DCL試験 シルバーランク 2
試験が終了した後、一息つく間もなく、試験官から次の試練について告げられた。疲れを感じさせず、確かな自信を持った表情を浮かべながら試験官は言う。
「素晴らしい戦闘でした。次に進む資格があると言えます。しかし、今度は戦闘ではなく『筆記試験』です」
その言葉に少し驚き、そして不安を感じた。
「筆記試験…ですか?」
試験官は微笑んで頷きながら続ける。
「あなたがこれまで示した戦闘能力は素晴らしいものです。しかし、戦闘だけでなく知識や思考力も重要です。この筆記試験では、魔法や竜についての知識、戦術的な考察、そして竜との共鳴に必要な理解を試します」
深く頷き、再び竜護のベルトに手を置いた。ベルトの魔力がそのまま竜と通じ合い、竜の加護をさらに引き出す感覚を覚えていた。しかし、今回は戦闘ではなく、心の中で竜との関係をどう築き、どう理解していくかが問われると感じた。
「準備はできています」
試験官に向かって目を決意で輝かせた。
試験官は軽く手を振り、机の上に広げられた一枚の試験用紙を差し出した。
「これがあなたの試験です。時間制限はありませんが、制限時間内で全ての問題に答えることが求められます」
深呼吸をしてから、試験用紙に目を通した。問題は、竜の生態や魔法の理論、竜の加護を理解するための問いが多くを占めている。特に「竜との共鳴の仕組み」や「竜の力を引き出すための適切な手法」に関する問題が難解で、少し眉をひそめた。
まず最初に目を引いたのは「竜の加護を受け入れるために必要な心構えとは?」という質問だった。その問いについて深く考え、竜との信頼関係を築くためにはどれだけ自分の心を開き、竜の感情を理解しようとする姿勢が重要であるかを思い出した。心構えだけでなく、竜の力を引き出すための方法や、逆にその力を制御するための注意点についても思案した。
次に、「竜との共鳴に必要な魔法的要素を三つ挙げ、それぞれの役割を説明せよ」という問題が続いた。心の中で竜護のベルトの力を感じながら、魔法的要素の一つ一つを挙げていった。それは「魔力の調和」、「精神的なリンク」、「共鳴する意思」だった。それぞれがどれだけ重要で、どういった役割を果たすのかを詳細に記述する。
さらに難易度の高い問題もあった。「竜の加護の力を誤って使用した場合、どのような危険が生じるか?」という問いに対しては、竜の力が暴走した場合のリスクを挙げ、それを防ぐための方法を考えた。竜の加護を使用することができる一方で、それを誤用することによる危険性を理解することは、竜との共鳴を維持するために不可欠だということを再確認した。
そして、「竜の生態」についての問題が出題された。「竜が生息するための理想的な環境とは?」という問いに、竜が強い魔力を必要とすること、またその環境が自然界の力と調和していることを述べた。竜が好む環境として「広大な空間」や「魔力の豊富な地域」を挙げ、それに対する適切な生息地の条件を具体的に記述した。また、竜の生態における重要な特徴—例えば、竜が独自の感覚で空間を捉え、また強い繁殖本能を持つことについても触れた。
次に、「竜の種類における生理的特徴」を問う問題が続いた。竜の中でも「光竜」「闇竜」「嵐竜」など、各竜の特徴を挙げ、その生理的な違いについて説明した。光竜は「光を操る能力を持ち、身体が温暖な環境に適応している」こと、闇竜は「冷徹で強力な魔力を秘め、暗い場所で生きることが得意」など、竜の生態に深く触れながらそれぞれを記述した。
試験用紙に全ての答えを書き終え、ペンを置き、深い息を吐いた。試験官はそれを見守る。
「良い答えだ」
と試験官は少しの間沈黙する。
「素晴らしい。戦闘だけでなく、知識や理論についてもしっかりと理解していることがわかります。これで次に進む準備が整ったと言えるでしょう」
試験官の言葉に微笑み、胸の中で確かな手応えを感じながら試験を終えるのだった。
試験の後日、ギルドの広間に集まった受験者たちが静かに待機していた。緊張の空気が広がる中、試験官が登場すると、誰もが一斉に注目する。試験官の顔には厳しさが残るものの、その目には何かしらの期待も見え隠れしていた。
試験官は一瞥をくれると、短く口を開いた。「先日の筆記試験と実技試験の結果が出ました。合格者は以下の者です」
名前が一つずつ呼ばれ、合格者たちは次々と喜びの声を上げ、ホッとした表情を浮かべていた。心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、ただ静かに名前が呼ばれるのを待っていた。
「おめでとう、貴方は合格しました」
名前を呼ばれしばらくその場に立ち尽くしていたが、すぐに深呼吸をして冷静を取り戻し、短く礼をした。
「ありがとうございます」
その言葉に試験官も微笑み、受験者たちの中から拍手が沸き起こる。その拍手を受けながら、胸の中に込み上げてくる安心感を感じる。合格したという事実が、これからの新たな一歩へと繋がることを確信していた。
試験官がさらに口を開く。「これから貴方の試験結果を元に、新たな役割が与えられることになります。これまで以上に多くの期待がかかることを覚悟し、これからも精進してください」
改めて気を引き締め、試験官の言葉に頷く。
「はい、精一杯頑張ります」
その後、周囲の受験者たちが互いをお祝いの言葉をかける中、これから待ち受ける新たな試練に向けて、気持ちを新たにしていた。
主人公はDLCの合格通知を手に、自宅の静かなリビングに戻った。玄関を開けると、すでににゃんまるが待っていた。部屋の中央で、ゆったりとした姿勢で座っているにゃんまるは、帰りを見計らっていたかのように微笑みかける。
「お帰りなさい、主。試験の結果はいかがでしたか?」
深呼吸をして、手に持った通知をにゃんまるに見せながら答える。
「合格したよ。ちゃんとやり切った。」
にゃんまるはその言葉に、嬉しそうに目を輝かせながら立ち上がり、少し前に出てきて、軽く頭を下げた。
「本当にお見事でございます、主。私も心から嬉しく思います」
少し照れくさそうににゃんまるを見つめながら笑った。
「にゃんまるがいなければ、ここまで来れなかったよ。ありがとう。」
その言葉に、にゃんまるはうれしそうに目を細め、再度深く一礼する。「いえ、私はただ主を見守ることしかできませんが、そのお力になれたことを嬉しく思います」
その後、一息つき、部屋の隅にいる黒騎士とヴォルガリオスに視線を向けた。影の中から黒騎士が静かにその存在を感じさせ、低い声で言葉を発した。
「しかと見ておりました。我が主ならやり遂げると思っていました。お見事です」
影の中で、ヴォルガリオスの大きな目がほんのわずかに輝きを増し、無言のまま見守る。言葉は発しないが、彼の存在が伝わってくるようだった。
にゃんまるの言葉を受け、黒騎士とヴォルガリオスにも向かって言葉をかける。
「みんなのおかげだよ。ありがとう。」
にゃんまるはその言葉に満足げな表情を浮かべながら頷いた。
「こちらこそ、主。これからもお力になれるよう、全力でサポートいたします」
黒騎士は冷静に頷き、ヴォルガリオスもまた、静かにその大きな目を向け、無言のうちに確かな支えを感じさせる。
深呼吸をして、仲間たちの存在に支えられていることを実感しながら言葉を続けた。
「これからも、もっと強くなるために頑張るよ。みんなと一緒に」
にゃんまるは微笑みながら頷き、黒騎士は満足げに軽く頷く。ヴォルガリオスもその大きな瞳で主人公を見守り、静かな決意を感じさせた。
「私も共に頑張ります、主」
にゃんまるの言葉が、部屋の中に温かな空気を満たしていった。




