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第23話 意地の張り合い

何か気になる点があれば気軽に感想にどうぞ!

町の名前は[]で囲っていたのですがなんかしつこいと感じたのでこれからは初めて出る町や国の名前だけ[]で囲おうと思います。


「この度は我々を助けて頂いたどころか、やるべき依頼も完遂して頂き、ありがとうございました」


騎士3人は立ち上がり、ウェインとエリシアに深々と頭を下げる。


「いえ、それほどのことは…とりあえず頭を上げてください」


「では、溶解蜂の巣を凍結させ事実上の破壊、および溶解蜂の殲滅、そして我々の怪我を綺麗さっぱり直してくれたお礼として何かお渡しさせてもらえませんか?」


「いや…別にお礼なんてしてもらう必要ないですが…」


「はい!困っている人を助けることは当たり前ですので!」


ウェインとエリシアはお礼を渡させて欲しいと言う騎士の提案を断る。

そう言うと小柄な騎士、メランが抗議するように言う。


「いやいやいや、貴方たちがヤイネを助けてくれなければ依頼を達成できず、俺たちは全員肉団子にされて蜂の餌になってたんですぜ?お礼ぐらいさせてもらえないとこちらの立つ瀬がないですぜ…」


「そうですよ!何か欲しいものなどはありませんか?」


「うむ、エリシア…どうする?」


「どうしましょう…欲しいものなんて…」


ウェインとエリシアは顔を合わせてう〜んと唸る。


その姿を見て大柄な騎士、ロートックがそれならば、と声を出す。


「特にないのであればこれはどうですか?」


ロートックが硬そうな箱から色とりどりの宝石をいくつか出す。


「ルミナは今それほど持っていないので…魔石を三つ…でどうですか?」


「魔石…ですか?」


「ロートックさん!?」

「ロートック…!お前…!」


魔石を渡すというロートックの提案に、騎士二人は驚きの声をあげる。


「…ん?」


二人の驚きようにウェインは思わず声が漏れてしまう。そしてその疑問の答えをロートックは話し始める。


「…俺はこう見えて魔石を集めるのが趣味でしてな…キラキラしてるし、こんなに小さい石なのに時に魔法以上の効果を発揮するなんて…なんかいいじゃないですか!」


ロートックは目を輝かせながら言う。


「そ…そうですね…。それほど大事にしている魔石を三つも渡してしまっていいのですか?」


「いいのです、本来なら溶解蜂の巣をぶっ壊す時に使おうとしてたものですし…それに私のコレクションはまだまだたくさんありますから」


「そうですか…ではお言葉に甘えて魔石三つを受け取りましょう」


「…!ありがとうございます!では…」


ウェインはロートックの提案に乗り、魔石を受け取る。


受け取った魔石は三つ、

風の魔力が多く凝縮されており、割れば一気に風が放出される風爆の魔石、

地面に付けながら使うと弱土魔法(グランド・マジック)を使うことができるが、非常に壊れやすい土成の魔石、

魔石に魔力を込めるだけで魔力をそのまま弾として撃ち出すことができるが、燃費が悪い魔弾の魔石。


「これは…全て見たことがない特性を持つ魔石ですが…本当に良いのですか?貴重なのでしょう?」


「いいんですよ、俺の事だ、どうせいざ使う状況になっても勿体無くて使うのを渋るのがオチですから。だったらぜひ、命を救ってくれた冒険者の方に使って欲しいのです」


「そうですか、ありがとうございます」


「いえいえ、これはお礼なんですから、感謝など不要ですぞ。貴方の冒険に少しでも役に立てば良いのですがね」


「ウェインさん!どうやらとんでもないものを貰ってしまいましたね!」


「ああ、これで戦術の幅が広がるぞ」


「ロートック…お前漢だねぇ〜感激したよ。俺が触ろうとした時は必死の形相でガン逃げしてたのに」


「ロートックさん!また魔石集め、手伝います!」


「お前ら…」


ウェインとエリシア、ヤイネとロートック、メランはそれぞれ話し始める。その時…


ブブブッッ……!ブブブッッッ…ガヂッ


「この音は…」


ウェインがそう呟いた瞬間穴の少し奥の地面から溶解蜂が這い出てくる。


「なんだと?地面を掘ってきたというのか!?」


ロートックがありえないといった様子で言う。


「溶解蜂はウェインさんの氷魔法で全て凍ったはず…」


エリシアがそう言ったのち、ウェインが溶解蜂を観察して言う。


「…!どうやらやつは女王蜂のようだな。体と目が他よりも少し小さく、羽が大きい。なぜ凍ってないのかは知らんが…女王の意地…といった所か?」

(巣の最奥にいたおかげで氷攻撃の直撃を避けたというか?)


「ウェインさん…逃げる前に撃破しましょう」


「そうだな、他のところに巣をつくられても厄介だ」


ウェインとエリシアが武器を構える。だが、そんな二人の前に騎士三人が立つ。


「どうした?」


「ここは僕たちに任せてくれませんか?」

「おれら二人に関しちゃここまで全く仕事してませんからねぇ」

「サンセルトの騎士の強さ、お見せしよう!」


ヤイネは槍を、メランは手に炎を生成し、ロートックは持ち手が長く、少し大きなハンマーを構えながら言う。


「…分かった」


その三人のやる気に満ちた背中を見て、ウェインは剣を納め、戦いを見守ることを決める。


「エリシア…危険なことにならん限り手を出すなよ」


「良いのですか?」


「ああ、騎士の意地のようなものなのだろう。ヤイネはともかく、他二人からしてみれば今回の仕事は手痛い失態だ。最後はこの事件の元凶を自らの手で終わらせたいのでだろう」


「なるほど、それでは私たちが手を出すのは無粋というものですね」


女王蜂と騎士三人は睨み合う。

女王蜂は羽を動かし飛ぶ準備をする。その瞬間、ロートックが叫ぶ。


「メランは右に展開!俺たちの攻撃を補助しろ!ヤイネは俺と共にやつを直に叩くぞ!」


「「了解!」」


直後、三人は走る。

それに反応し、女王蜂は飛び立とうとする。だが、すでに目の前にはヤイネが槍を突き立てていた。


「シッ!」


頭を狙った一撃、女王蜂は後ろに飛び立ちそれを回避しようとするがヤイネの槍はそれを許さない。頭には当たらなかったが槍は女王蜂の腹部に強く突き刺さる。


ガヂッ…ガパッ…ドバァッ…!


女王蜂はヤイネの射程範囲から離れ、口から溶解液を吐き出す。


「させないぜぇ」


ジュッ…


だがその溶解液はメランの飛ばした火属性魔法により蒸発させられる。


「逃げんなよぉ」


メランは続けて氷属性魔法により手のひらの上に氷柱を生成する。そして女王蜂にそれを撃ち出す。


女王蜂はそれを瞬時に避ける。だが、


ドス…!


女王蜂の横を通り過ぎた氷柱は軌道を変え、女王蜂の背中に突き刺さる。そう、追尾弾である。


女王蜂は何が起こったか分からない様子で固まる。


シュンッ…!


その隙をヤイネは見逃さず、ジャンプし背後を取る。


「はぁっ!」


ヤイネは高速で槍を振り回し、女王蜂の羽を斬り刻む。


ドン!


そして蹴りにより女王蜂を地面に叩き落とす。


天から叩き落とされた女王蜂の目の前にはロートックがハンマーを構えて立っていた。


「…終わりだよ」


女王蜂は最後の足掻きで口から溶解液を出そうとするがそれより先にロートックはハンマーを振り下ろす。


バゴンッ!!ドンッ…!


鈍い音を立てて女王蜂の頭にハンマーが当たりそのまま地面にめり込む。地面にピシピシとヒビが入る。


「戦闘終了だ二人とも」

「お疲れ様です!」

「ういっす」


そんな軽く話しているのを見てウェインは言う。


「連携の取れた戦闘、それに一人一人の強さの水準も高い。これで中堅ほどとは恐れ入る」


「はい、後になって思えば圧倒的でしたね…」


戦闘時間にしておよそ30秒…とてつもない速さでの撃破であった。


その後少し経ち…


「巣穴は凍らせましたけど時が経てば当然溶けます。女王蜂のように完全に死んでいない蜂もいるかもしれないですし、戻り蜂少なからずもいるでしょう。巣の警戒は続けてください。大人数で巣の探索をするのをお勧めします」


「はい、そうしたいと思います」


「そうですか…俺たちはこれで、では」

「お三方、お元気で!」


ウェインとエリシアは軽く頭を下げて騎士三人と分かれる。


「本当にありがとうございました!お二人とも…!」

「またどっかで会えたらいいっすね」

「魔石…バンバン使っちゃってください!」


そして騎士三人は二人の後ろ姿を見て手を振る。


「…さて、俺たちもキャンプ地に戻るか」


「そうだな、今回の件、早く連絡せんとあかんしな」


「……あ」


ロートックとメランがそう話しているとヤイネが思い出したように声を出す。


「どうした、ヤイネ?」


「忘れてました!」


そう言ってヤイネはウェインとエリシアに向かって大きな声で言う。


「お二人ともー!貴方たちの名前をしっかりと聞いていませんでしたー!教えてくれますかー!」


ウェインとエリシアはいきなり呼び止められてビクッとなりながらも振り向き、答える。


「そういえば名乗ったいなかったか…俺の名前はウェイン・ノクナリアだ」


「私はエリシア・セインレットです!」


そう言って二人は再度歩き出す。


「さ、早くキャンプ地に戻るぞー」


「そうっすね、いつかちゃんとお礼とかしたいっすね」


「…はい!」


そして騎士三人も前へと歩き出すのであった。

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