第19話 ミレナ
結局そのままアルナ伯爵家に留まり、晩飯までご馳走になることになった。
とはいえ、伯爵家の面々と同席したわけではなく、通されたのはメイドたちの控室。
長テーブルを囲んで並ぶ、華やかな猫耳娘たちの中に、おっさんが一人混じっているシュールな光景。
場違い感でめっちゃドキドキしたことは言うまでもない。
料理は豪華な宴の類ではなく、普段彼女たちが口にしている日常の食事らしい。
それでも、並べられた皿のひとつひとつに使われている食材の質は、ギルドの酒場で出されるものとはレベルが違う。
馬鹿舌の俺でもすぐに分かるほどだった。
食事を終えると、俺は小さな応接室に通され、暫く待機するようミレナに言われた。
本棚には、この街の歴史や系譜が記された本がずらりと並んでおり、手に取ってパラパラとめくりながら暇を潰す。
やがて、一時間以上が経った頃だろうか。
扉が静かに開き、ミレナがこそこそと周囲を伺いながら入ってきた。
「今です! 早く来てください!」
その勢いに押されるように立ち上がると、手を引かれ、廊下を小走りで進む。
曲がり角をいくつか抜け、案内された先は客用の小部屋だった。
厚いカーテンで外光が遮断され、部屋の隅には小さな寝台が一つ置かれていた。
必要最低限の調度しかなく、ただ横になるためだけに用意された空間に見える。
「ふぅ……誰にも見られずに済みましたね」
ミレナは安堵の吐息と共にそう言い、そっとベッドの端に腰を下ろす。
「貴方とこんな真似をしていたなんて知られたら……恥ずかしくて、この屋敷ではもう働けません」
「おい……それはさすがに傷つくんだけど」
「さ、のんびりしている暇はありません。早く服を脱いでください」
落ち着く間もなく、俺はミレナに手際よく手伝われ、あっという間に全裸にされてしまった。
彼女は看護婦のように無表情のまま、俺の身体を一つひとつ確かめていく。
そして――何のためらいもなく、チ〇コも念入りにチェックされた。
「ふむふむ。隠し持った武器などは無さそうですね」
「当たり前だろ」
「それにしても、魔界の王ともあろうお方なら、もっと鍛えたらどうです? 何ですか、そのだらしない体は」
挑発するように言いながら、ミレナも静かにメイド服を脱いでいく。
猫耳と尻尾を除けば、姿形は人間の娘そのもの。
だが、引き締まった肢体の曲線には野性的な艶やかさが宿り、思わず見入ってしまう。
「……あまり、じろじろ見ないで下さい。恥ずかしいです」
「さっき、俺の体をあれだけいじくり回しといてよく言うわ」
ミレナは視線を逸らすと、そのままベッドに身を横たえた。
「では、始めましょう。猫人以外と交わるのは初めてですので……作法の違いなどあれば、指摘させて頂きます。お嬢様のお相手をなさる時には、私たちの流儀でお願いします」
「お、おう……」
一気に心拍数が跳ね上がる。
こいつの、この落ち着き払った慣れた感じ――明らかに俺より経験値が高い。
大丈夫か……?
忘れようと記憶から消したはずのオフィーリアと初めてやった後の、あいつのあの冷え切った蔑みの視線が脳裏をよぎった。
――身体を重ねると、ふわりと甘い香りに包まれた。
とりあえず、キスをしてみたが、「まずは猫耳を優しく撫でてください」とダメ出しされた。
その後も舐め方から愛撫の仕方まで逐一指導され、気づけば完全に奉仕させていただく奴隷状態だった。
どうやら猫人の社会では、夜の営みは女性優位らしい。
そして、ご満足いただけたのか、ようやく許可をもらうと……数分で発射。
「……え? 人間はこんなに早いのですか?」
「いや、人間じゃなくて魔王だけど……」
人類の名誉のために、そこだけは訂正しておく。
「全く物足りないですが……初めてのお嬢様には、かえって負担が少なくて都合がいいかもしれませんね」
あからさまに物足りないって言われたのは初めてだな……。
ティアナはともかく、オフィーリアたちにも心の中でそう思われてるんだろうか。
改めてへこむ。
「まぁいいでしょう。変な性癖はお持ちでないようですし。ただ――万が一に備えて、お嬢様との場には私も同席させていただきます」
「は? お前に見られながらやるの?」
「ええ。……何か不都合でも? まさか、何か企んで――」
「アホか!! 見られながらなんて、気が散って勃たなくなるだろ!?」
必死に説得してみたが、ミレナは頑として首を縦に振らなかった。
「……はぁ、分かったよ」
これ以上話しても時間の無駄だな。
俺はスマホを取り出す。
「今、お前からもらった二万ポイントで、何か欲しいスキルあるか?」
「いえ、ございません。お嬢様の為にお使いください」
すげぇ忠誠心だな。
ここまで慕われてるとは。
「でも二万じゃ、《魔具創造》 のレベルアップには足りんしな……」
スクロールしていくと、あるスキルが目に留まる。
「あ、これいいかも。お前にもお嬢様にも役立つと思う」
「何ですか?」
「この《魔王の加護 Lv.1》 10,000Pってやつ。俺の精液を体内で受け止めた相手に加護が付与される」
「……どんな加護です?」
「まぁレベル1だとまだ微々たる効果だけど、呪いとか毒みたいな状態異常とか、魔法や物理攻撃なんかの耐性が上がる。ま、お守りみたいなもんだ」
「それは素晴らしいですね。ぜひお願いします」
「オッケー」
スキルをタップ。
少しイラーマのポイントを補填して、Lv.2まで上げておいた。
彼女にも効果があるからな。
瞬間、俺の体がふっと光る。
ミレナが目を見開いた。
「……今のでスキルを獲得したのですね?」
「おう」
「貴方の言葉が真実だと分かり、安心しました。では――お嬢様を、どうか宜しくお願いします」
この夜の出来事の詳細は、ノクターンに連載中の
「 元・魔王の中年童貞のエロ日記 」
ep06. 猫耳のメイド、ミレナとの性交
にて公開してます。
宜しければ、そちらも読んで頂けると嬉しいです!




