第14話 イラーマ
夜の訪れを少し前にして、里の中央広場で宴が始まった。
広場の石床には古木で組まれた円形の木製テーブルが規則正しく並び、中央の小さな噴水が柔らかな水音を響かせている。
百人ほどのエルフたちが集まり、談笑や笑い声が飛び交う。
森で採れた色とりどりの野菜や茸をふんだんに使った煮込み、ハーブやナッツを添えたチーズの盛り合わせ、木の実と穀物を使ったパンやパイ、ベリーのデザートなどが並ぶ。
肉こそないが、芳香が広がり、十分に豪華だ。
ワインもあるし。
俺たちに気づいたエルフたちは次々と労いの言葉をかけてくる。
その瞳に見下す色はなく、温かく歓迎されている感覚が伝わる。
オフィーリアも警戒心を解いたようだ。
「イラーマから聞いた。とんでもなく強いそうだね」
「失礼だが、その外見からはとても想像がつかない……」
そんな会話しつつ料理を食い漁っていると、長老とリトリス姫がゆっくり歩み寄ってきた。
「里の危機は救われた。礼を言わせてくれ」
長老が差し出してきた手を、俺はしっかり握り返す。
「まぁ、あの程度なら余裕っすよ」
「イラーマから聞いたのだが、魔界ではあれくらいの竜も特に珍しくはないとか」
「そうっすね。中型くらいかな?」
「なるほど……しかし、あれはどこからやってきたのだろうか? 火竜の突然変異というわけではなく、業火竜という竜種なのだろう? そんな竜がいるのであれば、世界中でもっと目撃例があっても良いはずだ」
「……確かに」
俺と長老の会話を黙って聞いていたリトリス姫が、何か思いついたように口を開く。
「悪意のある召喚士が呼び出した可能性はどうじゃ? そなたも魔界から呼び出されたのじゃろう?」
姫の方が長老っぽい言葉遣いなのは何故だろう、というのは一旦置いといて。
「ああ、それなりのレベルの召喚魔法を使えれば可能かも。俺も力を取り戻せば、もっとデカいの召喚できるし」
「やはりか。じゃが、なぜ妾たちの里を狙ってきた? 誰も恨みを買うようなことはしておらぬはずじゃぞ」
姫の深い緑の瞳が、俺を射抜く。
やべっ……こんな超絶美少女に熱いまなざしを向けられたら、おっきくなっちゃいそうだ。
「どこの世界にも頭のおかしい奴はいますからね。逆恨みとかもあるし。ま、単に召喚したものの扱いきれなくて、広い場所に捨ててきただけかもしれません」
「ふむ、元凶を捕まえんことには何とも、というところじゃな」
姫はやれやれと肩を竦める。
「とにかく、今回の件は世話になったのじゃ。すぐに帰らんで、暫く滞在しても良いぞ。エルフの里になど、滅多に来れるものではなかろう。帰る前に一度、挨拶に来るのじゃ」
それだけ言うと、すたすたと立ち去った。
う~ん、一発百万だけど、さすがにこれは無理だな。
◆◆◆
深夜になったが、宴は全く終わる気配がない。
さすがエルフ。時間の感覚が、俺たちとは全然違う。
眠くならないのか、あいつらは……。
腹いっぱいになり、ワインも少し回った俺は、宿へ戻る。
オフィーリアは、仲良くなったエルフと肩を組み、楽しそうに笑っていた。
ベッドで横になる。
少しすると、窓の方に、人の気配を感じる。
確認するまでもない──イラーマだろう。
「よう、待ってたぜ」
「それは、こっちのセリフ。今日はしないのかと思ってたわ」
「なかなか抜け出すタイミングが見つからなくてな……」
「ふふっ、随分と人気者になってたわね」
イラーマは笑みを浮かべながら、そっと俺の隣に寝そべる。
月の光がカーテン越しに差し込み、静かに俺たちを包み込む。
「なぁ、今さらなんだが、お前たちが昼、小馬鹿にしてたように俺は経験が浅い。ってか中出しこそ何回かやってるけど、マジで挿れて腰を動かすだけみたいな感じで、愛のあるセッ〇スをしたことがないんだ」
「そうなの?」
「昨日のキスも人生で二回目だったし、そういうイチャイチャしながらの行為に飢えてる。もっと前戯に時間を割いたり、心まで満たされるようなセッ〇スがしたい」
「いいわよ……わたしがあなたを満たしてあげる」
――それは、俺が前世から望んでいたような行為だった。
イラーマもちゃんと俺を求めてくれた。
昨日、二回も抜いただけあって、エロ動画でしか見たことのないようなことをやっても、挿れる前に暴発することはなく、合体した後もいくつかの体位を楽しむことが出来た。
「昨日とは大違いね」
肌にじんわりを汗を浮かべたイラーマは、そっと俺の手に指を絡めてくる。
「ああ、お陰様で……。レベルアップできたかもしれない」
「それは良かったわ」
そして、また俺の耳元でささやく。
「もう一回する?」
「したいとこだけど……さすがに二日で三回も出したから、暫く無理そう」
「あら、残念」
「あと何日かは滞在するから、その間にまた頼む」
「ええ、喜んで。いつでも呼んで」
呼ぶって……。
デリヘルかよ。
てか、イラーマってどこに住んでるんだ?
「あ、そう言えば便利スキル思い出した」
「え? なに?」
俺はスマホを取り出し、スキル一覧を表示させる。
そのままザーッとスクロールさせ、《精神感応》のところでストップ。
「精神感応?」
隣で一緒に見ていたイラーマが、不思議そうに問いかける。
「ああ。五万はデカい出費だが、十万貰ったばっかだから、派手に使っとこう」
俺の体が一瞬だけ光る。
「今ので、スキルを取り戻したってこと?」
その質問に、口ではなく頭の中で『そう』と答える。
「え?」
イラーマは横になっていた体を起こし、周りを見回す。
俺は再び、頭の中で話しかける。
『テレパシーって奴だ。直接姿が見えなくても、どんなに遠く離れていても、頭の中で会話が出来る』
「そんなことまで、できちゃうの!?」
『俺からの一方向じゃない。イラーマも頭の中で、俺に話しかけてみて』
困惑した表情のイラーマだったが、目を閉じて集中を高める。
『こ、これでいい? 聞こえる?』
『ああ、聞こえる』
『す、凄い! どんな原理なの?』
『さぁ、よく分からん。魔界では俺の血を与えた奴との間で使ってたけど、こっちの世界では俺の精液を与えた奴、という条件に変えてみた』
『そ、そう……でもそんなことに使って良かったの? もっと優先すべきスキルがあったんじゃない?』
『いいんだよ。これで、イラーマがピンチの時には、いつでも駆けつけられる。遠慮せずに呼んでくれ』
『……ふふっ、本気で貴方に惚れちゃいそう』
イラーマは、そのまま俺のベッドで眠りについた。
余ったポイントで《回復》《状態異常回復》の二つの魔法もカンストさせた。
それでもまだ三万ポイント以上余っていたので、ついでに《魔具創造 Lv.1》 30,000Pもゲット。
明日、オフィーリアの剣をレベルアップさせてやろう。
あいつの喜ぶ顔が目に浮かぶぜ。
そんなことを考えながら、俺はそっと目を閉じた。
窓から差し込む月明かりが、部屋を銀色に染める。
イラーマの寝息が静かに響き、夜の空気は柔らかく包み込む。
遠くで風が木々を揺らす音を耳にしながら、いつの間にか俺も、深い眠りへと落ちていった。
この夜の出来事の詳細は、ノクターンに連載中の
「 元・魔王の中年童貞のエロ日記 」
ep04. エロドの森のエルフ、イラーマとの性交
にて公開してます。
宜しければ、そちらも読んで頂けると嬉しいです!




