表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/117

美味しいものが食べたい

ある日のこと。ふと思う。


「なんか美味しいもの食べたいなあ」


なんとなしの呟き。よくあるどこかに食べに行こう的な気持ちで呟いた。それを聞いていたメイド、リセラは午後のティータイムを準備していたのだが......


カランカランッ


スプーンを落としてしまう。そして絶望している顔をする。


「お食事がお口に合わなかったのでしょうか......」


しまった、変な誤解を生んでしまった。すぐに訂正せねば!


「違う違う違う!そう言う意味じゃなくて!リセラのご飯はとても美味しい!そうじゃなくて、どこかに普段は食べない美味しいものを食べに行きたいねって意味!」


普段はポーカーフェイスのリセラがちょっと泣きそうな顔をしていたが、誤解だと分かり安心した顔をする。


「な、なるほど、そういう意味でしたか、失礼しました」


話を聞いていたにゃんまるは顎に手を置き考える素振りを見せる。


「スカイフルーツという珍しい果実があります。このスカイフルーツは、空を浮遊する島々、いわゆる『アストラル』という場所に自生しているのです」


「空に浮かぶ島?」


驚きの表情を浮かべた。


「そんな場所があるんだ」


「はい、確かに」


にゃんまるは頷き、さらに説明を加える。


「スカイフルーツは、空中に浮かぶ小さな木の実に実ります。果実が完全に熟すと、青空のように鮮やかな色合いを見せるのです。その美しさは、まるで空そのものを感じさせるような輝きです」


「見た目もすごく美しいんだな」


目を細めながら思わずその光景を想像してみた。


「その通りでございます」


にゃんまるは続けた。


「そして、食べるとほんのりとした酸味と甘さが広がり、口の中に風が吹き抜けるような感覚を味わうことができます。しかし、それだけではありません。実は、この果実には『浮遊する力』が宿っており、食べると一時的に空を飛べる効果があるのです」


「空を飛べる?」


目を見開いて驚いた。


「そんなことが…」


「はい。食べた者は、まるで風に乗るように軽やかに空を飛ぶことができるのです」


にゃんまるは微笑みながら、続けた。


「そのため、冒険者や商人たちには特に人気があり、デザートや飲料に加工して使用されることが多いのです」


「それにしても、すごい果物だな。そんな効果があるなんて…」


感心し、さらに質問を投げかけた。


「それって、どこで手に入るんだ?」


「スカイフルーツは、非常に珍しいものでございますので、普通の人が手に入れるのは困難です」


にゃんまるは軽くため息をつきながら答えた。


「一部の貴族や王族は、特別な贈り物としてこれを交換することがありますが、それ以外の人々は、冒険の末に手に入れるか、特別なルートを通じてしか手に入れることはできません」


「それだけ貴重なんだ…」


納得し、さらに続けて問いかけた。


「それで、スカイフルーツを食べた者には、何か伝説みたいなものがあるのか?」


「はい」


にゃんまるは少し顔を輝かせて答えた。


「スカイフルーツを食べた者は『天を目指す者』とされ、未来に大きな成功を収めると言われております。空を飛ぶ力を得ることが、成功への第一歩とされているのです」


「それは…すごい伝承だな」


静かにうなずきながら、その言葉の意味を噛みしめた。


にゃんまるはにっこりと微笑み、最後に言った。


「そのスカイフルーツがそろそろ収穫時期なのです」


「へー、ん?収穫時期?」


「そうです、収穫時期です」


「場所、わかるの?」


「わかります」


わーお。さすがにゃんまる。さすがチート猫。さす猫。


「主、これが『アストラルコンパス』です」


にゃんまるは、輝く金色の小さなコンパスを主人公の前に差し出した。興味津々でそれを手に取る。コンパスは見た目も美しく、外枠には細かい刻印が施されていて、まるで精緻な宝物のようだ。中央には小さな宝石が埋め込まれており、何か神秘的な力を感じさせる。


「これが、アストラルに行くための道しるべ?」


コンパスをじっと見つめた。


「その通りです」


にゃんまるは静かに頷いた。


「アストラリア、いわゆる空に浮かぶ島々へ行くには、ただの地図や普通の道具では辿り着けません。ですが、この『アストラルコンパス』を使えば、迷うことなくアストラリアへの道を進むことができるのです」


そのコンパスの針が不規則に動くのを見つめた。


「普通のコンパスと何か違うよね?」


にゃんまるはにっこりと笑った。


「このコンパスには特別な魔力が宿っています。普通の道具では決して感じ取ることができない、アストラルへの道を示す力があるのです」


「魔力?それなら、このコンパスがアストラルの方向を示してくれるってこと?」


「その通りです」


にゃんまるは真剣な表情で言った。


「アストラルに向かうためのコンパスの針は、ただ一つ、空に浮かぶ島々への道を示すようになっています。針が示す方向に従って進むことが、最も確実な方法です」


コンパスの針がふと動き、特定の方向を指し示すのを確認した。


「なるほど、つまり、これに従って行けばアストラルに辿り着けるんだな?」


「はい、そうです」


にゃんまるは頷きながら続けた。


「ただし、アストラルへの道のりは容易ではありません。途中で空を飛ぶ力を得たり、空中の障害物を避けたりしながら進む必要があります。コンパスはあくまで道を示すだけで、実際に飛ぶための力や技術は別途必要です」


コンパスをしっかりと握りしめ、決意を固めた。


「よし、行こう。アストラルに!スカイフルーツを探しに!」


にゃんまるは少し微笑み、見守るように言った。


「では、主。アストラルコンパスに従い、天を目指して進みましょう。新たな冒険が、今、始まるのです」


その言葉を胸に、コンパスが指し示す方向に一歩を踏み出した。空に浮かぶ島々へと続く道が、少しずつ明らかになり始めていたーー。


「主、準備は整いました」


にゃんまるが声をかけると、頷きながら、目の前に広がる広大な空を見つめた。アストラリア、空に浮かぶ島々へ向かうための準備が整ったのだ。


隣には、アークが大きな体を誇らしげに横たえている。その黒曜竜の巨大な体は、どこか威圧的でありながらも、どこか頼もしい印象を与える。


「アーク、行こうか」


その巨体に向かって声をかけた。


アークは低く唸り声を上げると、巨大な翼をゆっくりと広げた。その羽音は大地を揺るがすようで、主人公は少しだけ驚きながらも、その力強さに安心感を覚えた。


「主、私も準備完了です」


にゃんまるの声が聞こえ、振り向くと、にゃんまるは立派なグリフォンの背に乗っている。


グリフォンは、鷲の頭と獅子の体を持ち、威風堂々と空を見上げていた。羽音が軽やかで、空を飛ぶ準備が整っているのが感じられる。


主人公はアークの背に乗り、揺れることなくその大きな背にしっかりと座った。


「じゃあ、アーク、行こう」


アークは大きな翼を広げ、強風を巻き起こしながらその身を空に持ち上げた。そのまま、強い風を感じながら、アークの背中にしっかりと身を預けた。グリフォンもそれに続き、にゃんまるの操縦で軽やかに空へ舞い上がった。


「さあ、アストラルへ向けて」


にゃんまるが叫ぶように言った。


アークとグリフォンが並んで空を駆ける。その動きは見事に調和し、まるで二匹の強力な翼の持ち主が共鳴しているかのようだった。空中で風を感じながら、眼下の大地が次第に小さくなるのを感じた。


「すごいな、アーク」


空に広がる青空を見上げ、感嘆の声を漏らした。アークはそのまま、羽ばたきながら天空へと登っていく。


にゃんまるのグリフォンも同じように、軽やかに飛びながら側を飛ぶ。


「主、見てください。あの空を越えた先に、アストラルの浮かぶ島々が待っています」


にゃんまるが遠くを指さす。


その方向を見ると、青く広がる空の先、雲の上に浮かぶ島々の輪郭がぼんやりと浮かび上がっている。


「あそこがアストラルか…。」


「そうです」


にゃんまるはうなずき、グリフォンをさらに上昇させた。


「アストラルへの道は長く険しいですが、アークの力、そして私たちの力を合わせれば必ず辿り着けます」


アークの背中で息を整えながら、心の中で決意を新たにした。


「行こう、アストラルへ。スカイフルーツを手に入れるために」


アークはその巨大な翼を力強く羽ばたかせ、グリフォンもその後に続いて空を駆ける。二匹の翼が同じ空を舞うその光景は、まるで空の冒険の序章を告げるかのようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ