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美味しいものが食べたい 3

にゃんまるの視線を感じながら、スカイフルーツの果肉を口に運んだ。その瞬間、口の中に爽やかな甘さとほのかな酸味が広がり、まるで清涼な風が駆け抜けたような感覚に包まれる。果肉は驚くほど柔らかく、舌の上で溶けるようになくなっていった。


「 その果実には、特別な浮遊の力が宿っています。少し待てば、効果が現れるはずですよ」


言葉を聞きながら、自分の体に何か異変が起きているのを感じ始めた。全身が不思議な軽さに包まれ、足元からふわりと浮き上がるような感覚がする。思わず地面を見下ろすと、靴が土から数センチほど浮き上がっていることに気づき、驚いて声を上げた。


「本当に浮いてる!」


慌てて手を伸ばし、何かに掴まろうとしたが、空気は何も支えてくれない。ただ、その軽さは心地よく、不安よりも好奇心が勝っていた。


「落ち着いてください、主」


にゃんまるは冷静にアドバイスする。


「その浮遊の力は強いものではありませんが、心を静めれば自在に動くことができます。試してみては?」


深呼吸をし、目を閉じて心を落ち着かせた。そして、そっと体を前に傾けると、思いのほかスムーズにふわりと空中を滑るように移動した。軽い風が頬を撫で、視界の中の景色が少しずつ変わっていく。


「これ…すごいな」


感動しながら、空中をゆっくりと移動していった。


「本当に空を飛んでる…!」


にゃんまるは尻尾をゆらしながら見上げる。


「スカイフルーツの力ですね。残念ながら、この力は長くは続きませんが、今だけは存分に楽しんでください」


空中でゆっくりと回転したり、少し跳ねるように動いてみたりしながら、その特別な体験を満喫した。風が体を優しく支え、まるで世界と一体化したような気分だった。


「これが、天を目指す者の果実の力か…」


微笑みながらつぶやいた。


「これはただの果物じゃないな。本当に、特別な何かが詰まってる」


にゃんまるは満足げに見上げながら応えた。


「その感覚、きっと忘れられませんよ。スカイフルーツはただの味覚の珍味ではなく、心に空を感じさせる贈り物なのです」


ふわりと空中に浮かびながら、心地よい浮遊感を満喫していた。目線が自然と高くなり、いつもとは違う角度で見える風景が新鮮だった。眼下には広がるアストラルの美しい草原、遠くには果実の実る木々が風に揺れているのが見える。


「こんなに自由に動けるなんて…まるで鳥になったみたいだな」


主人公は軽く体をひねり、地上へと向けた視線をにゃんまるへ移した。


にゃんまるは相変わらず落ち着いた様子で見上げていた。


「それがスカイフルーツの特別な力です。ですが、あまり油断しないでくださいね。その浮遊の効果は、徐々に薄れていきますから」


その言葉を聞き、一瞬体が少し揺らぐ感覚を覚えた。


「そっか、これが永遠に続くわけじゃないんだな…惜しいな。」


「すべては儚いからこそ美しいのです」


にゃんまるは柔らかい声で応じた。


「スカイフルーツの力も、人生の一瞬の輝きのようなもの。限られた時間の中で楽しむのが、最大の贅沢なのです」


その言葉に考え込みながら、ふと空中で身を軽く伸ばした。


「にゃんまる、お前って時々哲学的なこと言うよな」


「そう思われるのなら、私もまだまだ悪くないですね」


にゃんまるは小さく笑いながら、尾をふわりと揺らした。しばらくの間、アストラルの空気を存分に感じながら浮遊を続けた。やがて、体が少しずつ重くなり始め、地面に近づいていく感覚がする。


「そろそろ終わりの時間みたいだな」


名残惜しそうに地面を見下ろした。


「ええ、浮遊の力はスカイフルーツの一時的な魔法ですから」


にゃんまるは言いながら、迎えるように前足を揃えた。


「それでも、素晴らしい体験だったのでは?」


地面に降り立ち、足元の感覚を取り戻すと、少し息を整えた後ににゃんまるの言葉に頷いた。


「ああ、最高だったよ。これだけでアストラルに来た価値があるな」


「それは何よりです」


にゃんまるは満足そうに尾を揺らしながら言った。


「さて、スカイフルーツも手に入りましたし、少し探索を続けてみますか?」


空を見上げ、もう一度先ほどの浮遊の感覚を思い出すように目を閉じた。


「そうだな。まだまだ、この空には秘密がありそうだしな」


《 浮遊を獲得。空中移動ができるようになります。》


転生のお陰か浮遊スキルを手に入れてしまった。

この経験は今だけだと思ってたが、手に入れてしまった。嬉しいような悲しいような。


「にゃんまる、浮遊スキル手に入れた」


にゃんまるは尻尾を揺らす。


「主ならもしかしたら、そうなると思ってました」


にゃんまる策士!この状況を見越してここに連れてきてくれたらしい。相変わらず恐ろしい猫である。

でもありがとうと心の中で感謝する。


「他にもこういう物があったりするの?」


にゃんまるはふふと微笑み、片目を閉じる。いわゆるウインクである。


「もちろんあります。それはお楽しみということで」


にゃんまるもなんだかんだ冒険を楽しんでくれているのだろうか。そうだったら嬉しい。これからも色々なところににゃんまると冒険していきたい。

にゃんまるとのスカイフルーツの体験を胸に刻みつつ、アストラルの探索を再開した。果実の木々が点在する草原を抜けると、目の前に広がったのは、澄んだ湖とその中心にそびえる光の柱だった。光は天空に向かって静かに伸び、そこからほのかな音が聞こえてくるような気がした。


「…あれはなんだ?」


光の柱を指差す。にゃんまるは目を細めて柱を見つめた。


「おそらく、アストラルの中心地でしょう。あの光、何か特別な魔力を感じますね」


無意識に歩を進めた。足元の草が風に揺れ、湖面に映る自分たちの姿が揺らめく。湖の周囲には奇妙な模様が刻まれた石板がいくつか並んでおり、どれも古びて苔むしていた。


「これって…何かの遺跡か?」


足元の石板を指でなぞった。にゃんまるはその模様を慎重に観察する。


「どうやら、ここには古代の住人たちがいたようですね。この模様、アストラルの守護を象徴している可能性があります」


石板の模様が湖の中心に向かって配置されていることに気づき、ふと不思議な感覚にとらわれた。湖の光の柱に導かれるように歩き出すと、その先には小さな台座があり、台座の上には一枚の羽が浮かんでいた。


「これは…羽?」


手を伸ばそうとすると、にゃんまるが声をかけた。


「主、待ってください。その羽にはかなり強い魔力を感じます。安易に触れるのは危険です」


一瞬ためらいながらも、心の中に湧き上がる好奇心に抗えず、そっと指先で羽に触れた。すると、羽が柔らかな光を放ち、周囲に風が巻き起こった。まるで羽が自分を歓迎しているかのような感覚だった。


「大丈夫だ、にゃんまる。この羽…俺を拒んでない」


静かにそう告げると、光の柱が一層強く輝き出し、湖全体が淡い青白い光に包まれた。


その瞬間、頭の中に声が響いた。


「…空を行く者よ、天を超える意志を示せ。」


驚きながらも、声に導かれるように湖の中央へと一歩踏み出した。湖面は奇妙なことに全く濡れることなく、受け入れている。


「主!」


にゃんまるが一歩後ろで声を上げたが、その声には心配というより、信頼が含まれているようだった。

光の中へと進んでいき、羽が手のひらの中で微かに振動するのを感じた。そして、その光が一際強くなった瞬間、風が完全に止まり、周囲には静寂だけが残った。


「これは…何か始まりそうだな。」


握った羽を見つめ、次に起こる出来事を静かに待った。光に包まれた瞬間、周囲の景色がゆっくりと変わり始めた。湖や草原、アストラルの青空が溶け込むように消えていき、代わりに広大な空間が広がった。そこはまるで星空の中に浮かんでいるようで、輝く星々がすぐ手の届く距離にあるように見える。


「ここは…どこだ?」


周囲を見渡しながら呟く。

にゃんまるは光の中から現れ、隣に立った。


「おそらく、アストラルに隠された何かの結界内でしょう。この羽が鍵となり、ここへの扉を開いたのかもしれません」


そのとき、手に握られていた羽が再び淡い光を放ち始めた。羽の輝きが主人公の胸元に吸い込まれるように入り込み、全身に温かなエネルギーが行き渡る感覚がした。


「なんだ、これ…体の中が、軽くなるような…」


ふわりと宙に浮き上がり、先ほどのスカイフルーツを食べたとき以上の浮遊感を覚えた。


「主、その羽の魔力があなたと共鳴しているようですね」


にゃんまるは静かに語りながら、少しだけ警戒した様子を見せた。


「でも、この空間そのものが試練である可能性もあります。慎重に行動してください」


言葉を返そうとしたそのとき、星空の中からいくつかの光の球が浮かび上がり、前方に道を描くように並び始めた。まるで「進め」と言われているようだった。


「これが…次の行き先ってことか?」


浮遊感を確かめるように軽く身体を動かし、光の球が導く方向に進む。道の先には巨大な円環が浮かんでいた。円環には複雑な紋様が刻まれ、周囲をまばゆい光が渦巻いている。近づくと、その円環から柔らかな声が響いた。


「試練を越えし者よ、真なる力を受け入れる覚悟はあるか?」


一瞬言葉に詰まりながらも、拳を握りしめ、静かに頷いた。


「もちろんだ。どんな試練でも受けてみせる」


にゃんまるはその様子を見守りながら、満足そうに目を細めた。


「あなたなら乗り越えられると信じています」


円環が眩い光を放つと、周囲に新たな光景が広がった。そこはかつてのアストラルの風景とは異なる、荒廃しながらも威厳を感じさせる廃墟だった。石造りの柱や崩れた建物が並び、その中心には巨大な紋章が輝いていた。


「どうやら、これが試練の舞台らしいな…」


気を引き締めながら、目の前の紋章に向かって一歩を踏み出した。


浮遊楽しいけど酔いそう......






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