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それは猫の大津波2

しばらく動けなかった。エルドラの力を使いすぎたため、魔力の消耗が激しく、体全体が重く感じる。膝をついても、身体を支える力が足りなかった。無理に魔力を注ぎ込んだ結果、思った以上に消耗が激しい。


「これほどとは…」


内心で自分を責めるが、すぐにそれを振り払った。こんなことで挫けているわけにはいかない。技は完成に近づいている。確実に、それだけは感じていた。


「次に使う時にはもっと慎重に…」


ゆっくりと立ち上がり、荒く息を整えながら、猫の精霊たちが消えた空を見上げた。空はすっかり晴れており、数々の精霊たちが去った後も、その光景が胸に残っていた。


だが、技の威力がどれほど強力であったかを確認するためには、もう少し練習が必要だと主人公は感じていた。次回はもっとエネルギーを制御し、より洗練された形でこの技を使うべきだと心に決める。


「今度は…完璧に使えるようにしてやる」


決意を新たに、エルドラの力を使った後の静けさに包まれながら、再び修練を始める準備を整えていった。


にゃんまると共に数日間にわたり訓練を重ね、ようやく技の発動が安定し始めた。最初は精霊たちがうまく集まらず、無駄に魔力を消耗するだけだったが、徐々に魔力と精霊たちの力の調和が取れてきた。


その日の訓練も、いつも通りに進んでいた。主人公は集中を高め、手のひらを空に向けて魔力を練り込む。猫の精霊たちが眠っているかのように待機しているのが感じ取れる。


「いくぞ、にゃんまる!」


「はい、主」


魔力を解き放つと、空から光の柱が降り注ぐ。その柱の中から、無数の猫の精霊たちが現れ、彼を囲んでいく。精霊たちはそれぞれに異なる形態をしており、色も多彩だ。目を見開くと、まるで一匹一匹が独自の意思を持っているように感じられる。


「これは…すごい…」


その光景に圧倒されながらも、精霊たちの力を完全に掌握しようと試みる。しかし、精霊たちの数が増えるにつれて、制御が難しくなる。彼の手のひらに集まる魔力が暴走しそうになり、精霊たちが勝手に動き始める。


その時、にゃんまるが静かに助言をする。


「主、少し力を抜いてみてください。無理に魔力を込めすぎると、精霊たちが暴れますよ」


「分かった」


深呼吸し、魔力の流れを少しずつ緩める。その瞬間、精霊たちは再び安定して動き出す。主人公は焦らず、精霊たちを順に指示し、周囲を包囲させていった。


「うまくいった…!」


ようやく技を使いこなせたことに安堵し、にゃんまるに向かって微笑む。


「これで、少しは本当に使えるようになったんだな…。」


にゃんまるも穏やかな表情で頷き、


「おめでとうございます、主。これでさらに強くなれるはずです」


と答える。その後、精霊たちを解散させ、心地よい疲れを感じながらその場に立ち尽くした。


その日の訓練後、にゃんまると共に小さな休憩を取るために、近くの木陰に腰を下ろした。少し疲れた表情を浮かべつつも、心の中では満足感が広がっていた。


「やっと、精霊たちを完全に呼び出せるようになったんだな。けれど、まだまだ魔力が足りないか…」


自分の限界を感じつつも、次第に目指すべき技のイメージが鮮明になってきていた。


「主がその技を完全に使いこなせる日も近いです」


にゃんまるの声が穏やかで、少し自信を持っているように響く。


「でも、やっぱりあれを完全に使うためには、どれだけの魔力を要するんだろう…?」


にゃんまるはしばらく考え込み、そして静かに答える。


「それは、おそらく膨大な魔力を消費するでしょう。主が今の状態で使うのは、少し危険かもしれません。ただ、魔力を安定して使えるようになれば、発動の頻度を上げることも可能かと思います。」


「確かに…でも、やらなきゃ意味がないよな」


自分に言い聞かせるように呟いた。どうしても技を使いたい一心で、表情は真剣そのものだ。


「にゃんまる、もう少しだけ、この技を使い続けてみる。少しずつでも力をつけていこう」


そう言うと、再び立ち上がり、手を広げて空に向かって魔力を集め始めた。


にゃんまるは静かに見守る。成長を見届け、いつかその力を存分に発揮する日を信じて。


「もちろんです、主。どんな力になれるか、全力でお手伝いします」


にゃんまるの言葉に、力強く頷き、再び魔力を精霊たちに向けて注ぎ込む。


その訓練は、今後の戦いにおいて決定的な武器となるだろうと、二人は感じていた。


膨大な魔力消耗という課題に直面したし、以前出会った精霊ケットシーのことを思い出した。


「ケットシーなら、何かいい知恵を貸してくれるかもしれないな」


彼が呼べば、きっと応じてくれると信じていた。


「ケットシー!」


その名を呼ぶと、木漏れ日の間から金色の光が舞い降りる。柔らかな風が吹き、草木がざわめく中、しなやかな体の猫が姿を現した。


「やあ、久しぶりだにゃ、主様」


ケットシーはその深紫の瞳を細めて微笑み、優雅な足取りで主人公の前に歩み寄った。その金と白の毛並みは以前と変わらず、しっぽには小さな星の模様が輝いている。


「何か相談事かい?まさか、また無茶をしたとかかにゃ?」


「まぁな。新しい技を完成させたんだが、魔力の消耗が大きすぎて困ってる」


ケットシーは言葉を聞くと、興味深そうに首を傾げた。


「ふむ、君らしい悩みだにゃ。その技、見せてくれるかい?どう手を貸せるか考えてみにゃ」


ケットシーに技の詳細を説明し、その場で小規模に発動して見せた。光の柱から現れる無数の猫の精霊、その圧倒的な火力をケットシーはじっと見つめていた。


「ほう、これは見事だね。精霊たちをこれほど統率するとは……しかし、魔力消耗が大きいのも納得だ」


ケットシーはしっぽで空中に星を描きながら言った。


「君の魔力の流れは悪くないが、技に無駄が多い。それを調整すれば、もっと効率的に使えるようになる」


「具体的には?」


「僕の知恵を使えば、精霊を一度に召喚するのではなく、魔力を小出しに分散させられるにゃ。さらに、精霊たちに一部の負担を任せることで、君の負荷を軽減できると思うにゃ」


ケットシーは再び契約を提案した。


「前回の契約では、僕は君の助言者でしかなかったにゃ。今回は、僕が君の力の一部となり、直接技の運用を支える形にするにゃ」


ケットシーは優雅に歩きながら、光の輪を地面に描き出した。


「この契約で、僕は君の技に直接介入し、効率を上げる力を与えるにゃ。その代わり、主が僕を呼び出すときに、もう少し感謝の気持ちを見せてくれにゃ」


苦笑しながら頷いた。


「わかったよ。これからは敬意を払わせてもらう」


契約が完了すると、温かな力が流れ込む感覚が広がった。同時に、イメージが明確になり、技の発動が軽く感じられるようになる。


ケットシーは満足げに微笑み、しっぽをふわりと揺らした。


「これで主はさらに強くなれるにゃ。楽しみにしているにゃ」


新たな力を感じながら、ケットシーに感謝の意を込めて頷いた。


「ありがとう、ケットシー。これで、もっと先に進めそうだ」


こうして新たに大殲滅魔法を習得するのだった。


《 猫神嵐を獲得しました。猫の精霊を召喚しエルドラの力により殲滅する魔法です。》

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