第26話 暗闇にいるのは
駄文失礼。
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時刻は22時、今日中にやるべき事をし終えたウェインは明日に備えて寝ることにした。
……勿論、見張りはエリシアからである。
「俺はもう寝る。2時間後に起こしてくれ」
「分かりました!しっかりと寝てくださいね!」
「…ああ」
焚き火の前に座るエリシアに言葉をかけてからウェインは眠りにつく。
(…明かりはあるけれど、夜の森で1人見張りは少し怖いなぁ…)
エリシアは周囲を若干怯え気味に見渡す。
周りは見渡す限り木と草のみ。しかも月の光は木により遮られており、真っ暗闇だ。人間の目ではその先を見通すことができない。何がいるのか、何が見ているのか、一切分からない。
(2時間何をしましょうか…武器のお手入れは終わったし、魔法の練習…いやいや…!ウェインさんを起こしてしまっては申し訳ないですし…)
(…とりあえず今は火を見て時間を潰しますか…)
真っ暗の森の中で1人の少女は焚き火を眺める。ハイナーで何か暇を潰せるような物を買いたいなぁ…なんて思いながら見張りを続ける。
大体1時間と少しが経っただろうか…エリシアは少しの眠気に襲われていた…その時、
ピカッ…
カーーン
地面に張り巡らされた結界が小さく光る。そしてウェインがいつも使っているという魔道具の音だろうか?それが聞こえる。
(結界内に何かが入った…!?)
エリシアは身を硬直させて息を呑む。
ガサッ…
「…!!!」
自身の左側の茂みが動く。確実に何かがいる。
「………」ゴクリ…
エリシアは杖を構えながら茂みに近づく。
その瞬間、
シュッ…
「きゃっ…!」
茂み…てはなく暗闇の中きら彼女に向けて矢が飛んでくる。咄嗟に避けることができたのは幸運であった。
(矢!何かが撃ってきた…!)
後退りしながら矢が飛んできた方向を見る。結界内に何かが入ったのは確かだが、暗闇で姿を確認することができない。
(ウェインさん…ウェインさんを起こさなくては…!)
そうして背を向けて走り出そうとすると…
『ギギャアッ!』
「!!!」
後ろの茂みから一匹の小鬼が太い木の枝を振り上げて飛び出て来る。
「ッッ…!」
エリシアは振り向こうとするが間に合わない。攻撃を食らってしまう…その瞬間、
『ギャアッッ…!?』ドス…!
小鬼の頭にナイフが突き刺さる。
「ウェインさん…!」
エリシアはナイフが飛んできた方向を見る。そこには起き上がり首を回しているウェインがいた。
「…音を聞いても完全に起きれないとは…熟睡しすぎたか…。エリシア、一旦下がれ」
そう呟きながらエリシアに向かって下がるように言う。
「ウェインさん!助かりました!ありがとうございます!」
「こちらこそすまない、起きるのが遅れた」
「いえ!それよりも…」
エリシアはナイフが頭に刺さった小鬼を見る。
「小鬼は基本三匹以上の集団で生活する。…お仲間が出てこないのを見ると、おそらくあいつが考えなしに突っ込んで殺されたのを見て様子を伺っているのだろう」
「小鬼…確か一匹では危険度D…集団でいたら危険度C…でしたよね?」
「そうだ。エリシア、確か周囲を照らす魔法があっただろう、それを頼む」
「神聖なる光ですね!了解しました!」
頷いた後、エリシアが目を瞑りながら神聖魔法を放つ。
「神聖なる光!」
エリシアの杖の魔石が周囲を激しく照らす。
『ガアッ…!?』『ギィヤ…!?』
すると少し奥で小鬼4体が目を塞いでしゃがみ込んでいる。
「光の維持を頼む」
ダッ…!
そう言ってウェインが瞬時に飛び出す。
「暗闇からいきなり強い光が出てきたのだ、さぞかし目が痛いだろうな」
ウェインは即座に小鬼達に近づき、剣を振り下ろす。
『グギャア…!、』ザン
うずくまっている一匹の頭を斬って殺す。
『アギャア…!』『ギャァ…!』ブンブン
残り三匹のうち、二匹が闇雲に棒を振り回す。
「ふん…」
『ギャ…』ズバン
『ブッ…』バゴン
一匹は頭部を蹴られ、もう一匹は盾で殴られて即死する。
『グギィヤァッ…!』
最後の一匹はようやく視界がマシになったのか、ウェインの目を睨みながら突撃して来る。
「…では、こうするとしよう」
ザン
そう言ってウェインは小鬼の右腕を斬り落とす。
『グギイッ…!?』
「………」
『ゲギャア!!』ダッ
ウェインの冷酷な佇まい、圧のようなものを感じ己の死を悟ったのだろうか、怯えながら一目散に逃げ出す。
「………」
「…ふぅ」
エリシアが息を吐きながら光を消す。周囲は再度暗闇に飲まれる。
「光の維持、助かった」
「いえ、それよりもいいのですか?一匹逃してしまいましたけど…」
「…あえて逃したのだ」
「えっと、その、理由を聞いても?」
首を傾げながらエリシアは問いかける。
「…脅威を早めにに排除するためだ」
「脅威?」
「あの小鬼は住処に向かっている、と俺は思う。。だからその後を追って住処を壊しに行く」
「…ですが死ぬのが嫌で闇雲に逃げた可能性もあるではないですか?決まった住処もないかもしれないですし…」
「そうだな、ただ逃げただけならそれで良い。だが逃げ帰っていたら?」
「……!」
「奴に大規模な住処と言えるものがあり、そこに逃げ帰っていたら?大勢の集団を率いてここを攻めて来るだろう。だからその前に住処を殲滅する」
「仮に住処があったとして、別にこの場で先ほどの小鬼を倒しておけば住処を壊しに行く必要も出てこなかったのでは…」
「小鬼は繁殖能力が高い。放っておけばこの森は小鬼の森になってしまう。人間の生活圏に立ち入るのも時間の問題だ。だからそうならないために、早めに叩きたい」
「それにいつ襲ってくるのか警戒しながら夜を明かすのは嫌だろう?五匹が戻ってこないと気づけば遅かれ早かれ俺たちの存在に気づき警戒網を引くだろう。森はまだまだ抜けれそうにない。確実に小鬼と接敵する。森の中で二十、三十匹の小鬼と戦うのは流石に無謀だろう」
「な、なるほど」
「つまりだ、小鬼が逃げた先に住処がなければそれで良し、戻って来て寝よう。あったら殲滅だ。その場合は明日は先に進まず休みにする。それでいいか?」
「はい!賛成です!私も小鬼がウヨウヨいるかもしれない森で寝たくはありません!怖いですから…」
「よし、では血の跡を追うぞ」
「はい!荷物はどうしますか?」
「置いていく。防御結界は張れるか?」
「小さい範囲なら…」
「では頼む」
「了解しました!」
エリシアは荷物が置いてある場所に防御結界を張る。
「これで大丈夫かと」
「よし、君の光は強すぎるからランプで照らしながら進むぞ」
「はい!行きましょう!」
ウェインとエリシアはランプの光を頼りに血の跡を追っていくのであった」
詳しく知りたい方に
・小鬼:小さい人型のモンスター。基本的に三体以上で生活する。ゴブリンが一匹いれば近くに住処が確実にあるから気をつけろ、と冒険者の間で長年伝わっている。繁殖能力が非常に高い。




