第10話 エロドの森
《無限収納》
俺が魔界で使っていた数多のスキルの中でも、特に汎用性が高く、重宝していた一つだ。
周囲に亜空間を生み出し、そこに物を放り込む。
脳と直結しているから、必要な物を瞬時に取り出せる仕組みになっている。
魔王をやっていた頃は、ありとあらゆる物を放り込んでいた。
だが、こっちの世界に転移してからは、ほとんど荷物を持たない生活を送っていたので不要だった。
……しかし、さすがに目の前の、この山のような荷物は全部ぶっこんで移動したい。
最初はどうでもいいと興味を示さなかったオフィーリアだが、実際に目の前でスキルを披露してやると、めっちゃビビってた。
しかも今回の冒険には必要ないだろって物まで、次々と放り込みやがる。
関係ない物まで収納するなら、もう一回中出しさせろ――と言いたかったが、賢者タイムに突入していたので、何も言わずに好きにさせてやることにした。
◆◆◆
翌朝。
オフィーリアが手配した馬車がやってきた。
街中で見かけるような、ピカピカに磨き上げられた豪華な乗り物ではなく、長距離移動に特化した、実用性を優先した馬と車だ。
一週間の旅だというのに、手ぶら同然で乗り込む俺たちを見て、御者は一瞬だけ驚いたようだったが、何も言わずにそのまま出発した。
途中、いくつかの村で宿泊し、野宿する羽目になった日もあった。
だがテント一式も収納していたおかげで、割と快適に過ごすことが出来た。
そして七日目。
俺たちはついに目的地の森へとたどり着いた。
ここから先は馬車では進めない。
御者に別れを告げると、どこか神秘的な空気をまとった森の中へと、俺たちは足を踏み入れた。
「さすがに結界は解除されているようだな」
「結界? エルフの連中が張ってんのか?」
「そうだ。あたしたちの到着を感知したのだろう。奴らの居住エリアに着けば、また張られるはずだ」
――なるほど、侵入者の方向感覚を狂わせて、森の奥で迷わせる例のあれか。
「お前、場所は知ってるんだよな?」
「受付嬢から地図を受け取っている。二時間ほどで到着するはずだ」
結界は解除されているとはいえ、頭上を覆うように高い木々が茂り、昼間なのに薄暗い。
さらに靄のようなものが立ち込めていて、旅慣れていない者であれば、あっという間に迷子になってしまうだろう。
先を行くオフィーリアの尻を眺めながら、黙々と進む。
この旅に出る前日の夜に、こいつのケツを両手で鷲掴み、バックですぐにイッたことを思い出し、股間がおっきくなり始めた。
もう一週間も抜いてないから、大分溜まってきてる。
くそっ、こいつマジでエロいケツしてやがる……。
暫くすると、オフィーリアの足がぴたりと止まった。
「ん? 着いたのか?」
俺は少し前かがみになりながら問いかける。
「いや……見られてるな」
「み、見てねぇよ」
「ん?」
「え?」
どうやら、俺がお尻を凝視していたことに気づいたのではなさそうだ。
オフィーリアは神経を研ぎ澄ませるように目を閉じ、静かに集中する。
そして――
「わざわざ出迎えに来てくれたのか?」
右前方の高い木に向かって、そう声を掛けた。
すると、その木の枝から影が飛び降り、軽やかに片膝をついて着地する。
「ふむ、気配遮断が見破られた。さすがはA級……といったところかしら」
立ち上がったのは、細身の女性だった。
白金の長髪がさらりと揺れ、陽光を受けてきらめく。
耳の先が尖っている――おお、エルフだ! 美しい!!
「ごめんなさい、試すような真似しちゃって。雑魚が来て無駄死にされても困るから。歓迎するわ。わたしの名はイラーマ。この里の魔術師よ」
「魔術師とは思えない身のこなしだな。あたしはオフィーリア。で、こっちの冴えないおっさんがヒロシだ」
おい、変な枕詞をつけるんじゃねえよ。
イラーマは俺を一瞥すると、何かを確かめるように、足音も立てずに近づいてきた。
そして――
俺の首筋あたりに鼻先を寄せ、すんすんと匂いを嗅いでくる。
「……え? なに?」
女性からこんなふうに間合いを詰められるなんて、人生で初めての経験だ。
一瞬にして心臓がバクバクする。
「貴方――何者? わたしたちとはまるで真逆の存在みたい。とっても悪そうな匂いがするわ。……でも、女って悪い男に惹かれるもの」
「そ、そうなの?」
「その見た目は本物? 本当に人間なのかしら?」
「――! ほう、分かるか。」
でも、オフィーリアみたいにオーラが見えてるわけじゃなさそうだな。
俺は目一杯かっこをつけながら続ける。
「つい最近、こっちの世界に召喚された魔界の王だ」
「魔王様ってこと?」
「そうだ」
イラーマは目を細めて、じっと俺を見据えてくる。
「……信じるわ。じゃ、行きましょうか」
そう言うと、イラーマは俺たちを先導し、森の奥へと軽やかに進んでいった。
俺は無限収納からスマホを取り出し、その後ろ姿に焦点を合わせる。
「イラーマ、328歳。種族:エルフ。獲得可能ポイント 10,000~100,000」
おお!?
一発で十万かよ!?
そんだけレア度が高いってことだよな??
これは何としても滞在中に中出ししないと!!
一発とは言わず、二発でも三発でも!!!
さっきのあの感じだと、何だかイケそうな気がする!!




