プロローグ
ある時、世界中にとある知らせが行き渡った。
魔法で空からたくさんの紙がまいふり、その知らせは瞬く間に世界中に知られることになった。
「なんだこれ?」
「めっちゃ、ふってくるぞ!?」
「聖女様が旅に出るって!?」
その日は、世界中がザワついた。
その紙にはこう書いてあった。
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奇跡の聖女が信託をさずかった。
近い未来、溜まった瘴気により魔王が復活し、世界は混沌に飲み込まれる。
それを防ぐため、聖女は各国を周り瘴気を浄化する旅に出る
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簡潔な、そんな内容とともに、美しい絵姿が添えられていた。
ミルクティーのような髪色に水色の瞳をもつ美しい女性と傍らに立つ黒髪に藍色の瞳を持つ可愛らしい少年だ。
魔王の出現の恐怖、不安が一瞬忘れてしまうほどの美しさに国民たちは見惚れた。
誰もが自分達の為に旅に出る、聖女と少年に感謝の祈りを捧げた。
しかし、たった4人、他の人々とは違った反応をした。
【とある魔塔】
そこには、色気をまとう金髪で翠玉のような色の瞳をした青年が1枚の紙を持ち立っていた。
「ふふふ……
やっぱり彼女は最高だよ!!」
「あの魔術師が、純粋に笑ってる?」
「いつも人を小馬鹿にしたような笑いしか出来ない奴が!?」
【とある暗殺者ギルド】
そこには黒髪にアメジスト色の瞳をもつ青年が、目の前に1枚の紙を置いて机の上で頭を抱えていた。
「ほんっとうに、あの子は人を驚かせるのが好きっすね~。
はぁ〜……
あのメガネをどうやって連れてこようか……」
「どうした、坊主?珍しいな頭なんか抱えて!
魔王が出ることがそんなに怖いんか?」
「大丈夫だって!
聖女様が助けてくださるんだろ~
俺らはいつも通りお掃除するだけだよ」
「関係ないから、そんなこと言えるんすよ!?」
【とある研究室】
書類が山ずみにある中心に青い髪に灰色の瞳をもち、丸メガネをした少年が、その純粋そうな見た目とは裏腹に片手に酒瓶、片手に1枚の紙をもち、爆笑していた……
「ブッッアハハハ!
マジ最高だわ、あいつ。
さっすが、俺の子だ!」
「先生ー。
仕事中にお酒はやめてくださーい。」
「えっっ!?
先生、そんななりして子供いたの!?」
【とある森のなか】
森の奥深く、赤い髪に琥珀色の瞳をもつ青年が1人野営をしていた。
「なーんか、街がある方が騒がしいような……
まっいっか……
俺の目的はあいつを見つけることだけだし
ていうか、ここどこだ?
街がある方に行っても何故か戻ってくる」
街がある方向は分かってるはずなのに、何故か何度も同じ場所に戻ってくる青年を森の動物達は哀れなものを見るような目で、隠れてみていた……