無意識の空間
これでプロローグ終了です。
バタン... タッ... タッ.....
ドアが開く音がし、屋敷に足音が響く。
その人形にも見える少女はキョロキョロと廊下を見ていた。しっとりした重い風は少女を闇から光へ誘う。
「..... 広い」
その廊下は10メートルはありそうなほどに長く、蝋燭が光照らす。窓の外は暗く赤く血の色に染まった寂しい月だけが見える。
少女は廊下の奥に階段があるのを見つけると黒い髪をなびかせウェーブを作り、リボンをあしらったローファを履く小さな足で走る。
階段の前まで来るとスピードを緩め、ゆっくりと降りてい行く。
「長い」
5分ほど降り続けているが全く終わりが見えない。永久に続く気がするほどに長い。
それから暫く降りていると大きな部屋が見え、やっと階段が終る。
ここは玄関のようで天井にはきらびやかなシャンデリアに中世のヨーロッパの時代にありそうな額に飾られた綺麗なし白い少女の絵、少し笑ったような顔をしたガーディアンの石像、見守るよう佇んで咲く赤いデージの花が割れた花瓶に生けられ置かれていた。
..... 暖かい
そう少女には感じられた。まるで誰かに包み込まれ純粋な純粋すぎる気持ちに守られているような空間。心が安らいでいく感覚。
ぽちゃん..... ぽちゃん.....
玄関の扉の向こうから音が聞こえる。その音は最初から聞こえていたような気がした。
扉の前には白いイグリッシュラベンダーがシンプルな花瓶に飾られている。
..... 行こう《・・・》
そう決意し少女はゆっくりと歩みを進めていった。
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次回からは一章始まります