていった方角に目をやった。

 もう影も見えなくなった友人の、明るい未来を祈って――。



 「さよならイナセ、幸せになるのよ……」



※    ※    ※    ※    ※    ※     ※  



 どこかの空の下、土煙を上げて走る馬車の中に丸まった布団があった。

 中には一人の小さな少女がほんの少し枕を濡らしている。

 嗚咽だけは漏らさないように必死に唇をかみしめる少女は、やがて小さく口を開く。

 そしてとてもとても小さく、少女は呟いた。

 ありがとう、と呟いた。



 前回ブロックスからはや半年……本当に申し訳ない

 ここまで読んでくださった方、一目見て去っていった方も、等しくありがとうございます。

 ちらりとでも見てくれるあなたたちのおかげで何とか書く気力を保てました。

 これからは少しばかり蛇足的番外編(二千字くらい)を書いたり、ギャグ寄りの小話を一つ挟もうかなんておもったり……言うだけならタダですねぇ。

 

 

 あとここでもう一つだけ、当方感想の受付をユーザーのみにしていたのにまったく気づいておりませんで……直してみたのでよかったら感想お待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ