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平穏主義  作者: 平成辛未
7/15

接触

教室はいにくい…



俺は教室を出た。



行き先はどこにしようか。

トイレ。トイレは結構生徒のたまり場となる場所である。女子はよくトイレで隠れて化粧をし、男子はトイレで隠れて喫煙する。まあ、リスクを負いながらよくやるよな…。俺は絶対避ける道だ。

他生徒の目にとまるトイレは却下だ!…


ならば図書館。静かで落ち着きがあり、俺にとれば居心地がいい。しかし、本を読みに行くわけではない。時間つぶしに行くのだ。この学校の図書館では、本を読まなければ司書教諭につまみだされる。



……俺は一・二回つまみだされた……



もともと俺は本を好んで読まない。ということで図書館も却下…




行き着いたのは売店の外の自販機コーナーだった。

売店は昼休みになると賑わい、自販機コーナーも人が多くなるが、その後は中庭や教室等に流れていくようで人が一人もいなかった。


自販機コーナーは屋外にあるが、頭上には棟と棟とを結ぶ通路があるため日陰ができ、わりと過ごしやすい。

結構いいところを見つけたものだ。

俺は近くのベンチに腰掛けた。

風が吹くと涼しく心地好い。

俺は静かに目を閉じた。風の音と鳥の鳴き声がする。遠くで生徒らの声も…






ん?誰か来る…

足音が近づいてくる…







どうやら自販機コーナーに来たらしい。

嫌だな〜、誰か来やがった〜、寝たふりをするしかない。





音がしなくなった。


あれ?もういないのか?



俺は目を開けた。


「…何をしている?」

目の前にいたのは清永だった。

俺はビックリした。何だコイツ?人の前に立って、何で俺を見てんだ?

まあ、何も飲まずにこんなとこで一人でいればみんな何してんだろうとは思うか…

「いや、あの、……涼んでる」

俺はあたふたしながら何とか答えた。いきなりの問い掛けはきつい。


「…日野…だったな?」


「日高ですけど…」

清永の問い掛けに俺はすぐに返した。まあ、平穏主義の弊害かもしれない。目立たないことで名前が覚えられていないのだろう。名前に関してだけはせめて間違えないでほしいのだが。その願いは平穏主義上、贅沢なのかもしれないが。


それにしても清永は何をしに来たんだ?自販機コーナーに来たのに、何も買わずに俺の前に立っている。


「買わないのか?」

相変わらず抑揚のない言葉だ。



「うむ」



う、うむ!?俺は"うむ"と言うやつを漫画以外で見たことはない!

しかし清永もあまり抑揚のある喋り方をしない。

というか、"うむ"ってことは買わないわけか?じゃあ、何しに来たというのか?



「涼みに来たか?」




「日高……、言わせてもらう……」


い、言わせてもらう?文句か?俺、何か気に障るようなことをしたのだろうか?そうだとしたら、平穏がまたも破られてしまう。

俺はすっかり硬直してしまった。



「みつるのことなのだが…」


みつる?朝賀みつるのことか?知り合いなのか?

てか、何で俺に朝賀のことを話すのだろうか?

俺は聞いてみた。


「この前の訓練…」



訓練!なぜ清永がそのことを知っている?

あの時、校舎裏には俺と朝賀以外いなかった。誰も知るはずがないのだが。

コ、コイツ、こっそりどこかで見てたのか(汗)?



「みつるに聞いた。」



「朝賀に?」

俺は詳しく聞いてみることにした。

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