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真冬の蝶は夢を見る  作者: 桜涙
1/1

訪れた転機

ふと思い立って書いて見ることにしました。

私の気持ちも主人公の気持ちに代弁されている部分があります。

現実にはありえないけど、あったらいいな、そんなお話です。

あの人に降り注ぐ色とりどりのスポットライト。鳴り響く音とたくさんの人で埋め尽くされた、むせかえるような熱気の中であの人は今日も謳う。



私はその歌に救われ、拾われた。



あの人と出会うまで、私は生きるということの本当の意味を知らなかった。






如月羽衣19歳、ずっと憧れていた看護の大学に入ったが、入って2年目標を失って迷っていた。女手一つで私を大学に入れてくれた母を思うと、今更辞めたいだなんて口が裂けても言えない。

ずっと看護師になりたかった。母のような素敵な看護師を夢見ていた。

でも最近は自分が何をしたいのかよくわからなくなっていた。

毎日同じ時間に学校に行って、帰る。その繰り返し。日付感覚なんてなくなるような日々。私はどこへ向かうんだろう…。言われようのない不安に襲われた。

もともと女子の多い学部。ましてや容姿も普通の私に浮いた話があるはずもなく、ますます生活に張りがない。

こんな日々から抜け出す方法を探していた。


そんな時だ。私があの人と出会ったのは。




「羽衣!うーい!ねぇ、ういってば!話聞いてる?」

昼休みにテンションMAXで話しかけてくる目の前の女子は、私と中学校からずっと一緒の唯一無二の親友、杏里だ。

「ん、あぁ、ごめん、ぼーっとしてたわ。なんだっけ?」

「もう。だから、今度の休みにライブ行かない?」

「いいけど…。誰の?」

「羽衣も聞いたことあるでしょ?UNDER GROUNDっていうバンド」

「あぁ、あのちょっと変わったボーカルの人がいるバンドだよね。最近よくテレビ出てるよねー。…って、え⁉︎あのチケット取れたの?」

「実はさ、そのボーカルの人、私のお兄ちゃんの友達なの!だからチケット貰えちゃって!しかも、行ったらライブのあと本人に会えるって!」

「うそっ!すごいよ、それ。行きたい!私、大ファンってわけじゃないけどずーっと気になっててさ、ほとんどあの人たちの曲知ってるし。いいの?私が行って。」

「いいよぅ!テレビ出てもさ、やっぱ変わってるからファンもそんなに私の周りにいなくてさ。よかった〜、羽衣が好きで。」

「ありがと、誘ってくれて!持つべきものは親友だねっ!」

「えへへ〜。喜んでくれて何より!あ、ちなみに来週の土曜日の午後6時開始ね。場所は○○アリーナで。」

「ふんふん。…え、○○アリーナ⁉︎でかっ‼︎そんなとこでやるんだ…」

「当たり前だよ。いまツアー中だしね。こんな近くであるなんてラッキーだよねー」

「ひゃー…規模がでかいね。そんなところで、終わってから本人に会っても大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、たぶん。ただお兄ちゃんいわく、ボーカルの人は変わり者らしい。」

「まぁそれは…見たらわかるよ。」

「そうだよねー。」

「あ、そろそろ午後の授業始まるわ。また細かいことはメールして!今回は誘ってくれて本当に、ありがと!楽しみにしてる。」

「りょーかい!」



…………授業後……………


ほんとにライブ行けるのか…。てか、杏里のお兄ちゃんすごすぎるでしょ。本人にも会えるなんて…。

張りのない毎日に楽しみが出来た気がした。



その夜、杏里からメールが来た。

「ライブのことだけど、土曜の午後3時に○○駅で待ち合わせて○○アリーナまで一緒にいこー^ ^」

「りょーかい!服はなんでもいいよね?靴はスニーカーがいいかな?」

「スニーカーがいいね!服はなんでもいいよん!」


…っと。よし。これでいいかな。

うわぁぁ…楽しみっ!

本物に会える!歌が聴けちゃう!

歌の予習していこ…。




時は流れてライブ当日




「杏里ごめんっ!待ったよね?」

「もー、うい遅いよ!電車出ちゃう。切符買っといたから早く行こ!」

「ごめん、ありがと!」


家を出る直前に服に悩み、待ち合わせに15分遅れてしまった。柄でもないのに。とりあえず電車に間に合ってよかった…。

ここから会場まで1時間ちょっと。あと少しで会えるんだ…!


杏里とはずっと一緒だからもう気なんて使わなくてすむ。喋りたい時に喋って、寝たい時に寝る。そんな感じで車内を過ごした。こんな心地よく過ごせる友達がいるなんて、結構貴重なことなんじゃないかとふと感慨深くなる。そんな自分を、改めて年を取ってきてると感じてしまう。まだ19だけど。

こうやって歳をとってくのかな…



アリーナに着くとそこは人で溢れかえっていた。

「うわぁ。すごい人…‼︎」

「ねー、流石に有名なだけあるわ」

「あ、グッズもあるのか〜」

「安心して!その辺はお兄ちゃんに頼んであるから!」

「どこまでも用意がいいね…。お兄ちゃんの存在すごいわ。てかさ、杏里はボーカルのYUKIさんとあったことあるの?」

「2.3回は会ったことあるかな…。でもライブはこれが初めて!だからすっごい楽しみなんだよね〜」

「ひぇ〜、友達が有名人と知り合いとか変な感じ」

「知り合いって言っても話はしたことないよ」

「え、そうなの?」

「うん。普段喋らないみたい。お兄ちゃんなら時々話すんだけど」


そうなんだ…やっぱ変わってるのかな…


ライブ開始まで1時間。

ぞろぞろと人がアリーナに飲み込まれてく。

私たちも並び、自分たちの席についた。どうやら全席指定らしい。コネのせいでかなり前の席だった。

高鳴る胸の鼓動。


照明が全て落ちた。一瞬ざわつく会場。



青いスポットライトに照らされたステージの上には彼らがいた。


ステージのサイドから炎が上がり、伴奏が流れ出す。デビュー曲のようだ。



…え…。な…に…これ。




一瞬にして彼らの世界に呑まれた。

めまぐるしく変わる照明と演出。独特の音楽は見事にそれらと調和していた。

目を離すことができない。

身体中の血がざわめくのを感じた。


際立っていたのはボーカルであるYUKIの存在である。

赤に近い髪をしたYUKIはポケットに片手を突っ込み、うつむき加減で歌っている。


なのに。


圧倒的な声量と歌唱力。

男性とは思えない音域の広さ。

自分で作詞を手がけている曲だけあって、イメージと歌詞もぴったりだ。



ー僕等は死んでくために生まれた

終わりにしか向かうことのない先の道をどう進める?ー


ー何のために生きてくの、それは君自身がしってるでしょ、正解もなければ不正解もないだから世界は面白いー



聴けば聴くほどメッセージ性の強い歌だ。



この人はどんな気持ちで歌を作るんだろう…



気づけば私は隣に杏里が居ることも忘れて聴き入っていた。


ーひとりぼっちのこの部屋で、僕は自分を確かめる術を探してる、誰か教えてよ、この道に生きる意味をー



なぜだろう、涙が頬を伝っていた。まるで今の私を象徴するかのような歌詞だった。



トークなどを間に挟むことなく彼らは2時間歌い続けた。



私は少しの間夢を見た。




いかがでしたか?

文章が未熟すぎて泣けてきますが…


まずは羽衣とYUKIの出会いに触れました。

これから先、ゆっくりと2人を追いたいと思います。


続編も読んでくださると幸いです。

それではまたどこかでお目にかかることを期待して…後書きとさせていただきます。

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