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元・魔王の中年童貞~エロでポイント稼ぎ、スキルと交換して無双する  作者: 堅物スライム


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第29話 お伽噺

「確かに禍々しい何かを感じるけど……天使を斬った刀?」

「そう。『朧月』っていう名前らしい。長命のエルフなら何か知ってるかと思って」

「……聞いたこと無いわ。わたしはエルフの中ではまだ若い方だけど。長老なら何か知ってるかもね」

「長老って何歳位なの?」

「千歳を余裕で超えてるのは間違いないけど、詳しくは知らないわ」

「そっか。じゃあ長老に会う段取り、お願いしていい?」

「いいわよ――ただ、その前に」


 イラーマはそう言って俺の手を引き、寝室へ連れていった。

 そして、そのままベッドに押し倒される。


「まだ、昼前だぞ?」

「嫌なの?」

「そんなわけないだろ」


 俺は宵ちゃんに教えてもらったツボを自分で押し、精力を活性化させる。

 久々だから一回じゃ済まなさそうだしな。


 ◆◆◆


 翌朝、イラーマが手配してくれた時間より少し早めに長老の屋敷へ到着する。

 コンコンとノックすると、扉が音もなくスッと開いた。


 もう応接室の場所は分かっているので、そのまま先に入り待機する。

 少しして現れたのは長老とリトリス様。


「ほれ、やはりすぐに再会することになったじゃろ?」


 相変わらずの古めかしい喋り方で、リトリス様がふふん、と鼻を鳴らす。


「はい、さすがでございます」


 リトリス様は盆で運んできたお茶と茶菓子を手際よく配膳した。


「して、ヒロシ殿。余に確認したいこととは何だ? イラーマからはざっくりとしか聞いておらん」


 長老が木製のカップに口をつけながら問いかけてくる。


「ええ、実は――」


 俺は妖刀『朧月』を入手するまでの経緯と、その伝承、そして刀本体から漂う不穏な気配について説明した。

 長老は顎に手をやり、黙って耳を傾けている。


「で、気になったのは俺がここで退治した『業火竜』。あれはこの世界では見かけない個体とのことでしたよね? そして今回の『死霊術ネクロマンシー』も、こちらでは馴染みのない術だと聞いています。……これは本当に偶然ですかね?」

「ふむ。確かに。この短期間で不可思議な事象がこうも重なるとなれば、偶然とは考えづらい」

「ええ。で、俺が思ったのは――朧ノ国には『朧月』がありました。ならば、このエロドの森にも同じように伝説の武器みたいなのがあって、それを狙って何者かが仕掛けてきたのではないか、と」


 長老は少し考え込む素振りを見せてから、静かに口を開いた。


「あの竜が現れた場所を覚えておるな?」

「はい。確かドワーフたちが住んでいた街の廃墟とか」

「そうだ。――もう二千年以上も昔のことになる」


 長老は遠くを見つめるようにして続ける。


「かつて我らは、種の垣根を越えて手を取り合い……天界人と戦ったのだ」

「え?」


 俺だけでなく、リトリス様も目を見開いて驚きの表情を浮かべる。


「遠い昔の話よ。余は当時まだ子供で、何が原因で戦が始まったのかは知らぬ。ただ――天使、と呼ばれるべき存在なのであろう、あれは。我らの魔術も、武も、まるで通じなんだ。ただ一方的に蹂躙されるばかりだった……。だが、ごく一部の武器――その『朧月』を含むいくつかは、天使どもに通じたのだ」


 そこまで言って一度お茶をすすり、間を置いてから続けた。


「我らハイエルフに伝わる『エクリプス』という魔弓も、その一つ。当時のドワーフで一番の腕利きが作り上げ、それに……」


 長老は言葉を切り、目を閉じた。


「当時のエルフの女王が、自らの寿命すべてを引き換えにするほどの魔力を注ぎ込んだ。その代償の上に、『エクリプス』は完成したのだ」

「は、初耳なのじゃ……。そのような魔弓があるなど」


 リトリス様はカップを手にしたまま、信じられないと言った口調で割り込む。


「その弓で天使たちを撃ち抜いた結果、我らは神の怒りを買った。そして――いくつもの光が天から降り注ぎ、あのドワーフの街は一瞬で廃墟と化した。エルフも、ドワーフも、人間も、獣人も……この地におった者のほとんどが死んだ。余は辛うじて生き延び、何とかここまで里を復活させてきたのだ」

「マジすか……。当時を知らない人たちにとっては、お伽噺みたいでしょうね」


 思わずポツリと呟きが漏れた。


 てか、神って、俺をこっちに送ってくれたあいつのことなのか?

 とてもそんなことをする感じには思えなかったけど。


「で、その弓は今、どこにあるのじゃ?」

「北のハイエルフの里だ。余の妹に預けてある。あそこの結界は強力だからな」

「……てことは、次はそこが狙われないですかね?」

「うむ。そなたの話を聞いて、危ういと感じた」


 長老の言葉に、リトリス様が身を乗り出す。


「のんびりしている場合では無いのじゃ――ヒロシ、手伝ってくれぬか?」

「え?」


 唐突に振られて、俺は思わず聞き返す。


「そなたはイラーマと遠くに離れておっても意思の疎通ができるのじゃろ?」

「ええ、まぁ……」

わらわと共に北へ向かうのじゃ。そなたを通じて、父上とやり取りをすることがあるやもしれぬ」


 ん? 

 何か確認したいことがあったら、俺を経由してイラーマに伝えるってこと?


「別にいいすけど……。てか、イラーマも連れていったらダメですか? 瞬間移動使えば、すぐにこっちに戻せるし」


 リトリス様との二人旅は色々面倒そうだから、できれば避けたい……。


「それは叶わぬ。エルフの里ではなく、ハイエルフの里だ。例えエルフであっても足を踏み入れることは許されぬ」


 あっさり長老に却下された。


「じゃ、俺は尚更では……」

「そなたは、この里を救った英雄。しかも魔王である。天界人とは対を為す存在。余が許可を出すに値する」


 ……なんか無理やりな感じがするけど?


「そ、そうすか」

「決まりじゃな。では、早速、旅の支度を始めるのじゃ」


 えっと聞きそびれたけど、報酬とかはちゃんとあるんだよね?

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