表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・魔王の中年童貞~エロでポイント稼ぎ、スキルと交換して無双する  作者: 堅物スライム


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/70

第13話 火竜討伐③

 石の廃墟に鎮座しているのは、赤く硬い鱗に覆われた巨大な飛竜だった。

 鋭く伸びた双角と鋭利な翼爪、全長は優に十メートルを超える。

 その大きな翼を広げれば、地上の人間は影に飲まれるほどだろう。


「お、やっぱ業火竜だ。神によると、魔界と人間界は表裏一体らしいから、こういうモンスターも共通してるのかもな」


 俺たちは廃墟全体が見渡せる位置まで進み、木陰からそっと竜を窺う。


「その言い方だと、魔界じゃあんなのが普通にいるのか? あたしはこんなデカいの、初めて見たぞ……」


 オフィーリアの声には緊張が混じっていた。


「まぁ、どこにでもってわけじゃないが、珍しくもない。てか、魔界にはこいつが子供に見えるくらい、もっと馬鹿でかい竜もいるぞ?」

「なっ――」


 オフィーリアは絶句し、その場で固まる。


「こいつ程度なら、今のお前でも十分に戦える。ただ、その剣じゃダメだ。今回の報酬でもっと良い剣でも買っとけ。……ま、俺がスキルを解放すれば、そいつを魔剣に変えてやることもできるがな」

「ほ、本当か……!? この剣には思い入れがあってな」

「ただ、《魔具創造》は確かLv.1でも3万ポイントくらい必要だったから、今のお前だと中出し一回じゃ足りないけどな」

「くっ……」


 俺とオフィーリアのやり取りを聞いていたイラーマが、呆れ半分に口を開く。


「ねぇ……なんでそんなに余裕なの? わたしはここから見てるだけで震えるほど怖いのに。魔王の力って、そんなに凄いの?」

「凄いぜ。この中年太りしたおっさんの見た目じゃ、ちょっと想像つかんだろうけどな」


 そう言うと、俺は一人で竜に向かって歩き始める。


「お、おい――」

「だいじょぶ、だいじょぶ。そこで黙って見てな。瞬殺してやるから」


 業火竜はすぐに俺を認識し、臆することなく接近してくる姿に逆上したのか、大地を震わせるほどの咆哮を放つ。

 その圧力だけで木々が揺れ、瓦礫が崩れ落ちた。


「おお、元気いっぱいだな」


 崩れた石の破片を避けながら、竜の正面へ。


 ……そういえば、防御系スキルはまだ取ってなかったな。

 魔王時代の感覚のままだった。

 今の俺だと、こいつの炎ブレスで黒焦げにされちまう。


 ならば――先手必勝。


「氷獄」


 右手を突き出し、氷魔法を発動。

 威力はLv.8程度に抑える。

 全開にしたら、後ろのあいつらまで巻き込んじまうからな。


 振り下ろされる巨大な腕。

 その途中で、竜の全身は一瞬にして凍りつき、動きを止めた。


 巨大な氷像の完成だ。


「じゃ、仕上げだ」


 俺はその氷像に渾身の拳を叩きつける。


 パリィィィン!!!


 耳をつんざく轟音とともに、氷像は粉々に砕け散り、霧のような氷片が舞う。


「はい、おしまい」


 ◆◆◆


 余裕の足取りで引き上げてくる俺を見て、二人は分かりやすいほどに驚愕の表情を浮かべていた。

 あんぐりと口を開けたまま、言葉もない。


「おいおい、今さらそんな驚くほどか? 言っただろ、凄いって」


 ハッと我に返ったのか、オフィーリアが口を開く。


「い、いや、頭では理解していたつもりだが、実際目の当たりにすると……」

「ふっ……分かったら、今後俺にあまり舐めた態度は取るんじゃないぞ?」


 そう言って、その肩をポンと叩いてやる。


「ほ、本当に凄いわ。――夜の、あの情けなさとのギャップもあって、余計にそう思ってしまうのかも」

「なるほど、それか! 初めてヤッた時なんて、あたしが少しキュッとさせただけで『ああ』なんて情けない声出して、秒でイってたからな。その後も何回かヤッたけど、1~2分しか持たないし」

「昨日、手でも、口でしてあげた時も2分持たなかったわよ」


 やめろ……!

 やめてくれ……!!


「と、とにかくだ! これで任務完了だろ? 腹減ったから何か美味いもん食わせてくれよ。野菜だらけの精進料理みたいなのじゃなく!」


 あ、そうだ!

 魔王様の威厳を取り戻す為に、このスキルも見せてやろう。


「おい、お前ら、ちょっと寄れ」

「なに?」

「瞬間移動」


 次の瞬間、俺たちは宿の室内に立っていた。


「え?」

「な、なにが起きた!?」

「戻ってきただけだ。歩いて帰ってくるのだるいだろ?」


 二人はキョロキョロと周りを見渡し、家具に触れて確かめる。


「ほ、本当に戻ってきたみたい……どうなってるの、魔王様の力は……」

「この位で驚いてもらってては困るな。まだ一割も取り戻せてない」


 二人がゴクリ、と生唾を呑む音が静かに響く。


「とりあえず、飯だ、飯。こういう時は宴を開くってのが決まりだろ?」

「え、えぇ……そうね」

「宴が終わった後は――覚えてるよな、イラーマちゃん」


 下卑た笑みを浮かべてみせると、イラーマが静かに近寄り、耳元で囁く。


「もちろん、覚えてるわ。言ったでしょ、わたしは魂の底の方で貴方に惹かれてるって」


 吐息が耳をかすめ、思わず情けない声が漏れる。


「ひゃっ」


 イラーマはくすりと笑い、艶を帯びた声で続けた。


「では、また後で。準備が出来たら呼びに来るから――それまでゆっくりしててちょうだい」


 とはいえ、大して疲れてもいなかったので、宴までの間、俺はいつものようにオフィーリアの修業の相手をしてやるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
精神攻撃とは卑怯な!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ