第48話 カトロジー
数日後、カセイ導師が戻り、再び指導の日々が始まった。
もっとも導師は、各地の神父たちへ魔法の新しい解釈を伝達するために頻繁に出張している。
回復魔法の理論はまだ整備の途中段階だが、初級についてはかなり効果的に発動できるようになってきたため、近隣の神父たちへ広めて回っているのだ。
そんな中、俺は再びカトロジー様に庭園で声を掛けられた。
「こんにちは、ヒロシ様」
「あ、ども。ずいぶんお忙しかったみたいですね。最近、お姿を見かけませんでしたので」
「はい、各地での一般謁見や教皇ら上層部との会談などもあり、不在にしておりました」
「一般謁見ですか。この国の人々から漏れ伝わる情報を聞く限り、結構大変そうですね」
「そうですね……。熱狂的な方々が大勢おりますので。良い場所でわたしの姿を見たいがために、各地の聖堂の前には一週間以上前から徹夜で並ぶ行列が出来ていたそうです」
「うわぁ……」
マジでスーパーアイドルだな。
庭園で軽くそんな雑談を交わした後、俺はカトロジー様について歩く。
そして例の執務室に入り、テーブルを挟んで向かい合い、話を再開する。
「それで、例の件について何か分かりましたか?」
「はい、聖人たちとの接触は叶いませんでしたが、宴の席で酒に酔った教皇より断片的ですが、情報はいくつか聞き出せました」
「教皇も酒呑むんですね……。それで、どのような?」
「いわく、『世界を浄化する日は近い』だとか『聖女の力があれば我々は救われる』だとか」
「世界を浄化……? やはり天使たちを降臨させるつもりということでしょうか?」
「はっきりとは言っておりませんでしたが、今のところ他に可能性は思いつかないですね……」
「聖女の力があれば救われる、とはどういうことでしょうか?」
「そ、それは……その」
カトロジー様は言いづらそうに口ごもる。
「あ、以前仰っていたカトロジー様の別の大きな力……?」
「……そうです」
「それは一体……?」
「……大結界です。それをもって、この国を守ると」
「え? そんな凄いんですか?」
「条件はございますが、例え天界の使者であっても、破ることは出来ないと伝えられております」
「なるほど……。話がだいぶ見えてきたな。『七つの大罪』を集めて、天使たちを降臨させ、世界を浄化する。で、聖女様の『大結界』の力で自分たちは安全にやり過ごす、というわけか。……めっちゃ胸糞悪いですね」
「はい、そのようなこと、させるつもりはございません……!」
カトロジー様は唇をギュッと噛みしめる。
「あれ? そういえば今、条件とか言ってましたよね? 発動に条件があるんですか?」
「そ、それが……その……」
俺が真面目な顔で問いかけると、カトロジー様の頬が赤く染まる。
「なんでしょうか? 奴らの陰謀において、かなり重要な要素かと思います。教えて下さい」
「は、はい……その……あの……」
言い淀むカトロジー様は、一度深呼吸をして窓の外に目線を向けたまま、ポツリと呟いた。
「わ、わたしが純潔であることが発動条件です。純潔を失うと同時に、この力は失われます……」
「なるほど……。であれば、カトロジー様が純潔を失えば、全て解決するということですね?」
「……え? な、なぜそうなるのでしょうか!?」
カトロジー様は、俺の言葉が理解できないといった様子でポカンと口を開けた。
「大結界が発動できないのであれば、奴らも天使を降臨させるような危険な真似はしないはずです」
「そ、それはそうかもしれませんが、わたしには聖女としての立場があります」
「世界を破滅の危機に陥れても良いのですか? さっき、『そのようなことをさせるつもりはない』と仰っていたじゃないですか」
「た、確かに言いましたが、それは『七つの大罪』を集めさせないようにするということであって……」
「でも、結局集まってしまったら、自分たちだけ助かるってことですよね?」
「そ、それは……」
突然降ってわいた、聖女様とヤれる可能性を瞬時に嗅ぎ取った俺は、頭をフル回転させて言い包めようとする。
いや、頭ではなくチ〇コが考えている。
「俺に捧げてみませんか?」
「……はい?」
「俺に純潔を捧げて下さい。魔王の全力をもって守ります。聖人からも、天使からも」
「で、できません!」
「……そういえば、カトロジー様にはまだポイントシステムをお話してませんでしたね」
「ぽいんとしすてむ?」
俺はスマホを取り出し、レンズを向けた。
「カトロジー、20歳。種族:人間。獲得可能ポイント 100,000~1,000,000――ひゃ、百万きたこれ……。リトリス様と同じかよ!」
一人で鼻息荒く興奮していると、カトロジー様は不審そうに俺を見つめる。
「えっと……それは一体、なんでしょうか?」
俺はポイントシステムの仕組みを説明した。
最初は半信半疑だった聖女様も、スキル一覧画面や、これまで俺が獲得してきたスキルを実際に見せると、なんとか理解してくれたようだ。
「ちょっと、頭がクラクラしてきますが……話は分かりました。それで、リトリス様というのは?」
「ハイエルフの姫君です。六人の巫女の一人で、魔弓エクリプスの所有者。彼女もまた、俺の加護を受けています」
「ハ、ハイエルフの姫……?」
「はい。他にもスアヌ王国の王女も巫女の一人で、同じように俺の加護を受けています」
「そ、そんな高貴な方たちが……?」
「二人とも、受け継いだ武器を守り抜くため、ひいては世界の為に俺に純潔を捧げ、加護を付与されてます。……魔王と六人の巫女は、元々そういう関係だったのだと俺は推測してます。だから、こういう関係になるのは必然だったのだと」
適当にそれっぽく言ってみると、カトロジー様は呆然とした表情で俺を見つめていた。
「失礼ですが、カトロジー様には覚悟が足りないのではないでしょうか? 結局のところ、大結界の力があれば、世界が滅んでもこの国は守られるのですから」
「わ、わたしはそんなつもりは……!」
「でも、実際そうじゃないですか。あの二人の巫女とは、世界に対する危機感がまるで違うように思います」
カトロジー様に迷いの表情が現れ始めたのを、俺は見逃さない。
「捧げて下さい、俺に。いや、巫女として魔王に。俺の加護と寵愛さえあれば、聖人など恐れるに足らなくなります。信じて下さい。あなたの予知夢では、俺はあなたたちを救うのでしょう? ……今晩、待ってます」
◆◆◆
そして夜になる。
俺はドキドキしながら、月明かりの照らすベッドに寝転がり待っていた。
果たして本当に来てくれるだろうか。
静かに時間は流れていく。
――さすがに無理だったか。
色々と妄想を働かせていたので、チ〇コは準備万端。
このまま寝るのもあれなので、他の誰かの所に瞬間移動したいところだが、さすがにもうだいぶ遅い。
そう思って、仕方なく寝ようとした瞬間。
トントンと控えめなノック音が室内に響く。
そっとドアを開けると、カトロジー様がうつむきながら部屋に入ってきた。
「覚悟は出来た、という理解で宜しいでしょうか?」
「……はい」
俺は硬直したままのカトロジー様に近づき、気が変わる隙を与えないよう、手早く服を脱がせる。
世界中の人々の心の拠り所、スーパーアイドルの生まれたままの姿が、俺の目の前で露わになる。
月明かりに照らされた、その気品と美貌に溢れたその姿は、あまりにも神々しく完璧な芸術品のようだった。
全て脱がせても固まったままなので、俺はお姫様抱っこで抱え上げ、そのままベッドに横たえた。
「世界を共に守りましょう。肉体的な繋がりを持つことで、精神的な結びつきは強固になります」
そう言って、口づけをする。
柔らかい唇と舌にむしゃぶりつくようなディープキスしつこいまでに続けていると、少しずつ緊張が解けていくのが分かった。
そして、恥ずかしがる聖女様の姿に萌えながら、その身体の吸いつくような白い肌と秘所の隅々を、目と手と舌で心ゆくまで堪能させてもらってから、俺たちは一つになる。
銀色の大きな月が、俺たちの合体する姿を見守っていた。
この夜の出来事の詳細は、ノクターンに連載中の
「 元・魔王の中年童貞のエロ日記 」
ep15 聖女カトロジー様との性交
にて公開してます。
宜しければ、そちらも読んで頂けると嬉しいです!




