第4話 ティアナ③
窓から差し込む陽の光は、少しずつ夕方の色に染まりつつあった。
ティアナからビンタされた頬がヒリヒリする。
あれから彼女は、俺に背を向け、壁際で体育座りしたまま微動だにしない。
「なぁ、悪かったって……。俺もこっち来たばっかで、システム理解してなかったから。そろそろ機嫌直してくれよ」
「…………」
まぁ仕方ない。
大事なファーストキスを、こんな冴えない中年男に捧げたのに、何の成果も得られなかったんだからな。
だからこそ、こいつの母親の病気だけは何としても治してやりたい。
「もう、発射できるレベルまで回復したぞ……。おーい……」
反応が無い。
ダメだ。
何て声を掛ければいいんだ。
「……お母さんは、あとどれ位で重篤な状態になるの?」
ようやく、口を開いてくれた。
全然、こっちは向いてくれんけど。
「向こうでは一週間くらい持つ奴もいれば、数日の奴もいた。何とも言えない」
「だったら――あんたの回復を、何回も悠長に待ってる時間なんて無いじゃない!!」
「……かもな」
「…………」
遠くで鳥の鳴き声が響く。
「……避妊具をつけてすれば、何ポイントもらえるの?」
「分からん。900ポイントかもしれないし、500ポイントかも。やってみないことには」
「……少し時間をちょうだい」
姿勢を変えずにそう言うと、ティアナは再び黙り込んだ。
――さらに数時間が経過した。
外はすっかり日が落ち、部屋の中も真っ暗だ。
ティアナは何度か母親の様子を確認しに部屋を出て行ったが、今はまた部屋の片隅で俺に背を向け、膝を抱えて座っている。
「なぁ、電気あるんだろ? 点けないの?」
「黙ってて」
ピシャリと言い放たれた。
再び、重苦しい静寂が部屋を包む。
てか、腹減ってきたな。
そういや、こっちに来てから何も食ってないじゃん。
でも、何か食わせろとはさすがに言いづらいな……。
すると、ティアナは一度大きくため息をつき、ゆっくりと立ち上がった。
その足取りは迷いが消えたかのように、しっかりとしている。
「ようやく決意が固まったわ。あんたもついてきて」
そう言うと、俺を振り返り、手招きする。
俺はティアナの後を追った。
連れて行かれた先は、どうやらティアナの部屋らしい。
「すればいいんでしょ、すれば」
そう言いながら、ティアナはスカートを脱ぎ、下着も脱ぎ捨てた。
上着は着たままだ。
「必要以上にあんたに肌を晒すつもりは無いから」
そして、そのままベッドに寝転がる。
「余計なことは一切させないから。私の体には一切触れないで。――さっさと済ませてちょうだい」
うわぁ……。
分かってたけど、ただの業務だな、これ……。
これじゃ俺のチ〇コ反応しないって……。
確かヨーロッパの風俗もこんな感じなんだよな?
ベッドの脇でもじもじしていると、ティアナからの容赦ない声が届く。
「早くしてって言ってるでしょ?」
「そ、そうは言ってもな……。勃たせるにはそれなりの準備とか、手伝ってもらわないと」
「手伝ったところでポイントにはならないんでしょ? 自分で何とかして」
マジかよ……。
「なぁ、電気点けていい?」
「ダメ」
「ぐっ」
仕方なく、俺は暗闇の中で必死に目を凝らし、鼻息荒くティアナのティ穴を間近で凝視する。
最初はぼんやりとしか分からなかったが、少しずつ目が暗闇に慣れてくると、その形とかも認識できるようになった。前世のエロ動画で見たのと同じ感じだ。
そして、今まで嗅いだことのない匂いがむわっと鼻孔を刺激してくる。これがメスの匂いってやつか……?
準備は整った。
「あれ? そう言えばゴムは?」
「そんなもの、うちにあるわけないでしょ」
「そ、そうか……じゃ、挿れるぞ」
「ちょ、ちょっと! 触らないでって言ったでしょ!?」
「そ、そうは言っても俺も初めてだし、触ってないと場所が分からんし」
……難しかった。
えぇ……こんなに難しいの?
悪戦苦闘しながらも、何とか探り当てた俺は――結局、一分も持たずに暴発してしまった。
それを確認すると、ティアナは何も言わずに俺を突き飛ばし、一目散に部屋を飛び出していく。
余韻も何もない。
しばらくして、隣の方角から水の流れる音が響いてきた。
シャワーだ。
めっちゃ念入りに洗ってそう……。
俺はスマホを手に取る。
確認すると――1,000ポイント、無事にゲットしていた。
「よし……」
また「早くしなさいよ」と言われる前に、迷わずSアイコンをタップし、『状態異常回復魔法』を選択する。
その瞬間、暗闇の中で俺の体がぼんやりと光に包まれ、すぐに霧散した。
胸の奥に、何か温かなものが刻み込まれるような感覚が残る。
「……これでスキルを取り戻したってことか?」
再び画面を確認する。
すると、さっきまで《状態異常回復魔法 Lv.1》 1,000Pと表示されていた項目が――
《状態異常回復魔法 Lv.2》 1,500Pに変わっていた。
◆◆◆
ティアナと共に母親の寝室に入る。
暗闇の中、荒い呼吸だけが重苦しく耳に届く。
俺は母親の額に手をかざした。
ふっと、一瞬だけ光が走る。
すると――それまで苦しげに上下していた胸の動きが、みるみる落ち着いていった。
さっきまでかすれていた息も、規則正しい寝息へと変わる。
「え……? 今、魔法使ったの?」
ティアナが息を呑む。
「ああ。無事に解毒できた。この魔法だと体力の回復までは出来ないから、しばらく安静にさせとけ」
「ホ、ホントに……!? 母さんが……!」
ティアナはベッドの傍らに駆け寄り、母親の手を握りしめる。
「てか……あなた、無詠唱で魔法を使えるの??」
「ああ、魔法発動に関しては昔から、何故か無詠唱でいけた。体質なのかもしれん」
ティアナは驚きと安堵の入り混じった顔で、しばらく俺を見つめていた。
そして――
「さ、さっきは大分、失礼な態度取っちゃってゴメン」
「ほんとだよ。俺も一応、初めてだったんだぜ? もうちょっといい感じの思い出にしたかったよ」
そう言うと、ティアナは気まずそうに押し黙る。
「ま、女の子の初めてとおっさんの初めてじゃ、その価値は全然違うけどな」
「そ、そうよ! そもそも同じ尺度で比べられるものじゃないわ!!」
すぐにいつもの強気な感じに戻った。
「あ、ひとつだけ今後の為に確認させてもらっていいか?」
「なに?」
俺はスマホをティアナに向ける。
「ティアナ、19歳。種族:人間。獲得可能ポイント 90~900か。一回ヤルたびに10%減少していくわけね」
「……価値が下がるってこと? めっちゃ失礼なんだけど」
「ま、高ポイントの女とだけ繰り返しやってたらすぐにポイントが貯まっちゃうから、その対策って感じか」
「あんた、絶対結婚できなさそう」
「ふっ……するつもりないし、出来ないだろ。それに俺はこっち来るときに神に願ったんだよ、世界中の女とヤりたいって」
「……サイテー」
この夜の出来事の詳細は、ノクターンに連載中の
「 元・魔王の中年童貞のエロ日記 」
ep1. 村の美少女ティアナとの初めての性交
にて公開してます。
宜しければ、そちらも読んで頂けると嬉しいです!




