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プロローグ
空の青が好きだった。
いつもと変わらずそこにある、あの色は綺麗だと思った。
好きだと思ったこの気持ちはずっと変わらないだろう。
地面の冷たさを忘れられる。
右手を空に上げかけて、左手に変えた。
(もう終わったんだ)
空に左手を伸ばした。
何かを求めた訳でもないが、下ろす気にはなれなかった。
出来るだけ目にあの色を焼き付けるみたいに見つめた。
「眩しい・・・」
今見てる空はきっと向こうにも通じているだろう。
逃げ延びたことを願っている仲間や弟たち、母さんも見ているだろうか。
これ以上、自分以外の周りの人にはこっちを知らずに生きていってほしい。
大事な人たちへ届くように、空に微笑んだ。