その出逢い、必然
月の明るい夜。
「この絵も綺麗ね。今度絵でも描いてみようかしら」
黒を主に白いレースと白いフリル、紅い薔薇の刺繍があしらわれたドレスを着ている少女。
白い翼、焔が宿っているかのような蒼い瞳に膝まで伸びた白銀の髪を持つその少女は屋敷の中で絵を見ていた。
いつもなら夜のこの時間帯は趣味の裁縫や紅茶楽しんでいたりしているのだが今日は何んだか急に絵が見たくなったのだ。
廊下の壁に飾られていた絵を眺める。
タン、タッタッタッ... タン、タタン
少女はリズミカルに足音を刻み、絵を眺め歩く。
一つ、黒いフリルと白いレースの赤いドレスを着た人形のような赤い宝石の瞳を持つ少女が描かれている絵に目があい、立ち止まる。
何か違和感があったのだ。
少女が立ち止まりじっと見ているとその絵が波をうって歪んだように見える。
少女は驚く。
何故なら突然絵に描かれていたに少女に物凄く似た少女が絵から飛び出てきたからだ。
「あわぁわぁぁ!?」
少女は慌てながらもその少女を抱いて支え床に座り込む。
恐る恐る少女の姿を見る。
その少女の肌は少し白く、膝まで長い漆黒の髪はいくつもの渦を作っている。腕は少しでも力を込めれば折れしまうのではないかと思う程に、見ていてこちらの方が胸が痛む程に細い。
また、赤い滑らかな生地に黒いフリルと白いレース、黒い薔薇のコサージュがあしらわれたドレスは少女の神々しさ美しさと禍々しさを醸し出していた。
まるでお人形さん、絵の中の少女だった。
「..... ふぁ~」
黒い少女は目を醒ます。
少女は周りを見渡して白い少女を見て一言。
「..... ここどこだ???」
黒い少女はなんとも男っぽい口調だった。
ご閲覧ありがとうございました。